児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪の刑事損害賠償命令で350万円が認容されたが、申立人から異議申立があり、民事訴訟において結局350万円が認容された事例(山形地裁R2.3.27)

 基本は刑事記録に基づいて、損害賠償命令を出すわけですが、民事訴訟に移行して原告が追加立証を積んでも認容額は同じだったということになります。
 原告の被害内容はわかりませんが、山形地裁で11年ということで、強制わいせつ罪1件だけではないと思われます。
 刑事損害賠償命令には、児童ポルノ製造は含まれませんが、民事訴訟になると、含めることができます。

犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律
第三節 異議等
(異議の申立て等)
第三十三条 当事者は、損害賠償命令の申立てについての裁判に対し、前条第三項の規定による送達又は同条第四項の規定による告知を受けた日から二週間の不変期間内に、裁判所に異議の申立てをすることができる。
2 裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。
3 前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
4 適法な異議の申立てがあったときは、損害賠償命令の申立てについての裁判は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。
5 適法な異議の申立てがないときは、損害賠償命令の申立てについての裁判は、確定判決と同一の効力を有する。
6 民事訴訟法第三百五十八条及び第三百六十条の規定は、第一項の異議について準用する。
(訴え提起の擬制等)
第三十四条 損害賠償命令の申立てについての裁判に対し適法な異議の申立てがあったときは、損害賠償命令の申立てに係る請求については、その目的の価額に従い、当該申立ての時に、当該申立てをした者が指定した地(その指定がないときは、当該申立ての相手方である被告人の普通裁判籍の所在地)を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所に訴えの提起があったものとみなす。この場合においては、第二十三条第二項の書面を訴状と、第二十四条の規定による送達を訴状の送達とみなす。
2 前項の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは、損害賠償命令の申立てに係る事件(以下「損害賠償命令事件」という。)に関する手続の費用は、訴訟費用の一部とする。
3 第一項の地方裁判所又は簡易裁判所は、その訴えに係る訴訟の全部又は一部がその管轄に属しないと認めるときは、申立てにより又は職権で、決定で、これを管轄裁判所に移送しなければならない。
4 前項の規定による移送の決定及び当該移送の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
(記録の送付等)
第三十五条 前条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされたときは、裁判所は、検察官及び被告人又は弁護人の意見(刑事被告事件に係る訴訟が終結した後においては、当該訴訟の記録を保管する検察官の意見)を聴き、第三十条第四項の規定により取り調べた当該被告事件の訴訟記録(以下「刑事関係記録」という。)中、関係者の名誉又は生活の平穏を著しく害するおそれがあると認めるもの、捜査又は公判に支障を及ぼすおそれがあると認めるものその他前条第一項の地方裁判所又は簡易裁判所に送付することが相当でないと認めるものを特定しなければならない。
2 裁判所書記官は、前条第一項の地方裁判所又は簡易裁判所裁判所書記官に対し、損害賠償命令事件の記録(前項の規定により裁判所が特定したものを除く。)を送付しなければならない。
(異議後の民事訴訟手続における書証の申出の特例)
第三十六条 第三十四条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における前条第二項の規定により送付された記録についての書証の申出は、民事訴訟法第二百十九条の規定にかかわらず、書証とすべきものを特定することによりすることができる。
(異議後の判決)
第三十七条 仮執行の宣言を付した損害賠償命令に係る請求について第三十四条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が損害賠償命令と符合するときは、その判決において、損害賠償命令を認可しなければならない。ただし、損害賠償命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した損害賠償命令に係る請求について第三十四条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、損害賠償命令を取り消さなければならない。
3 民事訴訟法第三百六十三条の規定は、仮執行の宣言を付した損害賠償命令に係る請求について第三十四条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における訴訟費用について準用する。この場合において、同法第三百六十三条第一項中「異議を却下し、又は手形訴訟」とあるのは、「損害賠償命令」と読み替えるものとする。
第四節 民事訴訟手続への移行
第三十八条 裁判所は、最初の審理期日を開いた後、審理に日時を要するため第三十条第三項に規定するところにより審理を終結することが困難であると認めるときは、申立てにより又は職権で、損害賠償命令事件を終了させる旨の決定をすることができる。
2 次に掲げる場合には、裁判所は、損害賠償命令事件を終了させる旨の決定をしなければならない。
一 刑事被告事件について終局裁判の告知があるまでに、申立人から、損害賠償命令の申立てに係る請求についての審理及び裁判を民事訴訟手続で行うことを求める旨の申述があったとき。
二 損害賠償命令の申立てについての裁判の告知があるまでに、当事者から、当該申立てに係る請求についての審理及び裁判を民事訴訟手続で行うことを求める旨の申述があり、かつ、これについて相手方の同意があったとき。
3 前二項の決定及び第一項の申立てを却下する決定に対しては、不服を申し立てることができない。
4 第三十四条から第三十六条までの規定は、第一項又は第二項の規定により損害賠償命令事件が終了した場合について準用する。

女児4人わいせつ 山形地裁 賠償命令制度以外の被害者側の請求棄却
2020.03.28 山形新聞
 女児への強制わいせつ事件で実刑判決を受けた30代の男性受刑者に対し、被害者側が慰謝料など566万円の支払いを求めた訴訟の判決が27日、山形地裁であった。日高真悟裁判官は、刑事裁判の手続きの中で賠償請求できる損害賠償命令制度で決まった350万円の支払いにとどまるとし、その他の請求を棄却した。
 被害女児4人のうちの1人を原告側とした訴訟で、将来にわたる女児の甚大な精神的苦痛などを主張。同制度に基づき地裁は男性受刑者に350万円の支払いを命じたが、原告側は女児が学校から1人で帰宅できなくなったことで生じた保育料なども含め、賠償額は十分でないとしていた。
 この事件で男性受刑者は、2014年6月から18年5月、当時4~9歳の女児にわいせつな行為を繰り返したとして強制わいせつ罪などに問われ、山形地裁で懲役11年の実刑判決を言い渡された。仙台高裁の控訴審後に刑が確定した。