これは法律優先
熊本県少年保護育成条例の解説p81
[解説]
1 本条は、刑法の規定による「暴行」、「脅迫」、「心身喪失」、「抗拒不能」等を伴わない少年に対するみだらな性行為(淫行)又はわいせつ行為すなわち、刑法をはじめ関係実定法令だけでは規制できない部分を、少年の保護という面からとりあげて規制したものである。
2 児童福祉法では児童に第三者が「なさしめる」行為を禁止したもので、直接相手として「淫行」 を行った場合は、本条が適用される。
また、相手となる少年が承諾したかどうかは関わない。
3 第1項関係
(1) 「みだらな性行為」とは、「淫行j と同義語で、一般社会人からみて不純とされる性行為をいい、結婚を前提としない、単なる欲望を満たすためあるいは好奇心からのみ行う性行為がこれにあたり、性交のほか性交類似行為も含まれる。また、不純であるかどうかは、あくまでも社会通念上判断されるべきものである。
(2) 性交類似行為とは、性交に類似した行為であり、少年にとって精神的又は身体的な観点から性交と伺様の影響を及ぼすものを指す。すなわち、男女聞の性交を模した、あるいは性交を連想させるような姿態での手淫、口淫行為や同性愛行為等がこれに当たる。(昭和51. 4.26大阪高裁判決、平成8. 3. 1 8長野家裁判決等)
(3) 「わいせつ行為」とは、いたずらに性欲を刺激、興奮させたり、その露骨な表現によって正常な普通一般社会人に、性的しゅうち嫌悪の情をおこさせ善良な性的道義感に反するものをいう。
しかし、現にしゅうち嫌悪の情をおこさせたことを必要としない。このような情をおこさせる性質の行為であればこれに当たる。
(4) 本項の規定のうち児童貿春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)に該当するものについては、同法が適用される。p89
〔要旨〕
本条は、この条例が関係者によって確実に守られ、その目的の達成を確保するため最小限度の罰則を規定したものである。
〔解説〕
条例の目的を達成するための、条例違反者に対する制裁規定である。同ーの行為が、他の法令の罪にも該当するときは、刑法の定めるところにより重い罰則が適用される。