児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

改正児童ポルノ・児童買春処罰法警察公論2005/5

 媒体の一部として、電磁的記録の没収もできると解説されています。
 東京高裁H15とか東京高裁H24では無理そうだけど、知らないふりして こんど主張してみよう。

刑訴法第498条の2〔不正作成等の電磁的記録消去等の処分〕
不正に作られた電磁的記録又は没収された電磁的記録に係る記録媒体を返還し、又は交付する場合には、当該電磁的記録を消去し、又は当該電磁的記録が不正に利用されないようにする処分をしなければならない。
②不正に作られた電磁的記録に係る記録媒体が公務所に属する場合において、当該電磁的記録に係る記録媒体が押収されていないときは、不正に作られた部分を公務所に通知して相当な処分をさせなければならない。

控訴審判決(東京高裁平成15年6月4日被告人上告公刊物未掲載)
東京高裁平成15年6月4日は、「所論のとおり,本件MOには,ホームページのバックアップデータと推認されるファイルも記録されているが,本件MOが没収されることによって被告人の請負ったホームページの作成,管理が不可能になったとしても,被告人が債務不履行責任を負い,発注者が,被告人や第三者に対し本件MOに保存されている発注者が提供したファイルを無断で使用しないよう請求することはできても,本件MO自体は被告人の所有物であり,発注者等が本件MOについて物権的な権利を有しているとは認められない。また,没収は,物の所有権を観念的に国家に帰属させる処分にすぎず,帰属した物の処分は別個の問題である。仮に国に帰属した後に,国が本件MOを発注者等の権利を害するような使用や処分をしようとした場合には,その行為の差し止めやファイルの複写,消去などを求め得る可能性はあるとしても,そのような可能性があることは没収の言い渡しを何ら妨げるものではない。」

東京高裁h24.9.5
携帯電話の没収について
携帯電話機は児童ポルノそのものであって 犯罪組成物として19条1項1号で没収対象となる(原判決は19条1項2号で没収したのは法令適用に誤りがあるが 判決に影響を及ぼさない) 
没収するかは裁判所の裁量によるところ 上記のとおり携帯電話機自体が児童ポルノであることからすれば、原判決がこれを没収したのは相当であり 本件携帯電話に「家族」の画像データが併せ保存されているからといって 原判決が裁量を逸脱したとみる余地はない
所論は「家族」の画像データを別の媒体に複写することの可否等について検討すべきであるというが、現行法上 被告人において自由に利用するために押収物である携帯電話機のデータの一部を複写することを許す規定はなく 所論は失当である

改正児童ポルノ・児童買春処罰法警察公論2005/5
Q
次は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律について述べたものであるが,誤りはどれか。
(4) 児童買春の未遂行為は.処罰の対象となる
(5) 電磁的記録であっても.刑法の規定により.没収することができる

解説
電磁的記録は,常に有体物である記録媒体上に記録・保存されている状態で存在するものであり.その没収は,現行刑法において認められている文書における偽造部分の没収と同様に,有体物の一部の没収として行うことが可能である。