児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

他人にキャッシュカードを譲渡する目的で銀行に対して自己名義で口座開設を申し込みキャッシュカードの交付を受ける行為は詐欺罪となる(仙台高裁h18.11.7)

 通帳詐欺は高裁レベルで有罪の判決が続々ですね。

一項詐欺罪を肯定するもの

  • 東京高裁H18.10.11
  • 阪高裁H18.9.21
  • 仙台高裁H18.11.7

仙台高等裁判所平成18年11月7日
弁護人上告
判決理由
総合口座規定及び本件銀行担当者らの供述等に照らせば,銀行においては,口座開設を承諾するか否かにおいて,口座等の利用を口座名義人が行うか否かは,口座開設を承諾し,キャッシュカードを交付するか否かを判断する上での重要な要素になるというべきである。被告人も,多数回にわたり,他の銀行での口座開設,キャッシュカード等の取得をしており,そのことを知悉している。また,口座開設自体は誰でも行い得るものとはいえ,それは口座開設名義人本人がこれを利用することを前提としているものであるし,また,キャッシュカードも同様の目的で交付されるものである上,これらは,それ自体が所有権の対象となり得るにとどまらず,これを利用して,預金の預入れ,払戻しを受けられるなどの財産的価値をも有するものと認められるから(預金通帳について,平成14年10月21日最高裁第二小法廷決定・刑集56巻8号670頁),自己名義で預金口座を開設し,それに伴って銀行から交付される場合であっても, これらは刑法246条1項の客体である財物に当たると解される。
なお,所論は,金融本人確認法を援用し,本件に詐欺罪を認めることが過度の制裁であるなどというのであるが,同法と詐欺罪とはその趣旨,目的を異にするものであり,本件は銀行側の財産権を侵害するものであるから,詐欺罪を適用することが過度の制裁であるとはいえない。