児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

画像掲示板閉鎖の連鎖

 3年前の判例が今頃効いてきた感じですが、
  横浜地裁h15.12.15(管理者正犯説)
  東京高裁H16.6.23(管理者正犯説)
を探して読んでもらえば、何をすれば何罪になるのかが具体的にわかります。
 制定法ではなくて判例ですが、知らなくても有罪です。
 判例によると、何でもOKの画像掲示板を設置したら作為犯の「実行の着手」で、UPされたら未必の故意でも、正犯の「既遂」だというんですから、犯罪の成否については、掲示板閉鎖しても一緒ですよ。既遂だから中止犯にもならない。将来的に捜査機関に見つからないという効果はあるでしょうけど。まあ、素人判断ではなく最寄りの弁護士に相談して欲しいものです。

画ちゃん管理人逮捕を受け「がむしゃら」「VIPろだ」閉鎖
http://www.new-akiba.com/archives/2007/05/vip_24.html
この一連の閉鎖の裏には「画像ちゃんねる」の管理人の逮捕がある。違法な画像をアップロードしたユーザーではなく、管理人が逮捕されてしまうようなリスキーな状態では運営できないと判断したのだろう。

 それで、くどいようですが、この本を頭から一読してください。古い本なので、探してください。第3章に上記の判決を紹介しています。

インターネット上の誹謗中傷と責任

インターネット上の誹謗中傷と責任

http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1224.html
第3章 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題
 第1節 プロバイダの刑事責任(山口 厚)
 第2節 プロバイダの刑事責任――判例の考察(奥村 徹)
 第3節 プロバイダの刑事責任について――プロバイダの立場からの一考察(落合洋司
 ■座談会 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題
  (山口 厚/落合洋司/奥村 徹/丸橋 透/森 亮二)


追記
 判例の表示がちょっと違うけど、状況はこうですね。

http://www.j-cast.com/2007/05/25007936.html
「もう事前承認制にするしかない」
しかし、ネット上のわいせつ画像の投稿などの事件に詳しい奥村徹弁護士は、「画像ちゃんねる」管理人の逮捕から同型サイトの「閉鎖連鎖」を「驚くことは何もない」と話す。というのも、画像投稿サイトについて児童ポルノ公然陳列罪が問われた事件で、問題の画像を放置していたサイト管理人が「正犯」として投稿者より重い罪が課された最高裁判例があったのだという(平成16年6月23日最高裁判決が上告棄却で確定)。「これで状況が変わった」と奥村弁護士は指摘している。つまり、サイト管理人がわいせつ画像やポルノ画像の投稿を「放置」していても、投稿者より、重い罪が課せられる可能性が出てきたのである。
「捜査関係者はこの判例をみんな知っている。(この判例に)ビックリするのはサイト管理人と一部の弁護士だけです。(「悪いのは投稿者」などと)管理人はもう何を言っても無駄なんですよ」
しかも、この事件を担当したのは神奈川県警で、「画像ちゃんねる」管理人を逮捕したのも神奈川県警である。
「当然、県警もこの裁判の行方を見ていたでしょう。とすれば、『画像ちゃんねる』の管理人が逮捕されるのは時間の問題だったと思いますよ」
となれば、画像投稿型の掲示板も次々と閉鎖に追い込まれるのも十分頷ける。奥村弁護士は「もう事前承認制にするしかない」と指摘している。