児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

他人の著作物を無権限で複製して頒布・公衆提供した場合の、複製権侵害罪と頒布罪・公衆提供罪は包括一罪(某高裁某支部)

 特別法犯の法令適用は検察官も裁判所も弁護人も気に留めないでやってますので、控訴審では真っ先にチェックします。
 原判決の法令適用に理由不備はないといいながら、破棄自判して法令適用を修正しています。
 「包括一罪」という判断を引き出すのに併合罪だという主張をしていますが、不利益主張だという判断はありません。

原判決
第2 法定の除外事由がなく、かつ、著作権者の許諾を受けないで、
 1 平成28年月日頃、上記被告人方において、株式会社Iが著作権を有する映画の著作物である「■■■■■■■■■■■■■■■■」に登場するキャラクターである「■■■■■■■■■■■■■■■■」のイラストを色紙1枚に複写して複製した上、同月中旬頃、同色紙1枚を、都内又はその周辺から県(以下略)のJ方に宛てて発送し、その頃、同所にこれを到達させて同人に受領させ、代金1万2511円で販売して頒布し、
 2 平成28年月日頃、上記被告人方において、映画「■■■■■■■■■■■■■■■■」の宣伝用に作成されたK株式会社等7社が著作権を有する美術の著作物である「■■■■■■■■■■■■■■■■」のイラストを、色紙1枚に複写して複製した上、同年月日から同月日までの間、同色紙1枚を、「B」に出品し、Lら不特定多数の者に閲覧させて購入者を募り、その頃、同人にこれを落札させ、同月日頃、同色紙1枚を、同市内から県(以下略)所在のM(省略)号室の同人方に宛てて発送し、同月14日頃、同所にこれを到達させて同人に受領させ、代金1万7000円で販売して譲渡することにより公衆に提供し、
 もって上記各会社らの著作権を侵害した。
(法令の適用)
罰条
  第2の1 著作権法119条1項、21条、26条第1項
  第2の2 著作権法119条1項、21条、26条の2第1項
刑種の選択 第2についていずれも懲役刑及び罰金刑を選択
  第3、第4についていずれも懲役刑を選択
併合罪の処理 刑法45条前段、懲役刑について47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い判示第2の2の罪の刑に法定の加重)罰金刑について刑法48条2項
未決勾留日数の算入 刑法21条
労役場留置 刑法18条
訴訟費用の不負担 刑訴法181条1項ただし書

某高裁某支部H30
第1 弁護人及び■■■■■■■■■の控訴理由
2 原判示第2の事実について
(1) 不法な公訴の受理又は訴訟手続の法令違反及び法令適用の誤り(弁護人奥村の控訴理由第5の2及び■■■■■■■■■の控訴理由第5の2)
原判示第2の1は複製権侵害罪と頒布権侵害罪が,原判示第2の2は複製権侵害罪と公衆提供権侵害罪が,それぞれ併合罪となるから,これらをそれぞれ科刑上一罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある。また,これらの訴因はいずれも単一性を欠き,訴因不特定として公訴棄却されるべきであったのに,実体判断をした原判決には,不法に公訴を受理した違法があるし,判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続の法令違反もある。
(2) 理由不備(弁護人奥村の控訴理由第5の1及び■■■■■■■■■の控訴理由第5の1)
原判示第2の1については複製権侵害罪と頒布権侵害罪,原判示第2の2については複製権侵害罪と公衆提供権侵害罪が起訴されているのに,原判決は,それぞれ科刑上一罪とした罪数処理の条項を全く示しておらず,理由を附していない。また,原判決は,原判示第2の2の罪について併合罪加重をしているところ,複製権侵害罪と公衆提供権侵害罪のいずれに加重したのかも明らかにしていないから,理由を附していない。
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第2 控訴理由に対する判断
2 原判示第2の事実について
(1) 不法な公訴の受理又は訴訟手続の法令違反の主張及び法令適用の誤りの主張(前記第1・2(1)) について
原判示第2の1の複製行為と頒布行為,同第2の2の複製行為と公衆に提供した行為は,いずれも,継続した同一の犯意に基づいて一つの著作権を侵害した一連の行為と認められるから,いずれも包括して一罪と評価すべきである(なお,原審において,検察官はその旨明示的な釈明等をしておらず,また原判決もその法令の適用の項において「包括して」との表示をしていないが,原審の審理及び判決を通覧すればその趣旨であるものと容易に理解できる。)。したがって,原判示第2の1及ぴ2の各行為をそれぞれ科刑上一罪とした原判決に法令適用の誤りはない。そして,同各事実に係る公訴事実はできる限りの特定がされており,罰条の記載を併せみると,前記各犯罪が起訴されていることが明らかであるから, これが訴因の特定に欠けるところがないのも明らかである。したがって,前記各事実に係る訴因が不特定であるとして不法な公訴の受理あるいは訴訟手続の法令違反をいう主張は前提を欠く。
(2) 理由不備の主張(前記第1・2(2)) について
前記(1)のとおりであって,原判決に理由不備はない。
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第3 結論
刑事訴訟法39 7条2項により原判決を破棄し,同法400条但書を適用して被告事件について更に判決する。
第4 破棄自判
(犯罪事実及び証拠)
原判決と同じ。
(法令の適用)
原判決と同一の法令を適用した刑期の範囲内(ただし, 前記第2の2(1)のとおり,原判示第2の1の所為は包括して著作権法11 9条1項,に, 同第2の2の所為は包括して同法11 9条1項, 2 1条,2 1条, 2 6条1項2 6条の2第1項にそれぞれ該当する。) で・・・・