児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

岡田好史「児童ポルノ禁止法における児童ポルノの規制をめぐる問題」刑法刑事政策と福祉 岩井宣子先生古稀祝賀論文集

 個人的法益説。
 実務は二枚舌でやってます。

児童ポルノ禁止法がわいせつ罪的側面を有していることは否定できない。また,立法の沿革から児童ポルノ関連犯罪も物に対する規制であるとの理解が広がり.個人的法益性が読み取りづらくなっていたといえる。
しかし刑法175条と児童ポルノ関連犯罪の諸規定を対比してみると.性描写の点では狼袈表現よりも児童ポルノの方がわいせつに達しない描写も含んでいる点でより緩やかな規制となっていること.刑法175条と異なり児童ポルノ関連犯罪の方が相当広範囲にわたる行為を規制対象としていること.罰則においても刑法175条よりも児童ポルノ関連犯罪の方が重く設定されていることからすると,児童ポルノ禁止法は既存の性刑法に比べて相当厳しい規制であることが認められる。1条にみられる法の目的や立法趣旨.「児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し.」行政機関は,相互に連携を図りつつ.その心身の状況.その置かれている環境等に応じ,当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し個人の尊厳を保って成長することができるよう,必要な保護のための措置を適切に講ずることを定めた15条の存在からすると,少なくとも現行法においては.第一次的には児童の個人的法益を保護し.付随的に社会的法益を保護していると解すべきであろう。児童ポルノにかかわる表現につき.厳格な規制による保護が憲法上正当化される根拠は,表現の自由についての規制にかかる以上,児童を性欲の対象としない風潮の維持や児童の健全な心身の成長を脅かす環境の排除といった社会的法益自体から正当化することは困難である。すなわち.法文から社会的法益性が読み取れるとしても.児童ポルノの作成や流通から被る害悪から被害児童を保護するという実在児童の個人的法益があくまでも前提であって,児童ポルノの受け手への悪影響の除去.児童の健全な心身の成長を脅かす環境の排除自体から児童ポルノの規制は根拠付けられるものではないと解するべきである。
児童ポルノ禁止法による疑似的児童ポルノの規制の検討
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