師弟関係の数回の淫行で起訴されると、罪名が青少年条例違反になってもやっぱり実刑が心配じゃないですか。
そういうときには、包括一罪の主張で処断刑期について裁判所を悩ませると、ちょっと軽くなるんですよ。特に田舎の裁判所は。
福井の事件については、高裁(金沢)で変更されているので、福井の弁護士は気付いていないと思います。
主張としては、高裁判決が2つあるので、弁論要旨で唐突にこういうのをコピペしておけば十分です。
福井の事件
原判決
福井地裁H18.12.13
H17.12性交(福井県青少年愛護条例)
H17.12性交(福井県青少年愛護条例)
H18.3性交(福井県青少年愛護条例)
併合罪
・・・・・・
名古屋高裁金沢支部H19.3.22
原判決は、第1〜第3の青少年条例違反の罪を併合罪としているが、青少年条例違反は、青少年の健全な育成を保護法益としているのであるから、同一犯意の下に同一の青少年に対して継続的に反復してみだらな性行為をした場合には、これを包括的に観察して一罪とすべきである。
福岡の事件
事案
犯行日 犯行地 行為 前回からの日数
H25.7.18A県 わいせつ
H25.8.22B県 淫行 34日
H25.9.1A県 淫行 10日
H25.9.1A県 淫行 0日15時間
・・・
福岡簡裁H25.10.1
(法令の適用)
被告人の判示所為のうちA県内での所為(1,3,4)はA県青少年健全育成条例第条1項2号,条1項に,B県内での所為(2)はB県青少年健全育成条例条1項1号,条1項にそれぞれ該当するところ,これらは,いわゆる包括一罪として,刑法10条により重いB県青少年健全育成条例違反の罪の刑で処断することとし・・・
・・・
福岡高裁H26.2.26
3 控訴理由第3について
論旨は法令適用の誤りの主張として,原判決が,A県青少年健全育成条例(以下「A県条例」という)違反及びB県条例違反の各罪を包括一罪とした上,重いB県条例違反の罪の刑で処断した点について,被害者はA県在住であるから,A県条例の罪の刑で処断すべきである旨いうのであるが,独自の解釈を前提とするものであって,失当というほかない。
福岡高裁はわいせつ行為と淫行も包括一罪になって、一番重い県の条例の刑で処断されるというのです。
同一青少年に対する数回の青少年条例違反を包括一罪とする裁判例
東京地裁八王子H19.11.12
鹿児島地裁H19.1.25
宇都宮地裁H20.9.17
高知地裁安芸H20.1.15
横浜地裁横須賀H18.10.24
横浜地裁横須賀H18.10.24
横浜地裁横須賀H18.10.24
横浜地裁横須賀H21.1.28
高知地裁安芸H20.1.16
高知地裁H24.2.10
津地裁H22.12.27
名古屋高裁金沢支部 H19.3.22
福岡簡裁H25.10.1
福岡高裁H26.2.26
懲戒解雇:わいせつ行為で講師を 県教委処分 /福井
毎日新聞 2014年03月21日 地方版
県教委は20日、勤務先の県立高校の女子生徒にわいせつな行為をしたとして2月に県青少年愛護条例違反容疑で越前署に逮捕された男性非常勤講師(41)を同日付で懲戒解雇処分にしたと発表した。また、同高の校長を文書訓告、教頭を口頭訓告の処分にした。
県教委によると、男性は2013年9〜10月ごろ、勤務先の高校で、教え子の女子生徒に対し、18歳未満と知りながら、複数回にわたって胸を触るなどのわいせつ行為をした、としている。
女子生徒が警察に相談して発覚した。3月中旬に男性が保釈され、県教委が事情を聞いたところ容疑を認めたため、処分したという。
教え子にわいせつ 高校非常勤講師逮捕 県条例違反容疑=福井
2014.03.01 読売新聞
教え子の少女にわいせつな行為をしたとして、県警少年課と越前署は28日、福井市つくも、県立高校非常勤講師容疑者(41)を県青少年愛護条例違反(わいせつな行為の禁止)容疑で逮捕した。「間違いありません」と容疑を認めている。
同署の発表では、容疑者は昨年9月下旬〜10月、勤務する県立高校の一室で教え子の少女が18歳未満と知りながら、わいせつな行為をした疑い。少女が11月下旬に同署に相談して発覚。容疑者は複数の県立高校で非常勤講師として勤務していたという。