児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

防衛庁職員、盗撮で逮捕=プールで着替え中の女児狙う−千葉県警

 撮れたものは児童ポルノに他ならないのですが、盗撮は3項製造罪にはならないことになっています。立法の穴。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060710-00000000-jij-soci
更衣室で着替え中の女児を小型ビデオカメラで盗撮した

 窃視罪。ものすごく軽い罪。

軽犯罪法
第1条〔軽犯罪〕
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

追記0710
 児童の裸体の盗撮が3項児童ポルノ製造罪にならないことについては、島戸検事の論文があります。

島戸「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」について警察学論集57-08

島戸P97
カ「姿態をとらせ」
「姿態をとらせ」とは、行為者の言動等により、当該児童が当該姿態をとるに至ったことをいい、強制によることは要しない。

いわゆる盗撮については、本項の罪に当たらない22)。一般的にそれ自体が軽犯罪法に触れるほか、盗撮した写真、ビデオ等を配布すれば名誉毀損の罪も成立し得るし、他人に提供する目的で児童ポルノを製造すれば、第7条第2項、第5項により処罰されることとなる。

島戸P110
22)盗撮された児童は、盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ、あるいは促されるわけではないから、直ちに性的虐待を受けたものとはいえないし、提供目的を欠く場合、盗撮の結果が児童の心身に悪影響を及ばす危険が具体化しているともいえないから、盗撮を手段とした単純製造の行為を直ちに児童ポルノに係る罪として処罰する必要はない。他人に提供する目的がある場合は、第7条第2項又は第5項の罪が成立する。

この点については東京高裁H17.12.26でも確認しています。

「盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ・・・たものとはいえないし」っていうんですが、盗撮ものの児童ポルノも検挙されていて、盗撮ものでも、被害者が気づいていなくても、性的搾取・性的虐待・権利侵害という実害は認められると思います。ばれなきゃいいということでしょうか?