児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案

 高市早苗議員の提案です。
 有害情報をこのように定義して

第二条
2 この法律において「青少年有害情報」とは、次のいずれかの情報であって青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるものとして青少年健全育成推進委員会規則で定める基準に該当するものをいう。一 人の性交等の行為又は人の性器等の卑わいな描写その他の性欲を興奮させ又は刺激する内容の情報であって、青少年に対し性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼすもの
二 殺人、傷害、暴行、処刑等の場面の陰惨な描写その他の残虐な行為に関する内容の情報であって、青少年に対し著しく残虐性を助長するもの
三 犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為、自殺又は売春(以下この号において「犯罪等」という。)の実行の唆し、犯罪の請負、犯罪等の手段の具体的な描写その他の犯罪等に関する内容の情報であって、青少年に対し著しく犯罪等を誘発するもの
四 麻薬等の薬物の濫用、自傷行為その他の自らの心身の健康を害する行為に関する内容の情報であって、青少年に対し著しくこれらの行為を誘発するもの
五 特定の青少年に対するいじめに当たる情報であって、当該青少年に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの
六 家出をし、又はしようとする者に向けられた情報であって、青少年の非行又は児童買春等の犯罪による青少年の被害を著しく誘発するもの

 で、有害情報を媒介している事業者に罰則付きで義務づけています。発信者を処罰する規定はない。

(是正命令)
第六条 主務大臣等は、インターネット接続役務提供事業者が第三条若しくは第四条第一項の規定を遵守していないと認めるとき又は携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前条の規定を遵守していないと認めるときは、これらの者に対し、これを是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(是正命令)
第九条 都道府県知事は、前条の事業を行う者が同条の規定を遵守していないと認めるときは、その者に対し、これを是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

第三十条 第六条又は第九条の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 ところで2条2項各号の「有害情報」には、情報自体が必ずしも違法ではないものも含まれていて、違法でない場合、発信者は処罰されないのに、媒介者は命令違反罪で処罰されるということになります。合法情報なのに。
お気の毒というか、納得できないでしょうね。

 違法な児童ポルノである場合、現行法でも、故意に媒介した掲示板管理者は公然陳列罪の正犯・幇助・共謀共同正犯として処罰されているのに、この法案では、命令がない限り処罰されないことになって、「違法」の場合については責任軽減されているようです。児童ポルノ掲示板管理者を免責するんですか?