児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の有罪判決で、犯罪組成物件(19条1項1号)としてデスクトップpcが没収された事例

児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の有罪判決で、デスクトップpcが没収された事例
 普通は、HDD・SSDという媒体が児童ポルノとして没収されますけどねえ。
 電磁的記録の類で、児童ポルノDVDの場合にプレーヤーは没収しないだろう。

8 没収
 千葉地方検察庁で保管中の~デスクトップパソコン1台(令和5年千葉検領第1880号符号25の1)は判示第4の犯罪行為を、それぞれ組成した物であり、いずれも犯人以外の者に属さないから、刑法19条1項1号、2項本文の規定により没収する。

第一九条(没収)
 次に掲げる物は、没収することができる。
一 犯罪行為を組成した物
二 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物
三 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物
四 前号に掲げる物の対価として得た物

裁判年月日 令和 5年 9月29日 裁判所名 千葉地裁 
事件番号 令5(わ)281号 ・ 令5(わ)414号 ・ 令5(わ)788号
文献番号 2023WLJPCA09296005
上記の者に対する建造物侵入(変更後の訴因建造物侵入、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反)、器物損壊、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件について、当裁判所は、検察官山本樹出席の上審理し、次のとおり判決する。 
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
 千葉地方検察庁で保管中の小型カメラ3台(令和5年千葉検領第1880号符号1、2及び46の2)並びにデスクトップパソコン1台(令和5年千葉検領第1880号符号25の1)を没収する。
 
 
理由

 (罪となるべき事実)
 第1 被告人は、令和5年1月12日頃、中学校内において、A所有の水筒に自己の精液を入れてこれを汚損し(損害額約1628円)、もって他人の物を損壊したものである。
 第2 被告人は、令和5年1月30日頃、中学校内において、B所有の水筒に自己の精液を入れてこれを汚損し(損害額約2000円相当)、もって他人の物を損壊したものである。
 第3 被告人は、用便する女子生徒の身体等を撮影する目的で、令和5年2月7日午前7時30分頃、中学校の校長が看守する同校a棟3階南側女子トイレ内に侵入し、常習として、その頃、同所において、同トイレの天井部分及び同トイレ内個室と隣接する用具入れの仕切り板下部に小型カメラ合計3台(令和5年千葉検領第1880号符号1、2、46の2)をそれぞれ設置し、もって便所において、人の通常衣服で隠されている身体等を撮影する目的で写真機その他の機器を設置し、みだりに、人を著しく羞恥させ、かつ、人に不安を覚えさせるような行為をしたものである。
 第4 被告人は、自己の性的好奇心を満たす目的で、令和5年2月9日、市〈以下省略〉被告人方において、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され、又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録である動画データ11点を記録した児童ポルノであるデスクトップパソコン1台(令和5年千葉検領第1880号符号25の1)を所持したものである。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 1 構成要件及び法定刑を示す規定
 被告人の判示第1及び第2の各所為は刑法261条に、判示第3の所為のうち建造物侵入の点は刑法130条前段に、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の点は同条例(昭和39年千葉県条例第31号。以下「迷惑行為等防止条例」という。)13条の2第2項第1号、3条の2第1号に、判示第4の所為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条1項前段、2条3項3号に、それぞれ該当する。
 2 科刑上一罪の処理
 判示第3の建造物侵入と迷惑行為等防止条例違反との間には手段結果の関係があるので、刑法54条1項後段、10条により1罪として重い建造物侵入の罪の刑(ただし、罰金刑の多額については、迷惑行為等防止条例違反の罪の刑による。)で処断する。
 3 刑種の選択
 いずれも懲役刑を選択する。
 4 併合罪の処理
 刑法45条前段の併合罪であるから、刑法47条本文、10条により刑及び犯情の最も重い判示第3の罪の刑に法定の加重をする。
 5 宣告刑の決定
 以上の刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処する。
 6 未決勾留日数の本刑算入
 刑法21条を適用して未決勾留日数中60日をその刑に算入する。
 7 刑の全部の執行猶予
 情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
 8 没収
 千葉地方検察庁で保管中の小型カメラ3台(令和5年千葉検領第1880号符号1、2、46の2)は判示第3の犯罪行為を、デスクトップパソコン1台(令和5年千葉検領第1880号符号25の1)は判示第4の犯罪行為を、それぞれ組成した物であり、いずれも犯人以外の者に属さないから、刑法19条1項1号、2項本文の規定により没収する。
 (量刑の理由)
 (求刑 懲役3年、主文同旨の没収)
 千葉地方裁判所刑事第1部
 (裁判官 土倉健太)