判例を知っていれば、まとめて家裁に起訴すればいいわけです。全部起訴できて、有罪になるし、適正な量刑を得られる。家裁が文句言おうと、現時点の判例なんだから、それに従っていれば、責任問われない。
にもかかわらず、地裁家裁に分けて起訴するというのは、無知・無謀なんです。
詳しく説明しますと、
「1/1 A子に対する3項製造罪」
「1/1 A子に対する児童淫行罪」
だとして、判例を知っている検事は 観念的競合説(判例)ですから、少年法37条2項で
「1/1 A子に対する3項製造罪」と
「1/1 A子に対する児童淫行罪」を、家裁に起訴
ということになります。
裁判所は児童淫行罪と製造罪が観念的競合という判例に従うとして、
起訴検事がそれを知らないで、
「1/1 A子に対する3項製造罪」を 3/1に地裁に起訴し
「1/1 A子に対する児童淫行罪」を、4/1に家裁に起訴
すると、
地裁は管轄違、
家裁は二重起訴で公訴棄却
すべきことになりますよね。
まとめて家裁に起訴し直せということになりますが、各裁判所はもう一個の事件を知らないので、実体判決したりしますよね。
例えば、
「1/1 A子に対する3項製造罪」について、地裁は4/1に懲役1年執行猶予の判決
となったして、確定すると、一事不再理効は家裁事件にも及びますから、
「1/1 A子に対する児童淫行罪」を、4/1に家裁に起訴
は免訴になりますね。
また、
「1/1 A子に対する3項製造罪」について、地裁は4/1に懲役1年執行猶予の判決
となったして、確定せずに、控訴されると、高裁で管轄違になります。
その時点で検察官が公訴事実同一性に気づいて、家裁事件が確定してなければ、訴因変更で家裁事件に追加できますが、そのときに家裁事件の一審判決が出ていると、控訴審での訴因変更になるのですが、被告人控訴だと、不利益変更禁止で、刑期は重くなりません。訴因変更で追加された製造罪の量刑は得られません。
被告人側は、とにかく、製造罪の一審判決(実体判決)をもらえばよいことになります。