児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ネットいじめ

 最近問題になってるんですが、
http://news.google.co.jp/news?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2005-48,GGLG:ja&q=%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81&oe=UTF-8&sa=N&tab=wn
 掲示板管理者の民事責任についてはプロバイダ責任制限法ですけど、文字面をみて権利侵害が明々白々な場合でないとプロバイダは動いてくれないので、「いじめ」の場合には、対応してくれないことになります。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO137.html
特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
(損害賠償責任の制限)
第三条  特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときは、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下この項において「関係役務提供者」という。)は、これによって生じた損害については、権利を侵害した情報の不特定の者に対する送信を防止する措置を講ずることが技術的に可能な場合であって、次の各号のいずれかに該当するときでなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該関係役務提供者が当該権利を侵害した情報の発信者である場合は、この限りでない。
一  当該関係役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知っていたとき。
二  当該関係役務提供者が、当該特定電気通信による情報の流通を知っていた場合であって、当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき。
2  特定電気通信役務提供者は、特定電気通信による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれかに該当するときは、賠償の責めに任じない。
一  当該特定電気通信役務提供者が当該特定電気通信による情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由があったとき。
二  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、当該権利を侵害したとする情報(以下「侵害情報」という。)、侵害されたとする権利及び権利が侵害されたとする理由(以下この号において「侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報の送信を防止する措置(以下この号において「送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があった場合に、当該特定電気通信役務提供者が、当該侵害情報の発信者に対し当該侵害情報等を示して当該送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会した場合において、当該発信者が当該照会を受けた日から七日を経過しても当該発信者から当該送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。
(発信者情報の開示請求等)
第四条  特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一  侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二  当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
2  開示関係役務提供者は、前項の規定による開示の請求を受けたときは、当該開示の請求に係る侵害情報の発信者と連絡することができない場合その他特別の事情がある場合を除き、開示するかどうかについて当該発信者の意見を聴かなければならない。
3  第一項の規定により発信者情報の開示を受けた者は、当該発信者情報をみだりに用いて、不当に当該発信者の名誉又は生活の平穏を害する行為をしてはならない。
4  開示関係役務提供者は、第一項の規定による開示の請求に応じないことにより当該開示の請求をした者に生じた損害については、故意又は重大な過失がある場合でなければ、賠償の責めに任じない。ただし、当該開示関係役務提供者が当該開示の請求に係る侵害情報の発信者である場合は、この限りでない。

わいせつ目的略取未遂で執行猶予事例(盛岡地裁H19.2.13)

 この辺が、実刑−猶予の分水嶺

会社員の被告に地裁が有罪判決 わいせつ略取未遂罪 /岩手県2007.02.14 朝日新聞社
 女子高校生を車に連れ込もうとしたとして、わいせつ略取未遂の罪に問われた被告(33)に対する判決公判が13日、盛岡地裁であった。杉山慎治裁判長は「被害者の精神的、肉体的苦痛は大きいが、計画性はなく反省している」とし、懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡した。
 判決によると、被告は06年11月19日の午後5時半ごろ、滝沢村滝沢の路上で、自転車で通行していた少女(当時18)にわいせつな行為をしようと背後から駆け寄り、車に連れ込もうとしたが、悲鳴を聞いて近所の住民が駆けつけたため、未遂に終わった。

第225条(営利目的等略取及び誘拐)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

 法定刑に下限がある罪は重いんです。
「結婚」というのは「婚姻」とは違うんですよ。事実婚・略奪婚

被害児童の供述の信用性

 略式の場合の記録をチェックしていると、被害児童の供述が被疑者の供述や客観的事実と食い違っていることがよくあります。罪の成立については完全自白事件なので、枝葉は問題にしないけども、記憶というのはいい加減だなと思います。お互いですけど。
少しでも不正確を減らすために、弁護人も裏付けを探すことになります。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200702150097.html
強制わいせつ男性の無罪確定 '07/2/15
 酒に酔った女性にむりやりわいせつ行為をしたとして強制わいせつ罪に問われ、1審、2審ともに無罪を言い渡された安来市内の会社員男性(24)について、広島高検松江支部は上告を断念。14日、男性の無罪が確定した。上告断念について同支部は「要点は被害者の供述の信用性に関する評価の問題であり、われわれは被害者の供述は信用できると考えている」とのコメントを出した。

強制わいせつ:2審も無罪判決−−高裁松江支部 /島根(毎日新聞) - 2007年1月30日(火) 
判決で赤西裁判長は、「女子高生の証言には不自然さがあり、信用性を認めることは困難」とした。男性は05年6月、安来市内の自宅で酒に酔った女子高校生(当時16歳)の体を無理やり触るなどのわいせつ行為をしたとして、強制わいせつ罪で起訴されていた。

安来の強制わいせつ控訴審 男性、2審も無罪 高裁支部判決=島根(読売新聞) - 2007年1月30日(火)
 控訴審では、1審で認められなかった女性の供述の信用性が改めて争点となった。検察側は、女性の供述に基づいて犯行を再現したビデオテープを証拠として提出したが、赤西裁判長は「供述通りに(犯行が)できたか、疑問の余地があり、信用性を認めることはできない」とした。

改正前から改正後にまたがる3項製造罪(姿態とらせて製造)は違法性の意識はいつ備わるのか

 同一児童に対する数回の撮影行為については、3項製造罪(姿態とらせて製造)を包括一罪にするのが実務らしいですが、改正前からやっている場合、違法じゃなかったのがある日突然違法になるので、違法性の意識があるか・どの程度あるかが問題になります。

製造罪について違法性の意識欠如
1 はじめに
 3項製造罪(姿態とらせて製造)というのは、h16.7.8に施行されたが、被告人の撮影行為はそれをまたいで行われているのであるから、製造罪の公訴事実の一部又は全部について3項製造罪の創設を知らなかった。
 法務省もいまだに新法を周知していない有様であって、被告人が知らないのも無理はない。
 従って、刑法38条3項但書によって、児童ポルノ製造罪については、減軽する必要がある。
 弁護人が原審においてもそう主張していたにもかかわらず、原判決は減軽を行っていない。従って、原判決は違法性の意識を欠いた点に刑法38条3項但し書きを適用して減軽しなかった点で重すぎて不当であり、量刑不当により破棄を免れない

2 改正法施行と本件製造行為
 改正前から被告人が被害児童の裸体などを撮影していたことは証拠上明かである。
 法改正後の撮影行為のみを製造罪として立件したことが説明されている。罪刑法定主義から当然である。

 客観的には3項製造罪(姿態とらせて製造)がh16.7.8に施行されたとしても、被告人が認識する契機もなく、被告人がそれを認識した事実はない。
 特に、改正直後の犯行もある。
 特別法犯の構成要件の追加など、一般人には知り得ないところである。

3 法務省の周知不足
 さらに、今日、新法施行の周知として有力なのは官庁のwebページであるが、主務官庁である法務省のWEBサイトは、いまだに旧法を広報している。
 形式的には改正法は、公布・施行されているが、実質的には「公布・施行」が欠ける。
http://www.moj.go.jp/KEIJI/h01.html

 法務省の広報によれば、3項製造罪は存在しないのであるから、違法性の意識の可能性も乏しいと言うべきである。
 期待可能性が減少すると評価すべきである。
4 まとめ
 以上の通り、被告人は3項製造罪の施行を知らなかったから違法性の意識がなかった。
 かつ、法務省もいまだに新法を周知していない有様であって、被告人が知らないのも無理はない。
 従って、刑法38条3項但書によって、児童ポルノ製造罪については、減軽する必要がある。
 弁護人が原審においてもそう主張していたにもかかわらず、原判決は減軽を行っていない。従って、原判決は違法性の意識を欠いた点に刑法38条3項但し書きを適用して減軽しなかった点で重すぎて不当であり、量刑不当により破棄を免れない

第38条(故意)
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
2 重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を減軽することができる。

食事代・交通費が「対償」と評価されなかった事例(福島簡裁H19.1.26)

 「漫画本数冊の対償供与を約束し性交」という児童買春罪もあって、対価性の認定も難しいですが、金額とか供与の時期とかで常識的判断になると思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070216-00000065-mailo-l11
わいせつ:女子高生とみだらな行為 県主任懲戒免職 /埼玉
 県人事課によると、元主任は06年11月18日、宇都宮市内のホテルで、福島市内に住む高校2年の女子生徒(当時17歳)にみだらな行為をしたとして1月、福島県警に栃木県青少年健全育成条例違反の疑いで逮捕された。1月26日に福島簡裁から罰金30万円の略式命令を受けている。
 元主任は06年2月に携帯電話の出会い系サイトで女子生徒と知り合い、宇都宮市内などで同様の行為を計9回行った。女子生徒に食事代や交通費を渡しており、同課は「性行為の直接対価ではないが、買春に近接した行為で悪質」と処分理由を説明している。

逮捕報道

17歳にみだらな行為 埼玉県職員を逮捕 福島署=福島
容疑者が「おれはヤクザを知っている」などと自分に会うよう迫るメールを送り続けたため、女子生徒と母親が同署に相談し、犯行が発覚した。 [読売新聞 ]

年齢不知で不送致

 「先生」と呼ばれる職業。
 こちらで被害児童を特定して、警察も被害児童に接触して、検察庁に送るのを止めた。
 出会い系で知り合った相手が児童だったというケース。
 通るかどうかわからないんだけれども、被疑者にも調べてもらって、弁護人がいろいろやってみて、
   性交等の後で年齢聞いた
   性交等の時点では年齢(18歳未満)を知らなかった
という主張が通った。
 検察庁で不起訴になる前でストップできて、不起訴よりまし。ダイバージョン。
 結果は児童だったんだから、逮捕されていれば、「18歳未満と知りながら・・・」で処理されていたでしょうね。
 なお、条例の年齢知情推定規定は適用されないとの主張が通りました。

満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為(34条1項5号)か有害支配(1項9号)か?

 この事案は15歳なので酒席の罪ではなさそうです。なら、有害支配の罪。
 法定刑は「三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070216-157479.html
中学生キャバ嬢月給60万円荒稼ぎ
 調べでは、容疑者は東京都葛飾区新小岩でキャバクラ「レアスポットラーシャス」を経営。昨年11月から12月にかけ、いずれも都内に住む15歳の中学3年の女子生徒2人をホステスとして雇い、客の接待をさせた疑い。

第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
四 満十五歳に満たない児童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
四の三 戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第四項の接待飲食等営業、同条第六項の店舗型性風俗特殊営業及び同条第九項の店舗型電話異性紹介営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
六 児童に淫行をさせる行為
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
九 児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
児童養護施設、知的障害児施設、知的障害児通園施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設又は児童自立支援施設においては、それぞれ第四十一条から第四十三条の三まで及び第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

第60条
第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
③第三十四条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
④児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
⑤法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第一項から第三項までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各項の罰金刑を科する。
⑥第二項(第三十四条第一項第七号及び第九号の規定に違反した者に係る部分に限る。)の罪は、刑法第四条の二の例に従う。

追記
 新聞記者が構成要件を見ていないので、報道がまちまちです。

 読売。14歳なら酒席に侍させる行為なんですが、「15歳未満」

キャバクラで14歳を働かす 経営者を児童福祉法違反容疑で逮捕 警視庁=東京
2007.02.17 読売新聞社
 14歳の女子中学生をキャバクラで働かせていたとして、警視庁少年育成課は16日、葛飾区新小岩のキャバクラ「レ」経営、容疑者(34)ら3人を児童福祉法違反の疑いで逮捕したと発表した。調べによると、容疑者らは昨年11月から12月にかけ、都内の公立中3年の少女2人(当時14歳)をホステスとして雇い、客の接待をさせていた疑い。
 昨年10月、都内の区立中学校から、「中3の女子生徒がインターネットのブログに『夜の仕事をしている』と書き込んでいた」との情報提供があり、同課などでブログの内容などを調べたところ、この少女2人を含む15歳以下の女子中学生4人が、同店で働いていたことが分かった。

産経。15歳だと酒席の罪にはならない。

女子中学生をキャバクラ嬢に 経営者ら3人逮捕
2007.02.17 産経新聞
 女子中学生をホステスとして働かせていたとして、警視庁少年育成課は児童福祉法違反の疑いで、葛飾区新小岩のキャバクラ「レアスポットラーシャス」経営、容疑者(34)=千葉県市川市=ら3人を逮捕した。
 「若い女の子を1人でも多く獲得することがほかの店に勝つ絶対条件で、確認しないまま黙認していた」と供述しているという。
 調べでは、容疑者らは平成18年11〜12月、いずれも15歳で中学3年の女生徒2人を雇い、接客させた疑い。働いていた別の女生徒(15)がブログに「夜のアルバイトに行っている」と書き込んだことから発覚した。

<ブラジル検察>容疑者起訴に「追加証拠必要」 浜松の殺人

 代理処罰制度ですが、証拠については、日本の官憲作成のものでも翻訳さえすれば、あっちで使えるようですね。
 日本の法廷にブラジル警察の調書を持ってきても、原則として証拠能力ないですけどね(伝聞法則)。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070216-00000044-mai-soci
リオデジャネイロ共同】05年の静岡県浜松市のレストラン経営者殺害事件で、日本政府から日系ブラジル人の男に対する代理処罰の要請を受けたブラジルのミナスジェライス州検察庁は15日、男を起訴するには追加証拠が必要だとする声明を発表した。
 声明は足りない証拠の具体的内容を明らかにしていないが、同検察庁関係者によると、担当検事が目撃者らのより詳しい供述を提示するよう求めているもよう。今後、静岡県警との間で翻訳した証拠書類のやりとりが必要になるとみられ、捜査の長期化が懸念される。
 声明は、男を逮捕するか否かの判断は「時期尚早だ」と指摘した。
 一方で声明は、同検察庁も事件がこの男による「強盗殺人だったとみられる」と認識したことを明らかにした上で、証拠さえそろえば「2、3日で起訴できる」とした。

 国外犯の場合、そういう外国官憲の書類が混じっていて、中には信用性が怪しいのもありますから、弁護人はチェックしましょう。
 検察官が3号書面(員面)だといって出してきても、「大佐」「中佐」って、そもそも警察とは思えない人の報告書・調書もあります。


第320条〔伝聞証拠排斥の原則〕
第三百二十一条乃至第三百二十八条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
第321条〔被告人以外の者の供述書面の証拠能力〕
被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。
一 裁判官の面前(第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。

迷惑防止条例と強制わいせつ罪の関係〜痴漢行為

 2/5の公判廷に出てきてるのに、2/16に発覚とは。
 強制わいせつと条例違反罪の境目は不明というか、別々に検討されれうるのでそんなものはない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070216-00000119-jij-soci
出勤途中の電車内で女性の体を触ったとして、東京法務局の統括登記官被告(60)が強制わいせつの現行犯で逮捕、起訴されていたことが16日、分かった。同法務局は同日付で被告を懲戒免職処分にした。
 同法務局によると、被告は昨年11月28日午前7時35分ごろから約10分間、JR京葉線新浦安駅から新木場駅の間で、女性(17)の体に触った。女性と友人が取り押さえ、八丁堀駅で駅員に引き渡した。
 被告は面会した同法務局職員に対し、容疑を否認したが、今月5日、東京地裁の初公判で起訴事実を認めた。同被告は来月末で定年退官の予定だった。 

11/28逮捕→2/5初公判→2/16免職→2/19判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070216-00000414-yom-soci
免職となったのは被告(60)で、すでに強制わいせつ罪で起訴され、今月19日に判決が言い渡される。
 同局によると、被告は昨年11月28日朝、JR京葉線の新浦安―新木場駅間の電車内で、当時17歳の女子高生の下着の中に手を入れるなどのわいせつ行為をしたという。
 同局は、被告が当初、犯行を否認していたことから、事実を公表せず、今月5日の初公判で被告が起訴事実を認めたため、懲戒処分とした。

http://knakayam.exblog.jp/2922562/
いわゆる「痴漢」行為に関連して、それが刑法上の「強制わいせつ」罪に当たるのか、都道府県の迷惑防止条例上の「卑猥な言動」に当たるのかが問題になることがあり、その関係をどのように理解すべきなのかという質問がありました。女性の下着を上から触れば条例上の「卑猥な言動」に当たるが、下着の中に手を入れれば刑法上の「強制わいせつ」になるというのが実務上の処理だともいわれているようですが、そんなに簡単なものではないように思われます。
・・・・・
行為の場所で分けた後、人に対する強制の有無を考慮した上で、重なる場合には、程度によって、相対的に重い刑法犯か、軽い条例違反行為かを区別するということになるでしょう。

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
第5条(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)
① 何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。


 強制わいせつは親告罪なんですけど、起訴されるまでに告訴取り下げてもらわないと起訴されて、起訴後に示談・告訴取下しても、起訴は有効。
 罰金刑は選択できません。

 第176条(強制わいせつ)
十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

だから、起訴されちゃうとですね、示談は必要ですけど、示談しても、起訴猶予とか罰金というのはないんですよ。懲役刑(実刑・執行猶予)しかない。
 認めるんなら早い方がいんです。

医療従事者の刑が確定した場合

 感心できませんが、お医者さんも常連客になりました。4〜5人お世話にしました。
http://www.google.co.jp/search?q=%E8%B2%B7%E6%98%A5%E3%80%80%E5%8C%BB%E9%81%93%E5%AF%A9%E8%AD%B0%E4%BC%9A&hl=ja&lr=&start=10&sa=N
ということです。
 通達があるので確実に医道審議会に連絡されます。

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040621/1131794886
法務省刑総第156号(例規
             平成16年2月23日
最高検察庁総務部長殿
高等検察庁次席検事殿
地方検察庁次席検事殿
              法務省刑事局総務課長
医師法第4条第3号及び歯科医師法第4条第3号該当者に係る情報の提供について(通知)
標記の件について,厚生労働省医政局長から別添のとおり協力依頼がありましたが,医療行為という国民の健康に直接かかわる医師又は歯科医師に対し,その免許の取消し又は医業等停止の行政処分が適正に行われるためには,行政処分に必要な情報を提供する必要があります。

 そのときになって、あわてて示談というのもよく聞きます。
 しかし、被害弁償・示談をしていないことは、量刑(懲役刑期・罰金額)に反映されているし、量刑は行政処分の重要な要素ですから、医道審議会の開始を待っていては遅い。
 こういうことをする人ですから、当初は何がどう悪いのかの認識が浅い・甘いですね。
 弁護人も通達とか医道審議会を意識していないし保護法益も量刑要素も知らないので、大して対被害者活動していない。
 となると、比較的重い量刑になって、示談も遅きに失して、行政処分も重くなる。
 
 相手もある話なのでうまくいかないんですが、可能であるならば、最初から一番軽いところを目指して、時間もらって慰謝の措置を尽くして、判決確定したら、医道審議会向けに、さらにアクション起こすくらいがベストなんじゃないですか?

違法業者の広告掲載は共犯?

 東京高裁は正犯説ですけど、警察庁は共犯説(幇助)

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令改正試案」に対する意見の募集結果について

http://www.npa.go.jp/comment/result/seikan2/huuzokusian.pdf
1 広告宣伝の規制について、
○ 広告出稿時に、性風俗関連特殊営業の届出が必要であると法律で規制してはどうか。また、広告の依頼主、広告代理店、雑誌社の全てに罰則をかけてはどうか。
との御意見がありました。
一部のスポーツ新聞、週刊誌等に、無届業者による性風俗関連特殊営業の広告宣伝がはん濫している現状を改善するため、新法では、店舗型性風俗特殊営業(いわゆるファッションヘルス等)又は無店舗型性風俗特殊営業(いわゆるデリバリーヘルス等)の届出書を提出していない者は、これらの営業を営む目的をもって、広告又は宣伝してはならないこととし、これに違反した者を100万円以下の罰金に処する規定を新設しました。広告代理店等も無届業者の広告であることを知りながらこれを掲載すれば共犯となります。
また、新法では、性風俗関連特殊営業の届出をした営業者に対して届出があった旨を確認する書面(届出確認書)を交付することとしていますが、併せて、性風俗関連特殊営業を営む者は、その営業に関する広告の掲載等を依頼する際に、広告の依頼を受ける広告代理店や雑誌社などから届出確認書の提示を求められた場合には、これを提示しなければならないこととしました。警察庁では、これらの規制により、無届業者の広告宣伝を排除する効果が相当あると考えています。

10/24の強姦未遂で逮捕(1/13)否認→告訴取下→春頃の青少年条例違反で罰金20万円(2/2)の事例

 示談の成否はわかりませんが、示談したんなら、青少年条例違反もまけて欲しいところです。
 教員の性犯罪の報道が目立ちます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070216-00000103-mailo-l15
新潟・性的暴行未遂:少女と性的関係、県立高の教諭免職 県教委が懲戒処分 /新潟
2月16日12時1分配信 毎日新聞
 元教諭は先月13日、少女に対する性的暴行未遂の疑いで新潟東署に逮捕された後、告訴が取り下げられたが、昨年春ごろ、少女と性的関係を持ったと自供。2日、県青少年健全育成条例違反の罪で略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けた。

婦女暴行未遂容疑で高校教諭を逮捕 新潟東署=新潟
 新潟東署は13日、教諭(36)を婦女暴行未遂の疑いで逮捕した。
 調べによると、容疑者は昨年10月24日夕、新潟市の路上に駐車した乗用車内で、交際していた同市の少女(16)を乱暴しようとした疑い。容疑者は少女の自宅近くで待ち伏せし、自分の車に乗せて人目につかない場所に移動していた。
 2人は昨年2月ごろ、出会い系サイトで知り合ったとみられる。容疑者は容疑を否認しているという。
[読売新聞 ]

平成18年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件の検挙状況について↑→

 犯罪を企む者とも出会いますので、なんでもありです。

http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf33.pdf
7 事件検挙事例
【児童買春・児童ポルノ法違反(児童買春・児童ポルノ、偽造通貨行使】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童に対し、現金を供与する約束で児童買春するとともに、性交場面を撮影した児童ポルノを製造したうえ、性交の対価として偽一万円札10枚を手交した。
(平成18年9月・富山)
【児童買春・児童ポルノ法違反(児童買春、覚せい剤取締法違反】被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童と現金を供与する約束をして児童買春したうえ、覚せい剤を混入した焼酎を飲ませた。
(平成18年7月・青森)
【青少年保護育成条例違反、児童買春・児童ポルノ法違反(児童ポルノ
被疑者は出会い系サイトを通じて知り合った女子児童と性交するとともに、性交場面を撮影した児童ポルノを製造したうえ、同画像をインターネット掲示板に掲載した。
(平成18年11月・石川)
児童福祉法違反】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った家出中の女子児童を4日間にわたり、性交目的で自宅に滞在させた。
(平成18年7月・徳島)
売春防止法違反、児童福祉法違反等】
被疑者3人は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童に対し、遊客の男性を性交の相手方として紹介し、児童買春等の周旋をするとともに、淫行させた。
(平成18年10月・神奈川)

出会い系サイト規制法違反】
被疑少年2人(女子中学生)は、携帯電話の出会い系サイトに「男性募集、18まいなす2だよ…」などとわいせつ行為の相手をする内容の書き込みを行い、児童との性交等の相手方となるように誘引した。
(平成18年11月・警視庁)

【殺人】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女性と口論になり、車内において首を絞めて殺害した。
(平成18年7月・熊本)

【強盗致傷】
被疑者4人は、出会い系サイトに援助交際を装った書き込みを行い、これに
応じた男性を呼び出して暴行を加え、現金1万5千円を強取するとともに、約
7日間の加療を要する傷害を負わせた。
(平成18年10月・佐賀)

【強姦】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女性を自己の運転する車両に乗車させ、手錠をかけて抵抗不能な状態にしたうえ、強姦した。
(平成18年9月・愛知)
【準強姦】
被疑者は、出会い系サイトでアルバイトを探していた女性に対し、健康食品の試飲モニターのアルバイトを口実に、ダイエットサプリメントと称して睡眠薬を飲用させ、昏睡状態に陥らせたうえ、強姦した。
(平成18年11月・山形)

【未成年者誘拐】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童が未成年者であることを知りながら、甘言を用いて誘拐した。
(平成18年12月・宮崎)

【強制わいせつ】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童に対し「知り合いのヤクザを呼ぶぞ」などと脅したうえ、胸を触るなどのわいせつ行為をした。
(平成18年10月・香川)
【傷害】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童を自宅に連れ込み、手拳やベルトで殴打し、10日間の加療を要する傷害を与えた。
(平成18年8月・兵庫)
【恐喝】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女子児童に対し、援助交際していることを親や学校に告げるなどと申し向け、現金4万円を喝取した。
(平成18年11月・長崎)
【窃盗】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った女性とカラオケに行き、隙を見てバッグ内の財布から現金2万1千円を窃取した。
(平成18年7月・北海道)
【詐欺】
被疑者は、出会い系サイトを通じて知り合った複数の女性に対し、返済意思があるかのように装い、弁償金の支払い名目で借金を依頼し、サラ金から借入れさせるなどして、現金合計441万円を詐取した。
(平成18年9月・京都)
麻薬特例法特例法違反】
被疑者は、出会い系サイトに「S1パケ13000」などと書き込み、複数の男女に覚せい剤等を密売した。
(平成18年10月・愛知)