法制審議会では、厳罰化に隠れて、強盗致傷の下限を引下げる議論が出ています。
酌量減軽すれば執行猶予が付けられるように現行法の7年を6年に。
改正時期を見越すと、ある時期以降、強盗致傷罪は控訴しておいた方がいいかもしれません。
http://www.moj.go.jp/SHINGI/040419-1.html
(原文縦書き)
諮 問第六十九号
近年における凶悪・重大犯罪の実情等にかんがみ、この種の犯罪に対処するため、早急に、刑事の実体法及び手続法を整備する必要があると思われるので、別紙要綱(骨子)について御意見を承りたい。別紙
要綱(骨子)
第 一 有期の懲役及び禁錮の法定刑の上限の改正等
一 有期の懲役及び禁錮は、一月以上二十年以下とするものとすること。
二 有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては三十年にまで上げることができるものとすること。
三
1 死刑を減軽して有期の懲役又は禁錮により処断する場合においては三十年にまで至ることができるものとすること。
2 無期の懲役又は禁錮を減軽する場合においても1と同様とすること。
第 二 強制わいせつ、強姦及び強姦致死傷の各罪等の法定刑の改正等
一 強制わいせつ及び準強制わいせつの各罪(刑法第百七十六条及び第百七十八条中第百七十六条の罪に関係する部分)の法定刑を六月以上十年以下の懲役とすること。
二 強姦及び準強姦の各罪(同法第百七十七条及び第百七十八条中第百七十七条の罪に関係する部分)の法定刑を三年以上の有期懲役とすること。
三 強姦致死傷の罪(同法第百八十一条中第百七十七条の罪及び第百七十八条(第百七十七条の罪に関係する部分)の罪に関係する部分)の法定刑を無期又は五年以上の懲役とすること。
四 二人以上の者が現場において共同して強姦又は準強姦の罪を犯したときは、四年以上の有期懲役に処し、よって女子を死傷させたときは、無期又は六年以上の懲役に処するものとすること。
第 三 殺人の罪等の法定刑の改正
一 殺人の罪(刑法第百九十九条)の法定刑を死刑又は無期若しくは五年以上の懲役とすること。
二 組織的な殺人の罪(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第三条第一項第三号及び同条第二項中第一項第三号の罪に関係する部分)の法定刑を死刑又は無期若しくは六年以上の懲役とすること。
第 四 傷害及び傷害致死の各罪等の法定刑の改正
一 傷害の罪(刑法第二百四条)の法定刑を十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金とすること。
二 傷害致死の罪(同法第二百五条)の法定刑を三年以上の有期懲役とすること。
三 危険運転致傷の罪(同法第二百八条の二)の法定刑を十五年以下の懲役とすること。
四 暴力行為等処罰に関する法律第一条ノ二第一項の罪及び同法第一条ノ三の罪(刑法第二百四条の罪に関係する部分)の法定刑を一年以上十五年以下の懲役とすること。
第 五 公訴時効期間の改正
死刑又は無期若しくは長期十五年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪について、時効は、次の期間を経過することによって完成するものとすること。
1 死刑に当たる罪については、二十五年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については、十五年
3 長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については、十年
別に、秘密ではないんですよ。
http://www.moj.go.jp/SHINGI/040604-1.html
法制審議会刑事法(凶悪・重大犯罪関係)部会
第3回会議 議事録
第1 日 時 平成16年6月4日(金) 自 午後1時30分
至 午後4時28分
第3 議 題
凶悪・重大犯罪に対処するための刑事法の整備について
第4 議 事 (次のとおり)
● 論点ということでございますが,第1回部会におきまして,○○委員から,強盗罪及び強盗致傷罪という罪名を挙げられました上で,これらの罪の法定刑の在り方についてはこれまでも種々の議論があったとの御指摘があり,引き続き,○○委員の方からは,強盗致傷罪につきまして,この罪に当たる行為の中には,その態様や結果が比較的軽微なものもあるという実務面からの問題提起もございました。さらに○○委員からは,強盗罪と強姦罪との法定刑の不均衡という論点の提示もございました。これらを通じまして,強盗をめぐる問題といいますのは,端的に申しますとその法定刑の下限の引下げをめぐる問題と理解されるところだと思います。
なお,今回の諮問におきまして,凶悪犯罪の典型の一つでもあります強盗を取り上げなかった理由といたしましては,第1回部会でも御説明申し上げましたが,強盗罪や強盗致傷罪の法定刑の下限を引き下げるのであれば,別途強盗の加重処罰類型についても考えなければならないのではないか,そうすると窃盗の加重処罰類型についても考えるべきことになるのではないか,そうすると凶悪・重大犯罪について御審議いただくという本部会の議論の対象としては拡散してしまうのではないかという,事務当局としての考え方があったわけですが,あえてそこまで論点を拡散せずに,今申しました刑法の強盗致傷罪等の法定刑の下限の引下げの問題を論じられるかということも一つの問題になるかと思われます。