児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

名誉毀損+わいせつ公然陳列罪の事例

 わいせつ物公然陳列罪は通常包括一罪ですが、こういう事例でも一罪にすると、数回の名誉毀損罪(被害者複数でも)がかすがいで一罪になります。

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20061130-123991.html
「別れた腹いせに」ネットにわいせつ写真
 以前交際していた女性の裸の画像をインターネットの掲示板に繰り返し投稿したとして、神奈川県警生活経済課などは30日までに、名誉棄損とわいせつ図画公然陳列の疑いで、容疑者(29)を逮捕した。

  1/1 名誉毀損+わいせつ物公然陳列罪=観念的競合
  2/1 名誉毀損+わいせつ物公然陳列罪=観念的競合
  3/1 名誉毀損+わいせつ物公然陳列罪=観念的競合
という場合、奥村の感覚では一罪というのはおかしいところで、裁判所も併合罪としてくると思います。
 しかし、高裁レベルではわいせつ物罪の包括一罪性を重視する判例も多いところです。
 児童ポルノも立件されている東京地裁H14.3.14は9罪の併合罪としていますが(そこは非公開)、併合罪説は東京高裁H15と大阪高裁H18で否定されています。

 なお、真実の裸体が公開された場合、どういう事実摘示がされたと構成するかは、保護法益(プライバシー、肖像権も含むのか?)との関係で関心があるところです。

参考
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/EDB21E51F5970A5C49256B97001E110B.pdf
事件番号 平成13特(わ)3187
事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,わいせつ図画販売,名誉毀損被告事件
裁判年月日 平成14年03月14日
裁判所名・部 東京地方裁判所

犯罪事実記載例

被告人はインターネットを利用し被害者を露骨に撮影したわいせつな図画等を不特定多数のインターネット利用者に閲覧させて同女の名誉を毀損しようと企て、
  ころ 
  において
と記載した文書データを付し、
上記被害者がする場面などを露骨に撮影したわいせつ撮影データを上記被告人方に設置されたpcを利用して、サーバのディスクアレイに記憶蔵置させ、・・・不特定多数のインターネット利用者が電話回線などを使用して上記データを受信して之を閲覧することが可能な状況を設定し、pcを使用して上記データにアクセスしてきた不特定多数の者に、上記データを受信させて閲覧させ、もってわいせつ図画を公然と陳列するとともに、公然と事実を摘示して、上記被害者の名誉を毀損したものである。