「幇助の構成要件を言え」という国会議員がいましたが、幇助の規定はたったこれだけ。
刑法第62条(幇助)
1 正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
第63条(従犯減軽)
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
刑事局長の「実行行為以外の行為で正犯の実行行為を容易にすること」という答弁は「幇助」の定義。
「正犯の実行行為」というのは、各種罰条の構成要件に規定されている行為。これはある程度具体的。
だから
○○罪の幇助の構成要件
=○○罪の構成要件(正犯の実行行為)×それを容易にしたこと
になって、「容易にした」というのが無限定だから、結局、限定されないわけだ。
有線放送の事件に戻れば、そんなこと言いだしたら、のみ行為犯人に、携帯電話売ったとか、電話設置したとか、文房具売った、事務所貸したとかいうのは、正犯行為と因果関係があるかぎり、全部客観的には幇助行為ですよね。「中立的行為」というんでしょうが。
となると、因果関係は客観的証拠があるとすると、結局、幇助意思で決まる。
となると、被告人の供述に頼ることになりますよね。
有線放送なら、「のみ行為犯人も専らド演歌聞かれていました。」などと説明できれば、幇助意思は薄まるし、「競艇開催日だけ事務所開けて有線聞いてました。有線聞きながら電話で投票受け付けてました」なんていうと、幇助意思は濃くなる。弁護人としてはこれで決まるんだから被疑者に頑張って欲しいところです。
幇助の事例を見ていると、これで幇助?と思う事件もありますが、そんなに真剣に争われていません。
どうせ幇助は減軽されるし、有罪でも多分罰金だしということになると、そんなに頑張って否認する人もいないんでしょうね。
そう思って任意段階で警戒しないで供述すると公判請求されたりするわけで。
別に、有線放送の被疑者を応援するわけではありませんが、自分の言ったことで刑事責任が決まるんだから、よく考えて慎重に物を言えということです。