児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

処断刑期合ってるかなあ~児童福祉法違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件 (高松地裁r020917)

 児童ポルノの特定も甘い気がします。
 h31.2.2の児童淫行罪とr2.2.8の児童淫行罪が包括一罪なら、同時に行われた製造罪も包括一罪になるので、ここまでで併合罪加重して13年、所持罪の1年加えて14年(刑法47条但書)

刑法第四七条(有期の懲役及び禁錮の加重)
 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

併合罪の処理   刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重」だと、各製造罪は併合罪になっているから、47条但書で10年+3年+3年+1年=17年とかを計算してみて、処断刑期の上限は15年になってるように見えますね。こういうときは白表紙。

刑事判決書起案の手引き
第8 併合罪の処理
1 記載例
(1) 刑法45条前段の併合罪(47条本文適用)
「・・・該当するが,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文, 1 0条により重い判示第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し」

(2) 同(47条ただし書適用)
「・・・併合罪であるから,同法47条本文, 1 0条により重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重をし」

 こういうところもチェックすると、破棄されて法定通算されたり、控訴審未決を多めに算入されたりするので、弁護人は判決書を取って下さい。

高松地方裁判所判決令和2年9月17日
       主   文

 被告人を懲役1年8月に処する。

       理   由

(罪となるべき事実)
 被告人は
第1(令和2年4月14日付け起訴状記載の公訴事実(訴因変更後のもの))
   ■■■中学校の教諭として,同校の■■部の顧問をしていたものであるが,同校の生徒であり,同部の部員であった■■■(当時14歳ないし15歳。以下「A」という。)が満18歳に満たない児童であることを知りながら,その立場を利用し
 1 平成31年2月2日,■■■同校■■■室において,A(当時14歳)に自己の陰茎を口淫させる性交類似行為をさせ
 2 令和2年2月8日午前11時頃から同日午後4時34分頃までの間に,高松市■■■ホテル■■■において,A(当時15歳)に自己を相手に性交させ
 もって児童に淫行させる行為をし
第2(令和2年4月24日付け起訴状記載の公訴事実)
   A(当時14歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,平成31年2月2日,前記中学校において,同児童に被告人の陰茎を口淫する等の姿態をとらせ,これらをデジタルカメラで動画又は静止画として撮影し,その動画データ1点及び静止画データ3点を同カメラに装着した電磁的記録媒体であるSDカードに記録させて保存した上,同日頃から同月3日頃までの間に,高松市■■■の被告人方において,同動画データ1点及び同静止画データ3点を電磁的記録媒体であるハードディスク内に記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し
第3(令和2年6月26日付け起訴状記載の公訴事実第1)
   A(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら,令和2年2月8日午前11時頃から同日午後4時34分頃までの間に,前記ホテル■■■において,同児童に被告人と性交する等の姿態をとらせ,これらをデジタルカメラで動画又は静止画として撮影し,その動画データ1点及び静止画データ2点を同カメラに装着した電磁的記録媒体であるSDカードに記録させて保存した上,同日頃から同月9日頃までの間に,前記被告人方において,同動画データ1点及び同静止画データ2点を電磁的記録媒体であるハードディスク内に記録させて保存し,もって児童を相手方とする性交又は性交類似行為に係る児童の姿態及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し
第4(令和2年6月26日付け起訴状記載の公訴事実第2)
   自己の性的好奇心を満たす目的で,令和2年3月24日,高松市■■■の駐車場に駐車中の自動車内において,児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態,他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって,殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり,かつ,性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ4点及び静止画データ69点を記録した児童ポルノであるハードディスク1台を所持し
たものである。
(証拠の標目)
(法令の適用)
罰条
 判示第1の所為 包括して児童福祉法60条1項,34条1項6号
 判示第2及び第3の各所為
         いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項,2条3項1号,3号
 判示第4の所為 同法律7条1項前段,2条3項1号,2号,3号
刑種の選択    いずれも懲役刑選択
併合罪の処理   刑法45条前段,47条本文,10条(最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重)
訴訟費用     刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は,①中学校の教諭であった被告人が,顧問として指導していた部活動の部員であった当時14歳ないし15歳の児童Aに対し,その立場を利用して,平成31年2月に同中学校内で自己の陰茎を口淫させ,令和2年2月にホテルで自己を相手に性交させ,もって児童に淫行させ(判示第1),②そのいずれの際にもその性交等の場面を動画及び静止画として撮影して児童ポルノを製造し(判示第2及び第3),③撮影当時17歳のBの性交等の動画及び静止画データを所持した(判示第4)という事案である。
 被告人は,中学校の教諭として,その生徒であるAを指導し,その心身の健全な成長を支えるべき立場にありながら,部活動の指導を通じて同児童が自身を尊敬し親和していたことや,その判断力の未熟さに乗じ,その影響力を利用して,同児童に性交等の淫行をさせたもので,そのような影響力を有し得る立場にある教師としてあるまじき卑劣な犯行である。被告人は,専ら自己の性的欲望を満たすため,平成30年11月頃から,■■■モデルなどという名目で学校内でAの着衣の一部または全部を着けない姿を写真撮影するなどの行為を経て,同校内で判示第1の1の性交類似行為をさせるに至り,その後は毎月のように性交等を重ねる中,ホテルで判示第1の2の性交をさせるに至っている。本件児童福祉法違反は,被告人が長期間にわたり継続的にAに対する事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進させる中,敢行したものであり,Aにさせた淫行の態様に照らしても,児童の健全育成に対する阻害の程度は大きいといわざるを得ない。同児童の今後の成長に与える影響も憂慮される。
 被告人は,そのような影響を何ら顧みることなく,自己の性的欲望を満たそうと犯行に及んだもので,その意思決定は強い非難に値する。
 しかも,被告人は,同児童との性交等の様子を動画等で撮影して児童ポルノを製造したほか,Bの児童ポルノの所持にも及んでおり,その非難を一層強める。
 以上の本件犯情によれば,被告人の刑事責任は重い。被告人が,Aに300万円を支払って示談を成立させていること,罪を認めて反省悔悟の念を示していること,本件により懲戒免職処分を受け,退職金も不支給となったこと,前科前歴がないことなど,被告人に有利に斟酌すべき一般情状はあるが,これらを十分に踏まえても,被告人に対しては,刑の執行を猶予するのは相当ではなく,主文掲記の実刑をもって臨むのが相当と判断した。
(求刑 懲役3年)
  令和2年9月17日
    高松地方裁判所刑事部