児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警察庁による「ひそかに製造罪」の説明〜警察庁少年課課長補佐 友永光則「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部改正」警察公論2014年10月号

 大丈夫か、複製を除いちゃって。
 併せて読もう拙稿 法セミ pic.twitter.com/lwqH4G0Lb3

(5)盗撮による児童ポルノ製造罪の新設(7条5項)
現行の提供目的製造罪及び「児童に姿態をとらせ」製造罪に加えて,ひそかに児童ポルノに係る児童の姿態を写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより,当該児童に係る児童ポルノを製造した者は,3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処することとされた。
ア新設の趣旨旧法上,提供目的以外の児童ポルノ製造罪では意図的に児童に一定の姿態をとらせて写真等に描写することを要件としており,盗撮による製造は処罰対象とされていなかった。
しかし「児童に姿態をとらせ」製造罪のように,意図的に児童に児童ポルノに係る姿態をとらせる場合でなくても,盗撮という悪質な態様により児童ポルノを製造する行為は当該児童の尊厳を害する行為であるとともに児童を性的行為の対象とする風潮が助長され,抽象的一般的な児童の人格権を害する行為にほかならず,かつ流通の危険性を創出する点でも非難に値する。
そこで,提供目的製造罪(7条3項)及び「児童に姿態をとらせ」製造罪(7条4項)に加えて,盗撮による製造罪(7条5項)を新設することとしたものである。
イ本罪と他の製造罪との関係7条5項(盗撮による製造罪)は,7条3項(提供目的製造罪)と7条4項(姿態をとらせ製造罪)と「製造」という点で重なる。
このため,事案によっては,7条3項又は7条4項に該当する行為が同時に7条5項に該当する場合も考えられるため,その適用関係を整理するために,7条5項の冒頭に「前2項に規定するもののほか」と規定されたものである。
ウ「ひそかに」の意義「ひそかに」とは,「描写の対象となる児童に知られることのないような態様で」という趣旨である。
通常,盗撮されている児童は盗撮されていることを知らないのが一般的であるが,仮に盗撮されていることに気付いた場合であったとしても,児童に知られることのないような態様で撮影しているような場合には,基本的に適用されると解される。
エ「製造」の意義
児童ポルノを作成することをいうが,7条5項では「第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより」との手段の限定があるので,基本的に複製は除外される。