児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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単に自己の性的欲望を満足させるため性交罪(大阪府青少年健全育成条例違反)の否認事件(大阪地裁r03.6.1)

 「単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為」という構成要件なので、少しでも他の目的があれば、外れるんでしょうね。

大阪府青少年健全育成条例
(淫らな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十九条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 
二 青少年に対し、威迫し、欺き、若しくは困惑させることその他の当該青少年の未成熟に乗じた不当な手段を用い、又は当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為又はわいせつな行為を行うこと。

児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,大阪府青少年健全育成条例違反被告事件
大阪地方裁判所判決令和3年6月1日
       理   由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 
第2 A(当時16歳)が18歳に満たない青少年であることを知りながら,令和3年3月21日午前9時25分頃から同日午後6時49分頃までの間に,大阪市中央区(以下略)にあるホテル「△△」402号室において,単に自己の性的欲望を満足させるためAと性交し,もって当該青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性行為を行った。
(証拠の標目)
 なお,被告人は,判示第2の事実について,Aと性交したのは「自己の性的欲望を満足させるためだけではなかつた」などと供述するが,本件当時,Aは16歳の高校生であったのに対して,被告人は41歳の成人男性で,Aに対しては,自己の年齢を28歳と偽るなどしていたこと,被告人は,AとはLINEでやり取りしていたところ,初めて会った日にラブホテルに連れて行って性交していること,被告人は,Aの他に2名の女性と交際して肉体関係を持っていたことなどからすると,被告人は,単に自己の性的欲望を満足させるためAと性交したものと認められる。
(法令の適用)
 罰条
  判示第1の所為   児童ポルノ法7条4項,2項,2条3項3号
  判示第2の所為   大阪府青少年健全育成条例52条,39条2号
 刑種の選択
  判示各罪      いずれも懲役刑を選択
 併合罪の処理     刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
 未決勾留日数の算入  刑法21条(30日)
 訴訟費用       刑事訴訟法181条1項ただし書(不負担)
(量刑の理由)
(求刑 懲役1年6月)
  令和3年6月3日
    大阪地方裁判所第15刑事部
           裁判官  松田道別