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東御市青少年健全育成条例の「わいせつな行為」の定義がわからない

東御市平成19年6月第2回定例会本文 平成19年6月15日(金) 午後1時30分 開議
日程第3 議案第61号 東御市青少年健全育成条例

○総務文教委員長(石川好一君)
 それでは、総務文教委員会の審査報告を申し上げます。
 本委員会は、6月11日に付託された議案につきまして、12日に審査をした結果、次のとおり決定したので、会議規則第103条の規定により報告します。
 議案第65号 東御市消防団員等公務災害補償条例の一部を改正する条例、原案を可決すべきものと決定。
 審査過程、特に申し上げることはございません。
 議案第61号 東御市青少年健全育成条例、この議案にかかわっては、審査経過の中でも申し上げますが、修正案が出されましたので、それを踏まえて審査結果を報告いたします。
 ①、修正案について可決すべきものと決定。
 ②、修正部分を除く原案について可決すべきものと決定。
 審査経過を申し上げます。
 まず、前日の本会議、いわゆる総括質疑において、市側に求めた本条例案についての、特に第24条、みだらな性行為等の禁止と、第25条、場所の提供の禁止にかかわって出された資料の質疑を行いました。
 その主な質疑は、①、みだらな行為の規定、定義のあいまいさはないかどうか。②、恋愛と淫行の違いの判断基準についてなどが出され、市側から出された資料に基づく市側の説明がありました。
 また3番目、本条例についての禁止規定を恣意的に運用するのではなく、解説を付しての運用の必要さが質問され、その方向での運用に努めるとの検討もありました。
 ④、条例運用に当たっては、警察当局と適切な対処をするべく打ち合わせを慎重にすべきとの要望も出されました。
 次に、あらかじめ提出された修正案についての説明・質疑を行いました。
 修正案の要旨は、お手元に配付の資料によって述べます。
 では、報告を続けます。
 条例原案の第25条中の、「次に掲げる」を、「前条に規定する」と改め、また、「これらの」を、「当該」に改め、同条の(1)から(6)の各号を削除するというのがその修正の要旨であります。
 質疑が終わったところで継続審査後の動議が出され、その採決の結果は可否同数となり、委員会条例第17条の規定で、本動議には反対という採決となりました。
 討論は、原案と修正案を一括して進めました。
 賛成では、慎重な運用で、この案によって青少年保護・育成を図るべきだ。この条例は社会常識、あるいは社会規範そのものであり、よりよい環境づくりに必要等々の意見が出されました。
 また、地区懇談会等で示されなかった条例内容については、今後も市民の意見を聞くべきといったことが意見として出されました。
 討論の終結後に採決に入りました。まず、修正案の採決の結果、可とするもの4、否とするもの2という結果となり、可決すべきものとなりました。
 また、修正部分を除く原案についての採決の結果は、可とするもの4、否とするもの2という結果、可決すべきものという審査結果となりました。
 なお、この条例の運用に当たっての拡大解釈、あるいは悪用解釈のなきよう、また、明確な説明内容の市民への理解を深める努力の必要さについて等々については、附帯決議の動議が出され、委員会提出議案として議長に提出することに決定されました。
 以上で報告を終わります。


○21番(山粼美喜子さん)
 それでは、何点かについてお尋ねをしたいと思います。
 総括質疑の中で、常任委員会の中で、その解釈のあいまいさに対してしっかりした内容を示すということと、解説を明記してお示しをするという答弁があったわけですけれども、そのものが委員会の中にちゃんと報告・明示されたのか、その点についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 それから、委員会を傍聴した方のお話ですと、この条例をつくることの効果についての議論がされる中で、教育長は、「効果がある」というふうに答弁をされ、また、教育次長は、「啓発の意味が大きい」ということの発言があって、何か行政の中でもその条例の酌み取り方が、それぞれニュアンスが違った発言が気になったというお電話をいただきましたけれども、その辺はどうなのかということと。
 先日の東信ジャーナルの報道では、条例は、地域が関心を高め、青少年の健全育成が目的で、摘発するためのものではないという発言をされた方の記事も載っていたわけですけれども。何か、まだまだ行政の中でも、市民の中でも、そのとらえ方がはっきりしていないあいまいな部分が、こういう一つ一つの何というんだろう、話し合いや取り組みの中でも出ているのではないかなというふうに思いますので、条例をつくる効果についてもし議論がされたのであれば、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、私たちが一番心配しているのは、自由な恋愛を条例で規制する、規制した上に罰金もかけるという、それぞれの内心の自由を侵す、この部分が一番懸念されるわけですけれども、その点についてどんな議論がされたのかをお聞かせいただきたいと思います。


○総務文教委員長(石川好一君)
 ではお答えいたします。
 ただいまの山粼議員からの質問、大きく4点あったかと思いますが、出された順に従ってお話をしていきたいと。それでよろしいですね。
 まず第1点、解釈のあいまいさというふうなことが心配されるので、はっきりした解説文を出せということが出されまして、6月12日の総務文教委員会で、新たに総務文教委員会資料として当局から出されました。
 これに基づきまして、特にこれの提出の要求は第24条、第25条にかかわってのことでございます。そこに、特に第24条の、みだらな性行為等の禁止につきましてはかなり、今までいただいた資料とは違って詳しく、これについての当局の考えを述べた資料をいただきました。
 いずれにしても、この条例の考えている根拠の中には、暴行や脅迫、対償の供与を伴わない青少年に対するみだらな行為は、現在の法令では対処できないというふうなものがあって、みだらな性行為についてはどういうことがみだらな性行為かというふうなことは、今まで総括等、あるいは全協等で出された資料を一歩も出ないと。
 ただし、先ほどのお話にありましたように、その運用については個人の理由云々というふうなお話がありましたけれども、この条例施行上、慎重に運用して、そこの途上で、場合によっては司法の判断を仰ぐ場合も出てくるのではないかという返答をいただきました。
 第2番目でありますが、委員会を何か傍聴した方からのご意見に基づいての質問、効果があるかというふうなことに対して、町の行政のニュアンスに違いがあって、行政はどうも統一できていないのではないかというふうなことにつきましては、返答することを差し控えさせていただきます。
 それから、3番目の東信ジャーナルの情報、行政の中での─1番とも、2番目の効果がある、ないにもかかわらず─この問題との関係があるかと思いますが、東信ジャーナルの情報は、行政の中にあいまいな部分があるのではないかというふうなことが書かれていたというようなことでありますが、それはそれとしまして、私どもは、常任委員会では当日出された、みだらな性行為の禁止、第24条の出された資料に基づいて審査をしたと、こういうわけでございます。
 それから、4番目の自由な触れ合いの規制の心配さでありますが、これは、この条例文の中にもありまして、いわゆる慎重な運用というふうなことと、みだらに悪用、拡大解釈はしないと条文がございまして、それは、自由な恋愛の規制というふうなところの心配はあるかどうかはないが─確とした返答はできませんが、条例の慎重な運用、それから悪用・乱用はしない。これは、青少年保護・育成のための条例であるというふうな基点に考えて、これは運用をしてもらうという以外には返答のしようがございません。
 以上でございます。




○総務文教委員長(石川好一君)
 ちょっと悪いけどはっきり、申しわけございません。


○21番(山粼美喜子さん)
 みだらな性行為について詳しく述べたものをいただいたという、答弁を今いただいたわけですけれども。
 議長、私たちはここで議論するについても、そういう資料は見せていただいていないので、できればぜひ、そういう資料は、こういう大事な問題なので、全議員に配っていただけるようなご配慮をいただければというふうに思います。
 その説明の中で、ここで詳しく述べられた内容を述べていただければいいわけですけれども、何か今の中ではそういうものをいただいたという返事でしたので、できれば文書でいただいた方が、私たちもわかりやすいのかなというふうに思う部分もありますので、もし議長の方でご判断いただければ、そういうふうにしていただければありがたいというふうに思います。
 それから、その調査の方法、みだらな行為をしているか、していないかという調査の方法で、どうですかね。腕章をして、市長から委嘱された職員の皆さんが、夜回りではないですけれども、その辺、市内を調査して歩いてというところまで踏み込むのかどうなのかということも非常に大きな問題ですし、市自身がそういう判断をできずにいて警察にお願いをするという、この辺も拡大解釈につながるという部分では、私自身は非常に懸念するところです。
 やはり私は、基本は県でもやっているように住民の運動と、それから業者への協力と行政の責任で、この問題については解決をしていくべきだというふうに思いますけれども、その辺についての議論がされたのかどうか、お尋ねをいたします。

○総務文教委員長(石川好一君)
 それでは、みだらな性行為等の禁止、つまり第24条にかかわって、新たに委員会に出された資料が手元にありますもので、朗読というか、読ませていただきます。
 「何人も、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない」。「何人も、青少年に対し前項の行為を教え、又は見せてはならない」。今の2項については、傍線で四角の枠の中に入っております。
 なお読みます。「本条は、精神的、肉体的に未成熟な青少年をみだらな(不当な手段で行う、又は単に自己の性的欲望を満足させるための対象としてのみだらな性行為)、又は著しくわいせつな行為の性被害からの救済をするための規定であり、性行為一般を規制するものではないことから、青少年の行動や真摯な恋愛を規制するような拡大解釈はしない。現行の法令では、性犯罪に関し、公然わいせつ罪、強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ及び準強姦罪、売春禁止法、児童福祉法、児童売春、児童ポルノ禁止法などがある。刑法では、13歳以上の場合は、暴行、脅迫等、一定の条件のもとに行った場合に、これらの罪が成立するにすぎず、同意したとみなされるものについては、強姦罪や強制わいせつ罪は適用されない。また、売春禁止法、又は児童売春禁止法では、金銭、又は対償を供与─つまり求めて与えたと─対償を供与した場合の処罰の対象となる」。
 現在の児童法では、「一般的に他人をもって児童に淫行させる行為が対象となる。したがって、暴行や脅迫、対償の供与を伴わない青少年に対するみだらな性行為は、現行の法令では対処できない。青少年は、心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に十分に安定しない発達段階であるため、性行為によって精神的な痛手を受けやすく、その痛手からの回復が困難であり、人格形成に大きな障害となるおそれもある。妊娠中絶や性感染症など、将来にわたる青少年の心と体のダメージははかり知れず、このような性被害から青少年を保護するため、その育成を阻害するおそれのあるものとして、社会通年上非難を受けるべき性行為について禁じるものである」。
 以下、用語のことがございます。みだらとは何か、略させていただきますが、不当な手段とは何か、そこは略させていただきますが。

総務文教委員長(石川好一君)
 さっき山粼議員の質問の調査の方法と、住民運動、業者への働きかけというのがちょっと残っていますもので、それに答弁をいたします。
 調査の方法の、いつ、だれが、どこで、どのようにという立ち入りに関する具体的なことはありませんでした。
 ただ、自販機等は月に2回程度入れかえがあると。いわゆるPTA、あるいは町の補導員等々について、補導的な立場からの立ち入りをしたいというふうなことがございました。
 なお、自販機の数が多いがどうだというふうなことにつきましては、ある自販機だけではなくて、公平性のある立ち入りをしたいというふうな返答がございました。
 それから、住民の運動によれ、あるいは業者への働きかけによれというふうなことは、常任委員会では、そのことは特別取り上げて話題とはなりませんでした。先ほども報告でも申し上げましたように、第24条、第25条が主に中心の答弁だったということでございます。
 以上です。

○21番(山粼美喜子さん)
 議長、ありがとうございました。
 読ませていただいて、あっちからこっちから言いわけをして、この法律でもだめだ、あっちの法律でもだめだから条例が必要だという、法以上のものを市がつくる一つの弁解の作文かなというふうに、私は今読ませていただいて感じたわけですけれども。
 今、住民運動で、学校の教育や家庭の教育でという部分は議論にならなかったというお話を聞いて、とても残念に思ったわけですけれども。そういうふうに、取り組みについては話にならなったというふうに私は今、委員長さんのお言葉を受け取ったんですけれども。そういう点で非常に残念に思うわけですけれども。
 それから、巡回して歩くのも、公平でありたいという、そういうところも非常に、その人の主観であいまいな部分があると思うんですよ。そういう点で、何か本当にあいまいさを残したまんまの条例制定なのかなという感が否めないわけですけれども。委員会として、本当に真からこの条例万歳、ありがたいというふうに賛成の意見が出そろったという雰囲気ではなかったという、それぞれの委員さんが、総務文教委員会でもこういう点が心配だ、こういう点が心配だ、こういう点が心配だということをそれぞれ出されて、真髄のところは話が余り及ばないで決められてしまったような感じを私自身も受けているわけですけれども、その辺、委員長さん、十分時間をかけて審議されたというふうには思いますけれども、何か委員長さん自身も自分の思いを記者に対してはおっしゃらなかったというほど迷いがあった条例ではないかなというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○総務文教委員長(石川好一君)
 何点かありましたね。
 あっちの法令、こっちの法律でしばっている中に、さらにこれでしばるというふうなご意見でございますが、今の話し合われたことは、それぞれの法律でしばって対応できない問題があるわけです。どういうことかというと、暴行や脅迫、対償の供与を伴わない青少年に対するみだらな行為は、既存の法律の中ではなかなか対応できない。そのことへの対応だと、青少年保護条例の処罰の系統は。
 それから、次の巡回の公平さが心配だと言いますけれども、これは、またいずれ細則のあれが決まるだろうと思いますが、ここで話し合われた公平さをもって臨みたいと明言しておるわけでございますから、そのところを信用する以外にないのではないかと。
 それから、委員会採決のことについて、こんなものでないのに委員長決めたのではないかというふうな、何か疑いのようなご質問がございましたが、はっきり申し上げます。
 まず、質疑は、お互いの質疑をやりました。したがって、ない時点で質疑はありませんかということを確認をして、そして、それでは質疑なしとしていいかと。委員の皆さんはよろしいというわけで臨んだ。
 討論の場合も、途中で、いっぱい意見がある中で打ち切ったわけではございません。いろいろな討論の中で、まだ討論意見ございませんかということを確かめて、それでないと。それでは討論を打ち切りますよということの採決を臨んだと。これ以上のことは、委員会としては、採決に臨んでの方法はございませんでした。以上です。
 それから、さっきの質問の中に学校教育の云々が、私の説明の不足でそういうふうに受け取られたとすれば訂正をしたいと思いますけれども、これも話題に出ました。そして、この条例は学校でも、大人で扱うようなわけにはいかないけれども、学校でもこういうふうなことに触れ、教育の世界でこれを子供の心の世界の中に近づけたいというふうな話し合いもあり、そういう答弁をいただいております。


「本条は、精神的、肉体的に未成熟な青少年をみだらな(不当な手段で行う、又は単に自己の性的欲望を満足させるための対象としてのみだらな性行為)、又は著しくわいせつな行為の性被害からの救済をするための規定であり、性行為一般を規制するものではないことから、青少年の行動や真摯な恋愛を規制するような拡大解釈はしない。というのですが、
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110215#1297675859
にも書きましたが、最判をよく読めば、わいせつ行為についても、「青少年条例の「わいせつな行為」とは、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔しまたは困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行うわいせつ行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性的行為であって、性交・性交類似行為を除くと解す」としないと憲法違反になります。



東御市平成19年6月第2回定例会本文 平成19年6月15日(金) 午後1時30分
それでは、みだらな性行為等の禁止、つまり第24条にかかわって、新たに委員会に出された資料が手元にありますもので、朗読というか、読ませていただきます。
 「何人も、青少年に対してみだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない」。「何人も、青少年に対し前項の行為を教え、又は見せてはならない」。今の2項については、傍線で四角の枠の中に入っております。
 なお読みます。「本条は、精神的、肉体的に未成熟な青少年をみだらな(不当な手段で行う、又は単に自己の性的欲望を満足させるための対象としてのみだらな性行為)、又は著しくわいせつな行為の性被害からの救済をするための規定であり、性行為一般を規制するものではないことから、青少年の行動や真摯な恋愛を規制するような拡大解釈はしない。現行の法令では、性犯罪に関し、公然わいせつ罪、強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ及び準強姦罪、売春禁止法、児童福祉法、児童売春、児童ポルノ禁止法などがある。刑法では、13歳以上の場合は、暴行、脅迫等、一定の条件のもとに行った場合に、これらの罪が成立するにすぎず、同意したとみなされるものについては、強姦罪や強制わいせつ罪は適用されない。また、売春禁止法、又は児童売春禁止法では、金銭、又は対償を供与─つまり求めて与えたと─対償を供与した場合の処罰の対象となる」。
 現在の児童法では、「一般的に他人をもって児童に淫行させる行為が対象となる。したがって、暴行や脅迫、対償の供与を伴わない青少年に対するみだらな性行為は、現行の法令では対処できない。青少年は、心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的に十分に安定しない発達段階であるため、性行為によって精神的な痛手を受けやすく、その痛手からの回復が困難であり、人格形成に大きな障害となるおそれもある。妊娠中絶や性感染症など、将来にわたる青少年の心と体のダメージははかり知れず、このような性被害から青少年を保護するため、その育成を阻害するおそれのあるものとして、社会通年上非難を受けるべき性行為について禁じるものである」。
 以下、用語のことがございます。みだらとは何か、略させていただきますが、不当な手段とは何か、そこは略させていただきますが。