児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

購入者の処罰について

 提供罪における相手方(買った人、もらった人)と、提供犯人とは、必要的共犯だと思うんですが、判例は相手方は処罰しないのが合理的だと言っています。
 奥村がそう言っているんじゃなくて、奥村は必要的共犯だと主張したのに、裁判所がこう判断したのです。

阪高裁h18.9.21
児童ポルノを提供してこれを積極的に拡散した者と,これを 購入したにすぎない者との間では,児童の権利の擁護という立法趣旨から見て, その当罰性に差があることは当然であり,児童ポルノの提供者のみを処罰する 同罪の規定は合理的なものといえるから,これが法の下の平等憲法14条) に反するとは解されない。

福岡高裁那覇支部h17.3.1
買主の買い受け行為にも法益侵害,違法性があるとはいえるが,売主の販売行為の違法性,法益侵害性が強度の可罰性,当罰性を有するのと比較して,前者の法益侵害,違法性の可罰性,当罰性は微弱であるから,販売行為のみを処罰の対象とし,買い受け行為を処罰の対象としないことが憲法14条に定める法の下の平等に反しないことは明らかである。

 なお、那覇支部判決の罪数判断(包括一罪説)は、その後、大阪高裁h18で否定されています。