児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

警告メール効果 児童ポルノ画像消去

 知らないで中継している人というのは、客観面では児童ポルノの4項提供行為(不特定多数)や公然陳列行為があるので、全員逮捕したり、捜索押収できるわけで、それをやっている警察もあるんですが、手が回らないので、根拠はわかりませんが、プロバイダに協力させて、警告させるというのです。
 他のプロバイダに拡がるかどうかは、協力させる根拠を見いだせるかですよね。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20130511-OYT8T01209.htm
◇県警運用8か月で90件、拡散防止着実

 県警はインターネットの接続業者(プロバイダー)大手の「ケイ・オプティコム」(関西電力系、本社・大阪市)の協力を得て、昨年9月から、ファイル共有ソフト「Share(シェア)」を通じた児童ポルノ画像の拡散を防ぐ取り組みを始めた。この8か月で、画像の拡散に手を貸しかねないとして、ソフト利用者に警告を発したのは90件。全件で利用者は違法画像を消去する処置をとり、拡散防止に向けた効果が着実に現れつつある。(佐々木伶)
 県警の取り組みは、捜査員がインターネット上の情報をチェックする「サイバーパトロール」を行い、ファイル共有ソフトを使って児童ポルノ画像を所持しているパソコン利用者を探す。見つけた場合、ケイ社を通じて警告メールを送り、そのデータを消去させる、というもの。
 県内のネット利用者(約30万世帯)のうち、約半数がケイ社を利用しているとのデータがあり、県警は協力業者として選んだ。ケイ社の担当者は「警察に協力することで児童ポルノが減れば、他の利用者の環境改善にもつながる」と話す。
 警察庁によると、児童ポルノに絡む事件の摘発は2012年、過去最多の1596件を記録。07年の567件から3倍近くまで急増しており、背景には「シェア」を始めとするファイル共有ソフトの普及が大きく影響していると考えられる。
 ファイル共有ソフトは2000年頃から利用が広まった。ソフトを通じて、不特定多数のパソコンがつながる格好となり、個人ユーザーでも大規模なデータを迅速にやりとりできるという利点がある。

 他方、ポルノ画像のやりとりを巡って、大手接続業者のサービスではこうした画像の送受信をブロックする仕組みが進んでいるが、ファイル共有ソフトを介在させたネットワークではこうした防御装置が機能しない。「抜け道」を通るような形で、データがやりとりされ、不心得な利用者が“悪用”する事態となっている。

 では、シェアを使った場合、どのような問題があるのか。シェアを通じて入手した画像のデータは個人のパソコンに入る。しかし、共有ソフトでつながったネットワークでは、悪意の第三者が、パソコン所有者の知らないうちに、そのデータを入手、拡散させることが可能だ。さらに、画像の入手者が、自分が拡散に手を貸しているという「罪悪感」を抱きにくいという盲点もある。

 県警の取り組みは、こうした自覚を欠く画像所有者に対し、警告を発し、拡散に手を貸さないよう注意を呼び掛ける狙いだ。

 県警が、問題となる画像をネット上で見つけた場合、ケイ社を通じ、この保持者に「ファイル共有ソフトによって児童ポルノ画像が公開されているのを確認しました。児童ポルノ禁止法に抵触するので、早急に削除してください。警告に従わない場合、取り締まりの対象となります」との文面のメールを送る。

 警告に従わない場合、「拡散につながることを知りながら、意図的に放置した」とみなして強制捜査に入ることもある。今のところ、そこまで至った事例はゼロだ。県警の担当者は「摘発でなく、とにかく児童ポルノの拡散を防ぐことを目的にしているが、一定の抑止力になっているのは間違いないだろう」と自信を見せている。

 甲南大法科大学院園田寿教授(情報法)の話 「シェアによる拡散に対し、取り締まりは“お手上げ”に近い状態だっただけに、有効な手立てとして一石を投じるものだ。ただ、どの画像を警告対象とするかについて、明確な線引きは難しく、強制捜査まで選択肢とする以上、ある程度、客観的な基準を示す必要があるのでは」

http://www.k-opti.com/press/2012/press05.html
本取り組みでは、滋賀県警児童ポルノコンテンツを所有している「eo光」利用者を抽出し、IPアドレスをリスト化します。そのIPアドレスのリストを基に、ケイ・オプティコムでは利用者に対し、警告メールを送付することにより拡散防止に努めるものです。
ケイ・オプティコムの提供するインターネット接続サービス「eo光」は滋賀県内でのシェアが1位であることから、滋賀県警児童ポルノ拡散防止に大きな効果があると判断し、ケイ・オプティコムに協力を要請しました。警察本部とインターネット接続事業者が連携することにより、迅速な対応ができ、児童ポルノ拡散防止に大きく寄与できるものと考えています。