児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

CG事件は上告棄却決定(最決R02.1.27)

 末席の弁護人として文献収集と罪数処理を担当していました。
 3年待たされて、罰金30万円が確定します。
 残念ながら有罪になりましたが、どこからともなく集まった若い弁護士8名が頑張ってくれました。

1審判決(東京地裁H28.3.15)
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控訴審判決(東京高裁H29.1.24)
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最高裁WEB
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上告理由
第1上告趣意の骨子3
1原判決が罪刑法定主義に違反し被告人に罪の成立を認めた誤りについて(上告趣意書第2)3
2原判決が罪数論に関する判例に違反し法令の解釈の誤りを犯していること(上告趣意書第3)3
3著しく正義に反する重大な事実誤認及び訴訟手続き違反(上告趣意書第4)4
第2原判決が罪刑法定主義に違反し被告人に罪の成立を認めた誤り5
1原判決の判断5
児童ポルノ禁止法の趣旨6
3原判決の誤り10
4小括15
第3原判決が罪数論に関する判例に違反し法令の解釈の誤りを犯していること15
1数個の提供罪を併合罪とした誤り15
2提供目的製造罪と提供罪を併合罪とした誤り16
3数回の製造行為を単純1罪とした誤り17
第4著しく正義に反する重大な事実誤認及び訴訟手続き違反19
1横谷証人の証言の信用性に関する事実誤認19
2本件CG画像の作成方法28
3間接正犯と共同正犯について30
第1 上告趣意の骨子 2
1 原判決が、罪刑法定主義に違反し、被告人に罪の成立を認めた誤りについて(上告趣意書第2) 2
2 原判決が、罪数論に関する判例に違反し、法令の解釈の誤りを犯していること(上告趣意書第3) 2
3 著しく正義に反する重大な事実誤認及び訴訟手続き違反(上告趣意書第4) 3
第2 原判決が、罪刑法定主義に違反し、被告人に罪の成立を認めた誤り 4
1 原判決の判断 4
児童ポルノ禁止法の趣旨 5
3 原判決の誤り 9
4 小括 14
第3 原判決が、罪数論に関する判例に違反し、法令の解釈の誤りを犯していること 14
1 数個の提供罪を併合罪とした誤り 14
2 提供目的製造罪と提供罪を併合罪とした誤り 15
3 数回の製造行為を単純1罪とした誤り 16
第4 著しく正義に反する重大な事実誤認及び訴訟手続き違反 18
1 横谷証人の証言の信用性に関する事実誤認 18
2 本件CG画像の作成方法 27
3 間接正犯と共同正犯について 29

最決R02.1.27
平成29年(あ)第242号
決定
上記の者に対する児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件について,平成29年1月24日東京高等裁判所が言い渡した判決に対し,被告人から上告の申立てがあったので,当裁判所は,次のとおり決定する。
本件上告を棄却する。
理由
弁護人山口貴士ほかの上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み,職権で判断する。
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの。以下「児童ポルノ法」という。)2条1項は,「児童」とは,18歳に満たない者をいうとしているところ,同条3項にいう「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まないものと解すべきである。
原判決及びその是認する第1審判決の認定によれば,被告人は,昭和57年から-同59年にかけて初版本が出版された写真集に掲載された写真3点の画像データ(以下,上記写真3点又はそれらの画像データを「本件各写真」という。)を素材とし,画像編集ソフトを用いて,コンピュータグラフィックスである画像データ3点(以下「本件各CG」という。)を作成した上,不特定又は多数の者に提供する目的で,本件各CGを含むファイルをハードディスクに記憶,蔵置させているところ(以下,被告人の上記行為を「本件行為」という。
),本件各写真は,実在する18歳未満の者が衣服を全く身に着けていない状態で寝転ぶなどしている姿態を撮影したものであり,本件各CGは,本件各写真に表現された児童の姿態を描写したものであったというのである。
上記事実関係によれば,被告人が本件各CGを含むファイルを記憶,蔵置させたハードディスクが児童ポルノであり,本件行為が児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たるとした第1審判決を是認した原判断は正当である。
所論は,児童ポルノ法7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには,児童ポルノの製造時において,当該児童ポルノに描写されている人物が18歳末満の実在の者であることを要する旨をいう。
しかしながら,同項の児童ポルノ製造罪が成立するためには,同条4項に掲げる行為の目的で,同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り,当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であるごとを要しないというべきである。
所論は理由がない。
よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
なお,裁判官山口厚の補足意見がある。
裁判官山口厚の補足意見は,次のとおりである。
私は,法廷意見に全面的に賛同するものであるが,補足して意見を述べておきた゜し‘児童ポルノ法2条3項に定める児童ポルノであるためには,視覚により認識することができる方法で描写されたものが,実在する児童の同項各号所定の姿態であれば足りる。
児童ポルノ法7条が規制する児童ポルノの製造行為は,児童の心身に有害な影響を与えるものとして処罰の対象とされているものであるが,実在する児童の性的な姿態を記録化すること自体が性的搾取であるのみならず,このように記録化されだ性的な姿態が他人の目にさらされることによって,更なる性的搾取が生じ得ることとなる。
児童ポルノ製造罪は,このような性的搾取の対象とされないという利益の侵害を処罰の直接の根拠としており,上記利益は,描写された児童本人が児童である間にだけ認められるものではなく,本人がたとえ18歳になったとしても,引き続き,同等の保護に値するものである。
児童ポルノ法は,このような利益を現実に侵害する児童ポルノの製造行為を処罰の対象とすること等を通じて,児童の権利の擁護を図ろうとするものである。
令和2年1月27日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官深山卓也
裁判官池上政幸
裁判官小池幸裕
裁判官木澤克之
裁判官山口厚