児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

平成22年中の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙状況について

弁護人としても、どうして防犯対策が進まないのかと思います。
 大手のゲームサイトは、EMAの認定を受けて、フィルタリングが掛からないようになっていますので、そこで事件が起きている感じです。
 認定サイトだ、たかがゲームだということで、親が油断して小学生とかにケータイを持たしていると、遠くの悪い大人と接触することがあって、被害に遭います。低年齢もいるし、性的目的はないのに大人に引っかかることがあるので、出会い系と比較すると、強姦・強制わいせつ罪が目立つことになります。
 また、出会い目的なんだが、出会い系の規制(本人確認、年齢認証、料金等)を嫌って、全く規制がない非出会い系に流れているのも相当あります。
 結果として、非出会い系での事件が増えて、凶悪化しているような印象になります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110217-00000563-san-soci
半期ベースでも下半期が上半期を上回っており、事業者側の対策の効果が上が
っていない実態が浮き彫りになっている。
 まとめによると、被害の罪種別は、青少年保護育成条例違反が772人
(6.2%増)、児童買春214人(8.5%減)、児童ポルノ180人(7
8.2%増)。年齢別では16歳が337人でトップ、17歳(278人)、
15歳(262人)と続いた。12歳以下も34人いたという。
 きっかけになったサイト別では、大手携帯ゲームサイトが378人(212
人増)と突出。このサイトを含む被害児童数上位7サイトが、第三者機関のモ
バイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)から「健全」と認定されてお
り、認定サイトが全体の57.1%を占めた。
 EMAによると、このゲームサイトは昨年秋からミニメールの内容の監視を
スタートさせるなど、事業者側も対策を強化。EMAも認定基準の見直しを順
次行っている。しかし、認定サイトから別の未認定サイトに誘導されるケース
も目立つという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110217-00000033-mai-soci
警察庁によると、罪種別の内訳は青少年保護育成条例違反(淫行(いんこう)
など)の被害者が最多で772人。児童買春の214人が続き、強姦(ごうか
ん)の25人も目立つ。年齢別では14歳以下の低年齢層が362人(29.
2%)を占めた。
 警察庁からEMAへの情報提供は、7日に調印した覚書に基づき行うもの
で、今回が初めて。EMAはサイトの審査や監視の参考にするが、被害に遭っ
た子供が多数関わるサイトにどう対応するかが課題になりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110217-00000420-yom-soci
交流サイト、「健全」認定でも児童が被害に
 一方、フィルタリング対象となる出会い系サイトでの被害児童は06年以降
年々減り、昨年は前年より199人少ない254人となった。被害児童の大半
は、フィルタリング未加入の携帯電話を使ったという。 .

http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h22/pdf02.pdf
広報資料
平成23年2月17日
警察庁
平成22年中の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙状況について
1出会い系サイトに起因する事犯の検挙状況等
○ 平成22年中の出会い系サイトに起因する事犯の検挙件数は1,025件
(前年比-178件、-14.8%)。[1頁]
※ 出会い系サイト〜「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に規定するインターネット異性紹介事業を行うサイト。
減少した主な罪種は、児童買春が254件(-104件、-29.1%)、青少年保護育成条例違反が53件(-96件、-64.4%)。
○ 検挙件数1,025件のうち、出会い系サイト規制法違反が412件(前年比+59件、+16.7%)と最も多く、検挙全体の40.2%。
412件のうち、禁止誘引行為は404件(+56件)、そのうち、児童による誘引は284件(+62件)。[2頁]
412件のうち、事業者による法令違反は8件(+3件)(いずれも届出義務違反)。

○ 事業者に対する指示処分は4件(前年比+3件)(児童でないことの確認義務違反2件、変更届出義務違反1件、児童でないことの確認義務違反及び変更届出義務違反1件)。
○出会い系サイトを利用して犯罪被害に遭った児童は254人(前年比-199人、-43.9%)。被害の多い罪種は、児童買春が151人(-87人、-36.6%)、青少年保護育成条例違反が42人(-71人、-62.8%)、児童福祉法違反が34人(-24人、-41.4%)。[3・4頁]

2コミュニティサイトに起因する事犯の検挙状況等
○ 児童がコミュニティサイト(出会い系サイトを除く。以下同じ。)を利用して犯罪被害に遭った事犯の検挙件数は1,541件(前年比+194件、+14.4%)。[5頁]
○ 犯罪被害に遭った児童は1,239人(前年比+103人、+9.1%)。被害の多い罪種は、青少年保護育成条例違反が772人(+45人、+6.2%)、児童買春が214人(-20人、-8.5%)、児童ポルノが180人(+79人、+78.2%)。
折れ線グラフは、検挙件数。
●:出会い系サイト
▲:コミュニティサイト
棒グラフは、被害児童数。
:出会い系サイト
:コミュニティのサイト


「コミュニティサイト」とは、SNS、プロフィールサイト等、ウェブサイト内で多人数とコミュニケーションがとれるウェブサイトのうち、出会い系サイトを除いたものの総称。
3今後の対策
(1)出会い系サイト対策
○悪質な出会い系サイト事業者に対する行政処分及び取締りの継続。
○ 禁止誘引行為等の書き込み違反者に対する、全国協働捜査方式を活用した取締りの徹底。
(2)コミュニティサイト緊急対策
「コミュニティサイトの利用に起因する犯罪から子ども守るための緊急対策」(2月14日付け、犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議申合せ)を踏まえ、関係省庁、関係事業者及び関係団体と連携して、次の対策を推進する。


○フィルタリングの100%普及
・保護者に対する広報啓発等各種啓発活動の推進
・携帯電話販売店に対するフィルタリング実態調査及び分析
・携帯電話事業者及び大手契約代理店等に対する継続的働きかけ
・PTA等民間団体と共同での携帯電話販売店に対する要請
○実効性のあるゾーニングの促進
・コミュニティサイト事業者によるゾーニングの自主的導入促進
・携帯電話事業者の保有する利用者年齢情報の活用促進
※ 一部携帯電話事業者とコミュニティサイト事業者が、既に、携帯電話事業者の保有する年齢情報を活用したゾーニングを導入。
○ミニメール内容確認等サイト内監視体制の強化促進
・コミュニティサイト事業者による自主的体制整備の促進
・ミニメール内容確認手法の改善促進
(3)EMAへの情報提供
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(一般社団法人)に対する児童の犯罪被害情報提供により、サイトの認定・監視の強化を促進する。


モバイルコンテンツ審査・運用監視機構【Content Evaluation and Monitoring Association
略称EMA(エマ)】〜携帯・PHSのフィルタリングで一律にアクセスが制限されてしまうコミュニティサイト等について、青少年を違法・有害情報等から保護し、健全育成する観点から、サイトを認定・監視し、啓発教育を促進するための、有識者からなる第三者機関。平成20年4月設立。

出会い系サイトに起因する事犯の検挙状況等

1検挙件数の年別推移

(件)
※対象は、出会い系サイトに起因する事犯として警察が把握しているもの。

  • 1


出会い系サイト規制法違反の状況
(1)検挙状況
○ 禁止誘引(法第6条)
平成22年中の検挙件数は404件(前年比+56件)、このうち児童による
誘引は284件(前年比+62件)。
(件)
○ 届出義務(法第7条)違反
事業の開始を公安委員会に届け出ずに出会い系サイトを運営した届出
義務違反事件を8件検挙。

(2)行政処分(法第13条)
出会い系サイトの運営において、児童でないことの確認を怠った2事業者、届出事項に変更があったにも関わらず公安委員会に届け出なかった1事業者、児童でないことの確認を怠るとともに届出事項に変更があったにもかかわらず公安委員会に届け出なかった1事業者に対して、児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示を行った。

3被害者の年齢・性別
(人)
※「児童」とは、18歳未満の者をいう。
※()は、「被害者数」に対する割合。
4被害者(被害児童)の出会い系サイトへのアクセス手段
(人)
5被害者のうち小学生・中学生・高校生の数

(人)
※「高校生」には、児童ではない者(18歳)を含む。
※()は、前年比。
6罪種・年齢別被害者数
(人)

○総被害者数のうち、女性が72.8%(H21〜91.6%)を占める。
○女性被害者のうち、児童が87.5%(H21〜89.0%)を占める。

女子児童被害者のうち、児童買春及び青少年保護育成条例違反の被害者
が、76.3%(H21〜77.2%)を占める。

7コミュニティサイトに起因する事犯の検挙状況等

被害者が児童であり、罪種が上記に該当するものに限り統計をとったもので、出会い系サイトに起因する事犯の検挙状況の統計のとり方とは異なる。

8「出会い系サイト」と「コミュニティサイト」との比較

(1)罪種別の被害児童数
(人)

(2)年齢別の被害児童数
(人)
9平成22年中の検挙事例
出会い系サイトに起因する事犯の検挙事例
【児童買春・児童ポルノ法違反(児童買春)】
被疑者(会社員・男・49歳)は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童に対し、現金を渡す約束をして、ホテルにおいてわいせつな行為をした。
(9月・青森県

出会い系サイト規制法違反(届出義務違反)】
被疑者(運転代行従業員・男・46歳)は、鹿児島県公安委員会に届出をすることなく、インターネットの無料レンタル掲示板に出会い系サイトを開設して運営した。(10月・鹿児島県

【強姦致傷、窃盗】
被疑者(自営業・男・42歳)は、路上に駐車した自動車内において、携帯電話の出会い系サイトで知り合った女性を姦淫して、首や足にけがを負わせ、現金1万円が入った財布を盗んだ。(10月・宮城県

コミュニティサイトに起因する事犯の検挙事例
青少年健全育成条例違反(みだらな性行為等違反)】
被疑者(教員・男・38歳)は、携帯電話のモデル募集サイトを通じて知り合った女子児童に対し、長崎へ来るので会おうなどと甘言を用いて誘い出して、被疑者の自動車内でみだらな行為をした。(10月・長崎県

青少年健全育成条例違反(みだらな性行為等違反)、児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ)】
被疑者(教員・男・50歳)は、路上に駐車した自動車内において、携帯電話のゲームサイトを通じて知り合った女子児童とみだらな行為をし、同児童に全裸で性交する姿態等をとらせた上で、被疑者が使用する携帯電話機付属のカメラ機能により静止画及び動画として撮影して、児童ポルノ画像を製造した。(11月・広島県

【準強姦、児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ)】
被疑者(会社員・男・34歳)は、携帯電話のゲームサイトにおいて、中学3年生の女子児童になりすまし、同サイトで知り合った女子児童に、自己の胸がが露出した姿態を取らせた上、これを同児童が使用する携帯電話機付属のカメラ機能により静止画として撮影させ、被疑者の携帯電話機宛てに電子メールの添付ファイルとして送信させて保存し、児童ポルノ画像を製造した。
さらに、インターネットの監視団体を名乗り、わいせつ画像が添付された電子メールが確認されたので警察や裁判所に通報するなどのメールを送信して同児童を畏怖させるとともに、なりすました中学3年生として、被疑者の要求に応じるしかないと仕向ける内容のメールを送信して、同児童を困惑させ、同児童の反抗を抑圧した上で姦淫した。(10月・高知県