児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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海兵隊員による準強姦につき「被害弁償金230万円が支払われているとはいえ、同女と示談できていない」として懲役2年6月とした事例(那覇地裁h28.7.15)

 軽い部類だそうです。

那覇地方裁判所
平成28年07月15日
国籍 アメリカ合衆国
所属部隊 在沖縄米海兵隊B基地第(省略)海兵師団戦闘強襲大隊本部支援中隊
社会保障番号(省略)
上記の者に対する準強姦被告事件について、当裁判所は、検察官茂木潤子、私選弁護人天方徹(主任)、同伊佐香菜子各出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中60日をその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、平成28年3月13日午前3時52分頃から同日午前4時19分頃までの間に、C市所在のビジネスホテルにおいて、Aが睡眠中のため抗拒不能であるのに乗じ、同女を姦淫したものである。
(法令の適用)
 被告人の判示所為は刑法178条2項、177条前段に該当するところ、犯情を考慮し、同法66条、71条、68条3号を適用して酌量減軽をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に処することとし、同法21条を適用して未決勾留日数中60日をその刑に算入することとし、訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
(量刑の理由)
 被害者は、飲酒等の影響によってホテルの廊下で熟睡状態に陥っていたところを突如見ず知らずの被告人によってホテルの室内に連れ込まれた挙げ句、判示のとおり姦淫されたものであり、被害者が感じた驚愕、恐怖等は甚大であったと容易に想像できる。被害者が被告人に対して厳しい処罰感情を抱くのも当然である。
 他方で、被告人が自ら被害者の抗拒不能状態を作出するなどしたわけではないことや、証拠上当初から姦淫するつもりでホテルの室内に被害者を連れ込んだとまでは認定できないこと、姦淫行為も短時間にとどまり執拗なものではなかったと認められることなどからすると、本件は既遂に達した準強姦1件の同種事案との比較の限りにおいては比較的軽い部類に属する事案といえる。
 そこで、上記の同種事案の量刑傾向を踏まえて検討すると、未だ示談するには至っておらず、被告人に対しては実刑をもって臨むのが相当である。そして、刑期については、被害者に対して被害弁償金230万円が支払われていること、被告人には前科はなく、本件犯行を認めて反省の態度を示していること、被告人の父が証人として出廷して被告人の更生を支える旨述べていることなど、被告人にとって酌むべき諸事情も考慮し、主文の刑が相当であると判断した。
(求刑 懲役4年)
刑事第1部
 (裁判長裁判官 潮海二郎 裁判官 川粼博司 裁判官 郄津戸朱子