児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

傍聴人の皆様へ 最高裁判所広報課 児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ等被告事件について

 10/18の大法廷の弁論でこんなのが配られていました。
 奥村の主張の4/6が落とされたような感じです。

傍聴人の皆様へ
平成29年(2017年) 10月18日
最高裁判所広報課
児童買春児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ等被告事件について
事案の概要
◇本件は,被告人が13歳未満の被害女子に対し,わいせつな行為をし,その様子をスマートフオンで撮影するなどして児童ポルノを製造し,そのデータを知人に送信して提供したとされる事案である。
※なお,上記のほかに,正当な理由なく,被告人名義の貯金通帳等を第三者に有償譲渡したとされる事案も併せて係属しているが, この事案については争いがない。
◇ 1審弁護人は,下記最高裁判例(昭和45年判例)を挙げ,被告人には性的意図がなかったから強制わいせつ罪は成立しないと主張した。1審(神戸地裁)は,被告人の弁解(金を借りるために条件として要求された行為をしたもので,金を得る目的であった。)を排斥できないとした。その上で,昭和45年判例は相当ではなく,強制わいせつ罪の成立について犯人が性的意図を有する必要はないとして,被告人に強制わいせつ罪が成立すると認め,その他の事実も有罪と認めて,被告人を懲役3年6月(求刑懲役4年6月)に処した。
◇原審(大阪高裁)も,昭和45年判例を現時点において維持するのは相当でないと判断し,被告人の控訴を棄却した。
最高裁昭和45年1月29日第一小法廷判決・刑集24巻1号1頁
「刑法176条前段のいわゆる強制わいせつ罪が成立するためには,その行為が犯人の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行なわれることを要し,婦女を脅迫し裸にして撮影する行為であっても, これが専らその婦女に報復し, または, これを侮辱し,虐待する目的に出たときは,強要罪その他の罪を構成するのは格別,強制わいせつの罪は成立しないものというべきである」

子どもの「自撮り」、要求にも罰則 兵庫県が条例改正案

 東京都の条例案を参考にして「欺罔威迫困惑」を要件とするようですが、ほとんどの自画撮り事案(姿態をとらせて製造罪)ではそういう言動はないので、本気で「欺罔威迫困惑」すると、強制わいせつ未遂になりますので、誘引行為が条例で検挙されることはないような気がします。

https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk16/documents/kossi.pdf
2) 児童ポルノ自画撮り被害の防止
だまされたり脅されたりして青少年が自身の裸の画像をスマートフォン等で撮影し、メール等で送らせられるいわゆる「児童ポルノ自画撮り被害」については、被害児童が年々増加傾向にあり、極めて憂慮すべき事態となっています。
こういった犯行は、青少年が性に対する判断能力が未成熟であることに乗じて行われる極めて悪質なものである上、画像がインターネット上に流出する危険性が高く、一度流出した画像については回収がほぼ不可能となり、将来に渡って青少年を苦しめる要因となることも十分考えられます。
被害を防止するためには、青少年に対して画像を送るよう働きかける行為自体を規制し原因を絶つことが重要ですが、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律では、製造や提供といった行為は禁止されているものの勧誘行為を禁止する規定はなく、未遂罪も定められていないため、現行法令では青少に対して自画撮りを勧誘する行為を取り締ることは困難な状況であり、早急な対応が必要となっています。
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① 禁止行為
青少年自身に係る児童ポルノ※4やその電磁的記録その他の記録を提供するように該青少年に求める行為を禁止します。
※4 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する児童ポルノとします。
② 罰則
①の禁止行為を犯した場合には、罰則を適用することを規定します。
※ 罰則には、懲役、罰金、科料があり、禁止行為の程度(例えば、威迫するなどの不当な手段を用いた場合)に応じて量刑を定めます。

http://digital.asahi.com/articles/ASKBR5RZKKBRPIHB02S.html
子どもの「自撮り」、要求にも罰則 兵庫県が条例改正案
 中高生らが自分の裸を撮影してメールなどで他人に送る「自画撮り被害」を防ぐため、兵庫県は23日、18歳未満の相手に画像を要求する行為を罰則付きで禁じる県青少年愛護条例の改正案を12月県議会に提出すると発表した。成立すれば全国初で、来年度に施行される。東京都もほぼ同様の条例改正を目指している。

 「自画撮り」を求める相手については、やりとりの中で脅迫行為があったり、実際に画像を入手したりしていれば違法となる可能性があるが、要求だけでは罰する法令はない。そのため改正条例案では相手をだますなどして求める行為を禁止する。罰則の内容については今後検討する。23日からパブリックコメントの募集を始めた。

日本における児童の性的搾取へのTwitterの取り組みの新しいご報告

 児童ポルノをアップされた場合の管理者の刑事責任については、法律がないので、条理に従い見つけたら削除するしかないですよね。不作為犯の判例を調べると、どれくらい怠けると捕まるかがわかります。



https://blog.twitter.com/official/ja_jp/topics/company/2017/safety_CSE.html
日本における児童の性的搾取へのTwitterの取り組みの新しいご報告

投稿者 Twitter Japan
木曜日, 2017年10月12日
今年の3月、Twitterから児童の性的搾取活動を撲滅するための決意を表し、2016年に援助交際を含む児童の性的搾取を助長したために凍結したアカウントの半分がTwitterの取り組みにより発見したものであったとご報告しました。また、Twitterの「児童の性的搾取に関するポリシー」に違反しているアカウントを迅速に特定、削除、報告することに会社として取り組んでいることもご案内しました。
2017年上半期、援助交際を含む、世界の同案件に関するアカウント凍結の80%がTwitterの取り組みによるものになったことをこちらにご報告します。
2017年上半期に行った世界全体の児童の性的搾取に関するアカウントの凍結のうち、38%が日本に所在していると見なされる方々に運用されているもので、そのうちの98%はTwitterが発見したケースでした。同期間中、このようなアカウントがTwitterの上でアクティブに活動していた時間は半減し、関連アカウントをフォローしている人の数も大幅に減らすことができました。
また、凍結されたアカウントの持ち主がすぐに新しいアカウントでプラットフォームに戻ることを阻むという部分でも進展しています。実際、2017年上半期に同件で凍結された日本に所在していると見なされる方々に運用されたアカウントのうちの50%以上は、アカウントから初めてのツイートが行われる前に凍結されています。この結果、Twitterのプラットフォーム上で有害になり得る情報の共有を行うアカウントの数が減りました。もちろん、Twitterがすべきことはまだ終わっていませんが、プラットフォーム上の該当アカウントの凍結が増加し続いているなか、この件に関わるアカウントの活動は減少し、Twitterの取り組みによる成果を徐々に見せ始めています。
米国の法律に準拠し、Twitterは明確な児童の性的搾取案件およびこの関係で凍結したアカウントの情報をNCMEC(全米行方不明/被搾取児童センター)のCyberTiplineに報告しています。NCMECは日本の法的機関を含め、米国および他国の該当する法的機関にそのレポートを提出することができます。たいていの場合、調査に必要なすべての情報をNCMECを通じて入手いただけるようになっています。
Twitterは各法的機関の活動は世界的に児童の性的搾取問題と戦うこと、また防止、訴追するための重要な役割であると認識しています。日本の政府機関の皆さまにも、多くの国の政府機関が活用されているこのNCMEC CyberTipのレポートを正式にご利用、ご活用されることをおすすめします。
また、こちらの捜査機関向けガイドラインにもご案内していますように、Twitterは適用法令に従って発行された有効な法的手続きに協力し、年に2回政府機関からのリクエストをまとめた透明性レポート(Transparency Report)として公開しています。
今年、Twitterは未成年者の安全性とオンライン被害の防止についてを話しあうため、業界のさまざまな企業による協議会に参加します。児童の性的搾取の重大な問題の解決に向け、Twitterは民間団体や他のテクノロジー企業と連携し、努力を続けてまいります。

「「わいせつな行為」とは,被害者の性的差恥心を害する行為であって,通常人であれば著しく性的な嫌悪感・差恥心を抱くであろう行為をいう。」橋本正博「法学叢書 刑法各論」2017新世社

「「わいせつな行為」とは,被害者の性的差恥心を害する行為であって,通常人であれば著しく性的な嫌悪感・差恥心を抱くであろう行為をいう。」橋本正博「法学叢書 刑法各論」2017新世社
 「性的自由」からこの定義が出てきますかね。

p116
8. l.2強制わいせつ・強姦罪の保護法益
通説によれば , 個人的法益に対する罪としての性犯罪は,個人の性的自由(性的自己決定)を保護するものである。性は, ごく私的な領域に属することがらであり,性に関する個人の自由は,個人の尊厳に関わる自由であるとの認識に基づき, その保護の重要性は今日ますます高まっているということができよう。その反面で,私的であるがゆえに,性的行動には個人差が大きく, その法益の保護のために侵害行為に対し刑罰による威嚇をすることが適切であるかどうかについては議論もある。刑罰による制裁は,犯罪の成否という形で事件を単純化せざるをえないし,他方で,必然的に公的な領域に引き出す効果を伴うので,性犯罪被害者に対しさらに二次的な被害の可能性をももたらす。しかし,性犯罪に関する従来の刑法の対応は,法典中の条文配置(社会的法益に対する罪と混在している)にも表れているように,個人の尊厳という視点からは遠いところから出発し, いわば「及び腰」のところがあったのではないかと思われる。現代に即した保護法益の再検討により,実態に沿った捉え直しが要請されるといえるであろう。
ここでは, さしあたって,性的自由に対する犯罪とする立場に立つが, このときには,強制わいせつ罪・強姦罪において個人の性的自由を侵害する行為として規定されているわいせつ行為・姦淫行為も,相手と合意の上であれば何ら刑罰を科す必要はないはずである。したがって, これらの罪においては, こうした行為が被害者の意思に反するものであることが要件となる。すなわち,被害者の同意・承諾は,行為の構成要件該当性自体を否定する根拠となる。また, これらの罪は,被害者の秘密や名誉に関わる側面があるので,親告罪とされている(180条)。ただし,法益侵害が重大と認められる類型は親告罪から除かれる(同条2項)。なお,裁判は公開が原則である(憲法82条)が,被害者特定事項の秘匿(刑訴290条の2)などの制度が設けられている。
注1 強制わいせつ・強姦に関して保護される利益を「自由」, とくに,意思決定の自由と捉えることには,現実の被害者における不利益の実質を-| ・全に捉えきれない面があることも認識されるようになってきた。性に関する社会一般の捉え方の変遷にも伴って, ほぼ制定時の概念を維持したまま推移している刑法典の性犯罪は,見直しを迫られている。後述(88参照)するように,性犯罪に対処するための刑法の一部改正が法制審議会の議論に上っているが,法務省の設置した検討会による「「性犯罪の罰則に関する検討会」取I)まとめ報告書」(平成27年8月)においても, 「強姦罪等の性犯罪が被害者の人格や尊厳を著しく侵害するという実態を持つ犯罪であるという認識がおおむね共有され」たとしている。性犯罪は, 自由否定にとどまらず, 人格・尊厳否定であるとの捉え方がなされているのである。

p119
8.2.2 わいせつな行為
客体の年齢を問わず, 「わいせつな行為」をすることが要件である。「わいせつな行為」とは,被害者の性的差恥心を害する行為であって,通常人であれば著しく性的な嫌悪感・差恥心を抱くであろう行為をいう。風俗の観点から考盧される社会的法益に対する罪の場合に比較して,個人的法益に対する罪におけるわいせつ性は,問題となる行為が行われる場合に個人の性的自己決定に基づく必要があるか否かという観点から判断されるべきである。
主観的要素に関わる問題として,判例は,犯人に, 自己の性欲を刺激・興奮させるという主観的傾向のもとに行われることを要するとする(最判昭和45・1 ・29刑集24巻1号1頁) これは,理論的には,主観的違法要素としての「心理的傾向」が必要だということを意味し,本罪を「傾向犯」とする立場である。しかし, これには疑問がある。本罪を風俗の侵害と捉える場合ならともかく,本罪の本質を個人の自由侵害と把握する以上, その侵害の認識と侵害事実が存在すれば処罰に必要な不法性は十分であり,行為者の性的傾向のような主観は,不法内容に影響しないはずである。「尊厳」を問題にするなら, なおさらである。

自己性的好奇心目的所持罪(単純所持罪)の基本的量刑は罰金20万円くらいか。

 確定記録でも20万くらいだと思います。 
 

第七条(児童ポルノ所持、提供等)
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする

某簡裁H27 罰金60万円
第1 児童ポル陳列
第2 わいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列
第3 3号児童ポルノ動画2点 単純所持
・・・
某簡裁H27 罰金20万円
1号2号3号児童ポルノ動画20点 単純所持

刑法改正(H29.7.13施行)より前の強制わいせつ+児童ポルノ製造事件が、刑法改正後に逮捕された場合について、相場より高めで示談して被害者から「告訴を取り下げるので起訴しないで下さい」という意見書をもらった上、検察官に「法務省刑事局長「刑法の一部を改正する法律」の施行について(依命通達)h29.6.26」を示すなどした結果、起訴猶予になった事例

 既に出ていた告訴を取り下げてもらったので、処罰意思がなくなったことを端的に表せたと思います。

h29改正後の刑法
http://www.moj.go.jp/content/001224163.pdf
第百七十八条の二及び第百八十条を削る。
附則
(経過措置)
第二条この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。
2この法律による改正前の刑法(以下「旧法」という。)第百八十条又は第二百二十九条本文の規定により告訴がなければ公訴を提起することができないとされていた罪(旧法第二百二十四条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した旧法第二百二十七条第一項の罪並びにこれらの罪の未遂罪を除く。)であってこの法律の施行前に犯したものについては、この法律の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、この法律の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができる。
法務省刑制第121号(例規)平成29年6月26日法務省刑事局長(公印省略)「刑法の一部を改正する法律」の施行について(依命通達)
留意事項
1強姦罪等の非親告罪化について 性犯罪については,もとより,被害者のプライバシー等の保護が特に重要であり,事件の処分等に当たっても被害者の心情に配盧することが必要であることは,強姦罪等を非親告罪化した後も変わるものではない。
したがって,本法施行後においても,引き続き,事件の処分に当たって被害者の意思を丁寧に確認するなど被害者の心情に適切に配慮する必要があることに留意されたい。
附帯決議本法の国会審議に際し,衆議院法務委員会において別添1の,参議院法務委員会において別添2の附帯決議がそれぞれなされているので,留意されたい。

児童ポルノ単純所持罪も起訴猶予になりにくい

H27児童ポルノ単純所持罪(7条1項)の処理状況
法務省から統計をもらってきました
h27上下  公判請求2、略式命令10 不起訴5
h28上半期 公判請求1、略式命令12 不起訴1




ドットコムの弁護士は相変わらずデータも無いのに楽観的です。このほうが相談者の評価高くなります。

Q 数十枚所持
2017年10月20日 15時25分
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1406/b_596797/

大和 幸四郎 弁護士
佐賀 武雄
弁護士ランキング 佐賀県1位
罰金もないと思いますが、ご不安なら、弁護士に委任して対処してもらった方がよいと思います。
2017年10月20日 16時58分

弁護人弁護士奥村徹の弁論要旨

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 上告趣意書は180頁書いているのだが、それは2秒で陳述して、補充する点だけ、弁論要旨として提出して、朗読しました。
 公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪と共通の「わいせつ」という定義を使うのはもう無理ですよという主張。

事件名 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件
平成29年10月6日
最高裁判所大法廷御中

弁護人弁護士 奥 村   徹  

弁論要旨~判例変更について

 大法廷に回付され判例変更の可能性が生じたことを受けて、上告趣意を補充します。
第1 上告理由(憲法違反)の追加~従前の判例によれば無罪となる行為を判例変更により有罪とすることは憲法31条及び憲法39条前段違反により許されません。(判例変更は殺生でっせ) 2
第2 上告理由第1・第2(わいせつの定義)について 3
1 わいせつの定義は不可能ですから、立法により行為リストを列挙する方法で解決されるべきです。 3
2 それでも「わいせつ」を再定義するなら、「わいせつな行為とは,性的な意味を有し,本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいう」とすべきです。 5
3 原判決の定義では卑わいな言動(迷惑防止条例)を包摂してしまうこと 6
第3 上告理由第4(強制わいせつ罪と製造罪は観念的競合)について 6
第4 上告理由第6(量刑不当)について 7
第5 検察官弁論要旨(H29.9.29)について 7

性的意図必要・傾向犯説の判例はたくさんあること

傾向犯説は実務上定着していて、最近の高裁判例も多数あります。
 メール等で脅迫して児童の裸を撮影送信させる行為には性的意図が認めにくいようです

①広島高裁h23.5.26(強制わいせつ罪(176条後段))
【文献番号】25471443
広島高等裁判所
平成23年5月26日第1部判決
       理   由
 本件控訴の趣意は,主任弁護人福永宏及び弁護人福永孝連名作成の控訴趣意書に記載されているとおりであるから,これを引用する。
1 控訴趣意中,事実誤認の主張について
 論旨は,原判示第1の1ないし3の各事実について,その外形行為はいずれも診療行為であり,被告人には性的意図もなかったのであるから,強制わいせつ罪は成立せず,また,各撮影行為の対象は,いずれも女児に対する予防接種の診察行為であり,このような診察行為の撮影画像は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)2条3項3号の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」に該当することはなく,児童ポルノ製造罪も成立せず,被告人は無罪であるにもかかわらず,原判示第1の1ないし3の各事実を認定し,強制わいせつ罪及び児童ポルノ製造罪の成立を認め,被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。
 そこで,記録を調査し,検討する。
(1)関係証拠によれば,以下の事実が認められる。
・・・
(2)前記(1)ア及びイの各事実によれば,被告人は,診療上の必要性とは全く無関係に,乳房を露出させた状態の各被害女児をそれぞれ盗撮したものであり,このような行為が診療行為に当たらないことは明白であり,その行為態様自体から,被告人のわいせつ意図が強く推認されるところ,前記(1)ウ及びエの各事実は,この推認を裏付けるものであり,被告人の各撮影行為について,強制わいせつ罪の成立が優に認められる。また,前記(1)アに認定した診察行為の際に着衣をずらして乳房を露出させた各被害女児を盗撮して記録された電磁的記録の画像が,児童ポルノ法2条3項3号の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」に該当することは,原判決が「事実認定の補足説明」の項2に認定,説示するとおりであり,着衣をずらして乳房を露出させた各被害女児を盗撮し,その電磁的記録をマイクロSDカードに記録した行為(以下,「被告人の盗撮行為」という。)について,児童ポルノ製造罪が成立するというべきである。
(3)所論は,〔1〕被告人の行った外形行為は,診察室において予防接種の診察をした際,各被害女児に上衣を上にずらしてもらって,5ないし11秒間のわずかな時間内に,各被害女児の胸に聴診器をあてた状況を小型カメラで撮影したというだけであり,乳房を弄ぶなどの行為は皆無である上,各被害女児はもちろん,診察に立ち会った各被害女児の保護者や看護師も,診察行為以外の変な行為をしているというような思いを持った者はいなかったのであり,外形的に見てわいせつ行為は存しないのであり,着衣をずらして乳房を露出させたのは,正当な診療行為であって,わいせつ行為ではなく,わいせつ行為でないものを撮影したからといって,わいせつ行為でないものがわいせつ行為になるということはあり得ず,今日の社会的状況においては,常識的に見て,ほとんどの人が,女性の乳房写真をわいせつ写真であるとは考えておらず,わいせつ行為であるか否かは,客観的かつ外形的に評価すべきもので,動機等によって左右されることはないのであるから,被告人の行為について,強制わいせつ罪は成立せず,〔2〕被告人は,女児の裸等の写真を収集すること自体に目的があり,撮影行為に及んでいる最中に性的意図を持つことがなかったのに,性的意図があったと認めるのは矛盾しており,原審公判廷において,心理学者であるA保証人が証言するように,盗撮を行った者が撮影対象に性的興奮を感じて盗撮行為をしているという一般的見方は,誤解と偏見に基づくものであり,被告人が性的意図に基づいて撮影行為に及んだということは考え難く,被告人の行為について、強制わいせつ罪は成立しないと主張する。
 しかし,〔1〕については,そもそも,診察中であっても,被告人の盗撮行為が診察行為に当たらないことは明白であり,診療上の必要性もないのに,乳房を露出させた状態の各被害女児を盗撮する行為が,各被害女児の性的自由及び性的感情を侵害するものであることは論ずるまでもなく,被告人の盗撮行為が強制わいせつ罪に当たることは明らかであり,盗撮の時間がわずかな時間であったこと,各被害女児のみならず,被告人以外の周囲の者が盗撮に気付かなかったことは,強制わいせつ罪の成立を何ら左右するものではない。〔2〕については,被告人の盗撮行為は,その態様自体から,被告人のわいせつ意図が強く推認され,前記(1)ウ及びエの各事実にも照らせば,被告人において,盗撮によって撮影,記録した画像を閲覧することにより,自身の性欲を刺激ないし満足させるというわいせつ意図を有していたことに疑いを差し挟む余地はなく,なお,各被害女児の性的自由及び性的感情を侵害する盗撮行為時に性的興奮ないし刺激そのものを感じ,あるいは,受けることがなかったとしても,盗撮により得られた画像を閲覧することによって,自身の性欲を刺激し,あるいは,満足させることを目的として,盗撮行為に及んでいれば,わいせつ意図を有していたものと認定できることは言を俟たない。その他所論にかんがみ,検討しても,前記認定は左右されない。 
(4)他方,被告人が,診察行為の一環として,各被害女児の着衣をずらして乳房を露出させた行為については,正当な診療行為であったことを否定できず,その乳房を露出させた状態を利用した,強制わいせつ行為に当たる被告人の盗撮行為により児童ポルノが製造されたと認定するのが相当であり,診察行為の一環として乳房を露出させた行為を盗撮行為と併せた一連の行為としてわいせつ行為と捉えるのが相当であるとする原判決の認定,説示は肯認できない。
 しかし,原判決においても,強制わいせつ行為の核心部分が被告人の盗撮行為にあると解していることは,原判決が「事実認定の補足説明」の項及び「量刑の理由」の項に説示するところから明らかであり,また,強制わいせつ行為が被告人の盗撮行為に限られることを前提にしても,原判決の刑の量定は正当であることに照らせば,その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。
 論旨は理由がない。
2 控訴趣意中,法令適用の誤りの主張について
 論旨は,原判示第1の1ないし3の各強制わいせつと各児童ポルノ製造は,併合罪の関係にあるとするのが相当であるのに,それぞれ観念的競合として処断した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というのである。
 しかし,前記1(4)に説示したとおり,本件において,強制わいせつ罪に該当する行為は,被告人の盗撮行為であり,この盗撮行為によって児童ポルノが製造されており,各強制わいせつ行為と各児童ポルノ製造行為は,社会的見解上1個のものと見る以外になく,これをそれぞれ観念的競合の関係にあるとして処断した原判決に法令適用の誤りはない。
 論旨は理由がない。
 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却することとし,主文のとおり判決する。
平成23年5月26日
広島高等裁判所第1部
裁判長裁判官 竹田隆 裁判官 野原利幸 裁判官 結城剛行
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東京高等裁判所H28.2.19(強要)
弁護人は,①被害者(女子児童)の裸の写真を撮る場合,わいせつな意図で行われるのが通常であるから,格別に性的意図が記されていなくても,その要件に欠けるところはない,②原判決は,量刑の理由の部分で性的意図を認定している,③被害者をして撮影させた乳房,性器等の画像データを被告人使用の携帯電話機に送信させる行為もわいせつな行為に当たる,などと主張する。
しかしながら,①については,本件起訴状に記載された罪名及び罰条の記載が強制わいせつ罪を示すものでないことに加え,公訴事実に性的意図を示す記載もないことからすれば,本件において,強制わいせつ罪に該当する事実が起訴されていないのは明らかであるところ,原審においても,その限りで事実を認定しているのであるから,その認定に係る事実は,性的意図を含むものとはいえない。
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③広島高裁岡山支部H22.12.15(強要罪
 ところで,原判示第3の事実は,被告人が,当時16歳の被害者Aを脅迫し,同人に乳房及び陰部を露出した姿態等をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影させたなどの,強制わいせつ罪に該当し得る客観的事実を包含しているが,強制わいせつ罪の成立には犯人が性的意図を有していることが必要であるところ,原判示第3の事実に,被告人が上記性的意図を有している事実が明示されてはいない。
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福岡高裁h26.10.15*1(強制わいせつ罪(176条後段))
第1 理由不備,理由齟齬,公訴の不法受理の論旨について
 論旨は,次のとおりである。すなわち,①原判示第1の1,第2のl,第3の1,第4の1,第5の1,第6の1及び第7の1の各事実(以下,これらを併せて「原判示各1の事実」という)には,被告人の性的傾向を示す「わいせつ行為をしようと企て」との文言がないので,強制わいせつ罪の構成要件を満たしているとはいえないから,原判決には理由不備の違法がある,・・・というのである。
 そこで,検討する。
 ①については,原判示各1の事実の具体的内容は,いずれも被告人が公園のトイレや駐輪場などで,各被害児童に対し,衣服を脱がせて臀部又は陰部を露出する姿態をとらせ,これをカメラ機能付き携帯電話機で撮影したというものであり,その外形的行為自体から,被告人がその性欲を満足させるという性的意図のもとに行ったことが推認されることのほか,罪となるべき事実の末尾には「もってわいせつな行為をした」旨の記載があることにも鑑みると,所論がいうような「わいせつ行為をしようと企て」との文言がなくとも,強制わいせつ罪の構成要件該当事実は過不足なく記載されているといえるから原判決に理由不備の違法はない。
・・・・・・・・・・・・
⑤東京高裁h13.9.18(強制わいせつ罪(176条前段)
東京高等裁判所判決平成13年9月18日
東京高等裁判所判決時報刑事52巻1~12号54頁

 所論は,仮に被告人が原判示の行為をしたとしても,パンツの上から被害者の臀部及び大腿部を撫でたにすぎず,その行為は,単なるめいわく行為の域に止まるものであって,いまだ強制わいせつ罪にいう「わいせつ行為」とはいえない旨主張する。
 しかしながら,その態様をみると,被告人は,玄関が施錠され,家屋の中の障子が閉めきられて密室状態となった部屋の中で,「キスしていいかい。」などと被害者に申し向けた後,「勘弁してください。」とこれを拒絶する被害者の素肌の膝頭付近を素手で触るなどし,「私には彼氏がいるんです。」などと言って被告人に卑猥な行為を止めるよう懇願する被害者に対し,さらに「もうタッちゃってるんだから一回やらせてよ。」などと性交を求めるようなことを言い,逃げ出した被害者を玄関先まで追いかけてきて,玄関の施錠を外して戸外に逃げようとしている被害者に対し,「一回やらせてよ。パンツ見せてよ。」などと申し向けながら,被害者のスカートを背後から無理やり捲り上げて臀部を露わにした状態にし,パンツの上からその臀部及び素肌の大腿部をおおよそ10秒間くらい素手の両手で執拗に撫で回したものである。被告人が自己の性的満足を得ようとして本件行為に及んだことは明らかである上,上記の情況下で,被害者のスカートを捲り上げてその臀部を露わにした上,パンツの上からその臀部及び素肌の太ももを執拗に撫で回した被告人の行為は,電車の中で着衣の上から臀部や太ももを触るという行為と同視することはできず,被害者の性的自由を不当に侵害するとともに,一般人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するものであって,強制わいせつ罪にいう「わいせつ行為」に該当するものというべきである。(吉本徹也・岩瀬 徹・沼里豊滋)

東京都「特定異性接客営業等の規制に関する条例」(JKビジネス条例)違反による「無店舗型特定異性接客営業」の検挙事例

 「JK店」にJKは居ないことにするという条例が施行されていますが、JKが派遣されているようです。
 条例制定が拡がらないので、他府県に営業所を置いて派遣してくるという抜け道があります。

 無店舗型だと、
 散歩=ハ専ら異性の客に同伴する役務を提供する営業(イ又はロに該当する営業を除く。)
 添い寝=イ専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
ということになるようです。「青少年散歩罪」とか「青少年添い寝罪」とか。
 この条例では、婚姻した場合も「青少年」に含むことになっています。

(罰則)
第20条
2次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(2) 第8条第1項又は第2項第1号若しくは第2号の規定に違反した者

添い寝事例
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171017-00000044-ann-soci
JKビジネス店「Pop Teen」の経営者は先月10日、16歳の少女を従業員として雇い、東京・新宿区のホテルに派遣して男性客(32)の接客をさせた疑いが持たれています。警視庁によりますと、容疑者の店は通常の接客では報酬が支払われないため、少女らは「裏オプション」と呼ばれる性的なサービスをして金を受け取っていたということです。また、店は営業の届けを出しておらず、ツイッターだけで客を募っていたということです。
 別のJKビジネス店の店長:「このようなツイッターだけで、営業をしているお店に関しては、やはり違法性が高いと思ってほぼ間違いないと思います。こういうお店に関わると、女の子も危険な目に遭う可能性もありますし」
 店では18歳未満の少女が3人働いているのが確認されていて、容疑者は「売り上げは100万円ほどありました」などと容疑を認めています。

お散歩事例
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20171016-00000027-nnn-soci
警視庁によると、無店舗型JKビジネス店「池袋inWALK」経営者の容疑者は今月、17歳の女子高校生を雇い、接客させた疑いがもたれている。店は「少女とのお散歩」をうたい、2か月半で約500万円を売り上げていたという。この店では散歩代は全て店の収入となり、少女らは「裏オプション」と呼ばれる性的サービスをしないと金が入らない仕組みだった。
 東京都はいわゆる「JKビジネス店」で18歳未満を働かせることなどを禁止する新たな条例を今年7月に施行していて、今回が初めての摘発となる。

特定異性接客営業等の規制に関する条例
(目的)
第1条この条例は、特定異性接客営業及び特定衣類着用飲食店営業について必要な規制を行うとともに、これらの営業に係る特定の行為を禁止すること等により、青少年の健全な育成を阻害する行為及び青少年を被害者とする犯罪を防止することを目的とする。
(定義)
第2条この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年18歳未満の者をいう。
(2) 特定異性接客営業店舗型特定異性接客営業及び無店舗型特定異性接客営業をいう。
(3) 店舗型特定異性接客営業次のいずれかに掲げる営業であって、青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして東京都公安委員会規則(以下
公安委員会規則」という。)で定める文字、数字その他の記号、映像、写真若しくは絵を営業所の名称、広告若しくは宣伝に用いるもの又は青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用するもので、青少年に関する性的好奇心をそそるおそれがあるもの(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する風俗営業、同条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業又は同条第11項に規定する特定遊興飲食店営業に該当するものを除く。)をいう。
イ店舗を設け、当該店舗において専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業
ロ店舗を設け、当該店舗において専ら客に異性の人の姿態を見せる役務を提供する営業ハ店舗を設け、当該店舗において専ら異性の客の接待(法第2条第3項に規定する接待をいう。第5号ニにおいて同じ。)をする役務を提供する営業(イに該当する営業を除く。)ニ喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客に接する業務に従事する者が専ら異性の客に接するもの
(4) 店舗型特定異性接客営業者 東京都の区域内において営業所を設けて店舗型特定異性接客営業を営む者をいう。
(5) 無店舗型特定異性接客営業 次のいずれかに掲げる営業であって、青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める文字、数字その他の記号、映像、写真若しくは絵を広告若しくは宣伝に用いるもの又は青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用するもので、青少年に関する性的好奇心をそそるおそれがあるもの(法第2条第7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業に該当するものを除く。)をいう。
イ専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
ロ専ら客に異性の人の姿態を見せる役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
ハ専ら異性の客に同伴する役務を提供する営業(イ又はロに該当する営業を除く。)
ニ専ら異性の客の接待をする役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの(イ又はハに該当する営業を除く。)
(6) 無店舗型特定異性接客営業者東京都の区域内において事務所若しくは受付所(前号イからニまでに規定する役務の提供以外の客に接する業務を行うための施設をいう。以下同じ。)を設けて、若しくは東京都の区域内及び区域外に事務所及び受付所を設けないで東京都の区域内に住所を有して、又は客の依頼に応じて派遣される同号イからニまでに規定する役務を行う者と当該客とが接する場所を東京都の区域内に設定して無店舗型特定異性接客営業を営む者をいう。
(7) 特定異性接客営業者店舗型特定異性接客営業者及び無店舗型特定異性接客営業者をいう。
(8) 特定衣類着用飲食店営業喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業のうち、水着、下着その他の公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用することによって、客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの(法第2条第1項に規定する風俗営業、同条第11項に規定する特定遊興飲食店営業又は第2号に規定する特定異性接客営業に該当するものを除く。)をいう。
(9) 特定衣類着用飲食店営業者東京都の区域内において営業所を設けて特定衣類着用飲食店営業を営む者をいう。
(都の責務)
第3条都は、特定異性接客営業及び特定衣類着用飲食店営業に関し、この条例の目的を達するため、必要な施策を講ずるものとする。
(都民の責務)
第4条都民は、この条例の目的を達するため、都が行う前条の施策に協力するよう努めるものとする。
(青少年の教育又は育成に携わる者の責務)
第5条青少年の教育又は育成に携わる者は、青少年に対し、特定異性接客営業及び特定衣類着用飲食店営業が青少年の健全な育成を阻害するおそれのあるものであることを認識させるとともに、当該営業に関わることのないよう指導、助言その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(特定異性接客営業の届出)
第6条東京都の区域内において営業所を設けて店舗型特定異性接客営業を営もうとする者は、営業を開始しようとする日の10日前までに、店舗型特定異性接客営業の種別(第2条第3号イからニまでに規定する店舗型特定異性接客営業の種別をいう。第3号において同じ。)に応じて、営業所ごとに、公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)に届け出なければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 営業所の名称及び所在地
(3) 店舗型特定異性接客営業の種別
(4) 営業所の構造及び設備の概要
(5) 営業所における業務の実施を統括管理する者の氏名及び住所
(6) 前各号に掲げるもののほか、公安委員会規則で定める事項
2東京都の区域内において事務所若しくは受付所を設けて、又は東京都の区域内及び区域外に事務所及び受付所を設けないで東京都の区域内に住所を有して無店舗型特定異性接客営業を営もうとする者は、営業を開始しようとする日の10日前までに、無店舗型特定異性接客営業の種別(第2条第5号イからニまでに規定する無店舗型特定異性接客営業の種別をいう。第4号において同じ。)に応じて、公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を公安委員会に届け出なければならない。
(1) 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2) 当該営業につき広告又は宣伝をする場合に当該営業を示すものとして使用する呼称(当該呼称が2以上ある場合にあっては、それら全部の呼称)
(3) 事務所の所在地
(4) 無店舗型特定異性接客営業の種別
(5) 客の依頼を受ける方法
(6) 客の依頼を受けるための電話番号その他の連絡先
(7) 受付所又は待機所(客の依頼を受けて派遣される第2条第5号イからニまでに規定する役務を行う者を待機させるための施設をいう。第16条第2項第2号において同じ。)を設ける場合にあっては、その旨及びこれらの所在地
(8) 前各号に掲げるもののほか、公安委員会規則で定める事項
3前2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る特定異性接客営業を廃止したとき、又は前2項各号(第1項第3号及び前項第4号を除く。)に掲げる事項(第1項第2号に掲げる事項にあっては、営業所の名称に限る。)に変更があったときは、その日から起算して10日以内に、公安委員会規則で定めるところにより、廃止又は変更に係る事項を公安委員会に届け出なければならない。
4第1項又は第2項の規定による届出をした者(同項の規定による届出をした者にあっては、東京都の区域内に受付所を設けて営む場合に限る。)は、青少年が当該届出に係る営業所又は受付所に立ち入ってはならない旨を、公安委員会規則で定めるところにより、営業所又は受付所の入口に表示しなければならない。
(特定異性接客営業に係る営業所等の設置禁止区域)
第7条特定異性接客営業者は、東京都の区域内にある次に掲げる施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲200メートルの区域並びに都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域(以下「営業所等設置禁止区域」と総称する。)内においては、営業所又は受付所を設置してはならない。
(1) 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)
(2) 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する児童福祉施設
(3) 図書館法(昭和25年法律第118号)第2条第1項に規定する図書館
(4) 医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院及び同条第2項に規定する診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)
2前項の規定は、同項の規定の適用の際、現に前条第1項又は第2項(受付所を設けて営む場合に限る。)の規定による届出をして特定異性接客営業を営んでいる者の当該営業所又は当該受付所については、適用しない。
(特定異性接客営業者及び特定衣類着用飲食店営業者の禁止行為)
第8条店舗型特定異性接客営業者及び特定衣類着用飲食店営業者は、次に掲げる行為をしては
ならない。
(1) 青少年を客に接する業務に従事させること。
(2) 青少年を営業所に客として立ち入らせること。
2無店舗型特定異性接客営業者は、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年を客に接する業務に従事させること。
(2) 受付所を設けて営む場合にあっては、青少年を受付所に客として立ち入らせること。
(3) 青少年を客とすること。
(広告及び宣伝の規制)
第9条何人も、営業所等設置禁止区域内においては、特定異性接客営業に係る広告物(常時又は一定の期間継続して公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。以下同じ。)を表示し、又は特定異性接客営業に係る広告若しくは宣伝の用に供される文書、図画その他の物品(以下「広告文書等」という。)を配布してはならない。
2前項の規定は、第7条第2項の規定により同条第1項の規定を適用しないこととされる特定異性接客営業者が当該特定異性接客営業の営業所又は受付所の外周又は内部に広告物を表示する場合及び当該営業所又は当該受付所の内部において広告文書等を配布する場合については、適用しない。
3第1項の規定は、同項の規定の適用に関する第7条第1項の規定の適用の際、特定異性接客営業者が現に表示している広告物(当該適用の際、現に第6条第1項又は第2項の届出をして特定異性接客営業を営む者が表示するものに限る。)については、当該適用の日から1月を経過する日までの間は、適用しない。
4特定異性接客営業者は、その営業について広告又は宣伝をするときは、公安委員会規則で定めるところにより、青少年がその営業所又は受付所に立ち入ってはならない旨(無店舗型特定異性接客営業者にあっては、客となってはならない旨)を明らかにしなければならない。
(勧誘行為等の禁止)
第10条何人も、特定異性接客営業及び特定衣類着用飲食店営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 青少年に対して客となるように勧誘すること。
(2) 青少年に対して客に接する業務に従事するよう勧誘すること。
(3) 前2号に掲げる行為のほか、青少年に対して広告文書等を配布すること。
(4) 客となるよう青少年に勧誘させること。
(5) 客に接する業務に従事するよう青少年に勧誘させること。
(6) 前2号に掲げる行為のほか、広告文書等を青少年に配布させること。
(指示)
第11条公安委員会は、特定異性接客営業者若しくは特定衣類着用飲食店営業者又はそれらの代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)が当該営業に関し、第6条、第8条、第9条第1項若しくは第4項、前条、第13条第4項若しくは第15条の規定に違反したとき、第16条第1項の規定による報告若しくは資料の提出を拒み、若しくは同項の規定による報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき、又は同条第2項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、当該特定異性接客営業者又は当該特定衣類着用飲食店営業者に対し、青少年の健全な育成を阻害する行為又は青少年を被害者とする犯罪を防止するため必要な指示をすることができる。
(営業の停止等)
第12条公安委員会は、次に掲げるときは、特定異性接客営業者又は特定衣類着用飲食店営業者に対し、6月を超えない範囲内で期間を定めて当該営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(1) 特定異性接客営業者又は特定衣類着用飲食店営業者が前条の規定による指示又は第17条の規定による命令に従わなかったとき。
(2) 特定異性接客営業者若しくは特定衣類着用飲食店営業者又はそれらの代理人等が当該営業に関し次のいずれかに該当する行為をしたとき。
イ第20条(同条第2項第1号を除く。)の違反行為
ロ刑法(明治40年法律第45号)第175条又は第182条の罪に当たる違法な行為ハ売春防止法(昭和31年法律第118号)第5条から第13条までに規定する罪に当た
る違法な行為
児童福祉法第34条第1項第6号又は第9号の規定に違反する行為
労働基準法(昭和22年法律第49号)第56条第1項又は第61条第1項若しくは第
62条第2項(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
(昭和60年法律第88号)第44条第2項の規定により適用される場合を含む。)の規定に違反する行為
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条から第8条まで(第7条第1項を除く。)の罪に当たる違
法な行為
東京都青少年の健全な育成に関する条例(昭和39年東京都条例第181号)第18条の6の規定に違反する行為
公安委員会は、前項の場合において、当該特定異性接客営業者が営業所等設置禁止区域に営業所又は受付所を設けて当該営業を営んでいる者であるときは、その者に対し、前項の規定による停止の命令に代えて、当該営業所又は当該受付所を用いて営む特定異性接客営業の廃止を命ずることができる。
(標章の貼付け)
第13条公安委員会は、前条第1項の規定により特定異性接客営業又は特定衣類着用飲食店営業の停止を命じたときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該命令に係る施設の出入口の見やすい場所に、公安委員会規則で定める様式の標章を貼り付けるものとする。
2前条第1項の規定による命令を受けた者は、次の各号に掲げる事由のいずれかがあるときは、公安委員会規則で定めるところにより、前項の規定により標章を貼り付けられた施設について、標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、標章を取り除かなければならない。
(1) 当該施設を当該特定異性接客営業又は当該特定衣類着用飲食店営業の用以外の用に供しようとするとき。
(2) 当該施設を取り壊そうとするとき。
(3) 当該施設を増築し、又は改築しようとする場合であって、やむを得ないと認められる理由があるとき。
3第1項の規定により標章を貼り付けられた施設について、当該命令に係る特定異性接客営業者又は特定衣類着用飲食店営業者から当該施設を買い受けた者その他当該施設の使用について権原を有する第三者は、公安委員会規則で定めるところにより、標章を取り除くべきことを申請することができる。この場合において、公安委員会は、標章を取り除かなければならない。
4何人も、第1項の規定により貼り付けられた標章を破壊し、又は汚損してはならず、また、当該施設に係る前条第1項に規定する命令の期間を経過した後でなければ、これを取り除いてはならない。
聴聞の特例)
第14条公安委員会は、第12条第1項の規定により営業の停止を命じ、又は同条第2項の規定により営業の廃止を命じようとするときは、東京都行政手続条例(平成6年東京都条例第142号。以下「行政手続条例」という。)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区
分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
公安委員会は、聴聞を行うに当たっては、その期日の1週間前までに、行政手続条例第15条第1項の規定による通知をし、かつ、聴聞の期日及び場所を公示しなければならない。
公安委員会は、前項の通知を行政手続条例第15条第3項に規定する方法によって行う場合においては、同条第1項の規定により聴聞の期日までにおくべき相当の期間は、2週間を下回ってはならない。
4第1項の聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
(従業員名簿)
第15条特定異性接客営業者及び特定衣類着用飲食店営業者(法第33条の規定により届出をしている者を除く。)は、公安委員会規則で定めるところにより、営業所、事務所又は受付所を設けた場所(無店舗型特定異性接客営業者であって、事務所及び受付所がない者にあっては住所)ごとに、従業員名簿を備え、これに当該営業に係る業務に従事する者の住所、氏名その他公安委員会規則で定める事項を記載しなければならない。ただし、営業所、事務所又は受付所を設けた場所ごとに、労働基準法第107条に規定する労働者名簿を備え付けている場合は、これを従業員名簿に代えることができる。
(報告及び立入り)
第16条公安委員会は、この条例の施行に必要な限度において、特定異性接客営業者及び特定衣類着用飲食店営業者に対し、その業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。
2警察職員は、この条例の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問することができる。ただし、第1号又は第3号に掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
(1) 店舗型特定異性接客営業の営業所
(2) 無店舗型特定異性接客営業の事務所、受付所又は待機所
(3) 特定衣類着用飲食店営業の営業所
3前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4第2項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(警察官による中止命令)
第17条警察官は、特定異性接客営業に関し、第9条第1項又は第10条第3号若しくは第6号の規定に違反する行為をしている者に対し、当該違反行為を中止することを命ずることができ
る。
警察官は、特定衣類着用飲食店営業に関し、第10条第3号又は第6号の規定に違反する行為をしている者に対し、当該違反行為を中止することを命ずることができる。
(経過措置)
第18条この条例の規定に基づき公安委員会規則を制定し、又は改廃する場合においては、その公安委員会規則で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(委任)
第19条この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関して必要な事項は、公安委員会規則で定める。
(罰則)
第20条第12条の規定による公安委員会の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
2次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第7条第1項の規定に違反した者
(2) 第8条第1項又は第2項第1号若しくは第2号の規定に違反した者
(3) 第17条の規定による警察官の命令に違反した者
3次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
(1) 第6条第1項又は第2項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(2) 第10条第1号、第2号、第4号又は第5号の規定に違反した者
4次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。
(1) 第6条第3項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
(2) 第13条第4項の規定に違反した者
(3) 第15条の規定に違反して従業員名簿を備えず、又はこれに必要な記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者
(4) 第16条第1項の規定による報告若しくは資料の提出を拒み、若しくは同項の規定による報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は同条第2項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
(年齢の知情)
第21条第8条第1項若しくは第2項第1号若しくは第2号又は第10条各号に掲げる行為をし
た者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、前条第2項第2号若しくは第3号又は第3項第2号の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
(両罰規定)
第22条法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第20条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同条の罰金刑を科する。

(施行期日)
1この条例は、平成29年7月1日から施行する。
(経過措置)
2この条例の施行の際、現に特定異性接客営業を営んでいる者については、第6条第1項又は第2項に規定する特定異性接客営業を営もうとする者とみなして、同条の規定を適用する。この場合において、同条第1項又は第2項中「営業を開始しようとする日の10日前」とあるのは「平成29年8月31日」とする。
3前項の規定により第6条第1項又は第2項の規定による届出をした者の当該営業については、第7条第1項の規定は適用しない。
4この条例の施行の際、現に表示されている特定異性接客営業に係る広告物については、この条例の施行の日から平成29年9月30日までの間は、第9条第1項の規定は適用しない。
5附則第3項の規定により第7条第1項の規定を適用しないこととされる特定異性接客営業者が当該特定異性接客営業の営業所又は受付所の外周又は内部に広告物を表示する場合及び当該営業所又は当該受付所の内部において広告文書等を配布する場合については、第9条第1項の規定は適用しない。

わいせつ画像送信 強要未遂の疑い 京都の海保職員逮捕=福井

 敦賀警察は、送らせてしまうと、児童ポルノ製造と強要既遂になって、送る前だと、強要未遂になるというのですが、送らせると製造と強制わいせつ罪、送る前だと、強制わいせつ未遂になるはずです。法条競合で、強要未遂は適用されません。そんなことは弁護人の口から言えないので、誤った裁判例が積み上がっています。


 脅して裸写真を送らせる行為を強制わいせつ罪とした裁判例としては、大分地裁、丸亀支部、西条支部岡山地裁、札幌地裁等があって、性的意図がないとして強要罪止まりとした判例として、広島高裁岡山支部、東京高裁があります。親告罪の一部起訴の論点はH29改正でなくなりました。

 強要未遂の法定刑は懲役刑しかなく、捜査弁護としては強制わいせつ未遂の実質に対応した示談しかありません。

わいせつ画像送信 強要未遂の疑い 京都の海保職員逮捕=福井
2017.10.14 読売新聞
 女子高生にわいせつな画像を送らせようとしたとして、敦賀署などは13日、容疑者(20)を強要未遂の疑いで逮捕した。容疑を認めている。
 発表によると、工藤容疑者は9日、福井県内の女子高生にソーシャル・ネットワーキング・サービスで、「(裸の画像を)見たいけどなー」などとメッセージを送って脅し、わいせつな画像を送らせようとした疑い。女子高生が警察に届け出て、未遂に終わった。
 容疑者は京都府舞鶴市海上保安学校に所属。職員の逮捕を受けて、近藤悦広校長は取材に「逮捕されたことは誠に遺憾。事実関係を調査した上で、厳正に対処したい」と述べた。

成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が実費と称して養親希望者から金員を徴収するなどした各児童福祉法違反被告事件(千葉地裁H29.7.13)

児童福祉法
第三四条[禁止行為]
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつせんする行為
第六〇条
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

千葉地方裁判所平成29年07月13日
 上記被告人両名に対する各児童福祉法違反被告事件について、当裁判所は、検察官竹内穣、被告人Y1の私選弁護人柳原悠介、被告人Y2の国選弁護人永田豊各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文
被告人両名をそれぞれ懲役1年6月及び罰金50万円に処する。
被告人両名においてその罰金を完納することができないときは、金5000円をそれぞれ1日に換算した期間、その被告人を労役場に留置する。
被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその懲役刑の執行を猶予する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人両名は、いずれも一般社団法人「A会」(以下「A会」という。)の理事として、そのウェブサイトを利用して特別養子縁組を希望する養親及び実親を募っていたものであるが、共謀の上、成人及び児童のための正当な職業紹介の機関ではないのに、営利を目的として、特別養子縁組の養親となることを希望し前記ウェブサイトの「養親(育ての親)申し込みフォーム」に登録をしたB(以下「養親希望者」という。)及び自己が出産する予定の子を特別養子縁組の養子とすることを希望し前記ウェブサイトの「妊婦・実親(産みの親)申込フォーム」に登録をしたC(以下「実親」という。)との間で特別養子縁組をあっせんしようと企て、平成28年4月11日、養親希望者に優先して養子をあっせんするとの趣旨で養親希望者から被告人Y2名義のD銀行株式会社E支店の普通預金口座に、あっせん料総額225万円のうち100万円の振込みを受ける一方、被告人Y1が、同日、F市(以下略)H店において、実親から出産予定の子の特別養子縁組のあっせんを「A会」に専属的に依頼するとの内容の委任状の交付を受け、被告人Y2が、同月29日及び翌30日、I市(以下略)当時の被告人Y2方(以下「被告人Y2方」という。)において、同所に設置されたパーソナルコンピュータから、インターネットを利用して、養親希望者が使用する携帯電話機に、「残り金額125万を振り込んだら確定となります」「6月上旬出産で神奈川です。順調にすんで、検診も問題ないです。」「良かったら契約書に判をして、1週間以内に残金振込みになりますがいかがでしょうか?」などと記載したメッセージを送信するなどして、養親希望者に、養子となる者として実親が出産する予定の子を紹介し、養親希望者がこれを承諾するや、同月30日、被告人Y2が、被告人Y2方において、その使用するスマートフォンから、アプリケーションソフト「J」を利用して、実親が使用する携帯電話機に、「本日、ほぼ決まりました。明日 最終契約します。」と記載したメッセージを送信するなどして、実親に、養親希望者を出産する予定の子の養親となる者として紹介した上、同年5月1日、被告人Y1が、千葉県K市(以下略)の「A会」事務所(以下「A会事務所」という。)において、養親希望者との間で、特別養子縁組あっせん契約を締結するとともに、残金125万円のうち現金100万円の交付を受け、さらに、同月4日、被告人Y1が、A会事務所において、養親希望者から、更に現金25万円の交付を受け、同年6月19日、F市(以下略)助産院「L」において、被告人Y2が、養親希望者に対し、実親が出産した子を引き渡し、もって成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあっせんする行為をしたものである。
(証拠の標目)
(法令の適用)
 被告人両名の判示所為は刑法60条、児童福祉法60条2項、34条1項8号に該当するところ、所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し、その所定刑期及び金額の範囲内で被告人両名をそれぞれ懲役1年6月及び罰金50万円に処し、被告人両名においてその罰金を完納することができないときは、刑法18条により金5000円をそれぞれ1日に換算した期間、その被告人を労役場に留置し、情状により同法25条1項を適用して、被告人両名に対し、この裁判が確定した日から3年間、それぞれその懲役刑の執行を猶予し、訴訟費用(被告人Y2の国選弁護人に関する分)は、刑訴法181条1項ただし書を適用して被告人Y2に負担させないこととする。
(量刑の理由)
1 本件は、営利目的による特別養子縁組あっせん事業の初の検挙事案として広く報道され社会的な関心を引いたものであり、被告人らが、インターネットを利用したビジネスとして展開しようとした点に現代的な特徴がある。
  児童福祉法は、成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあっせんする行為を禁じ(同法34条1項8号)、これに違反した者は懲役刑等に処せられる(同法60条2項)。この立法趣旨は、営利を目的としてあっせんすることを許すと、人身売買的風潮を助長し、児童の人権を無視することになりやすいからである。児童福祉法のこれらの規定を受け、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知である「養子縁組あっせん事業の指導について」(平成26年5月1日雇児発0501第3号)及び同省同局家庭福祉課長通知である「養子縁組あっせん事業を行う者が養子の養育を希望する者等から受け取る金品に係る指導等について」(平成26年5月1日雇児福発0501第5号)が都道府県知事等にあてて発出され、事業者が養親の希望者等から受け取ることのできる金品について指導する際の留意点を明記し、養子縁組あっせん事業の適正かつ円滑な運営の実現が図られていた。
2 しかるところ、被告人両名は、インターネット上にマッチングシステムを作成して特別養子縁組あっせん事業を手広く行えば利益につながると目論み、行政担当者から上記通知等に基づく指導を受け、養子縁組あっせん行為を営利目的によって行うことが禁止されていること、業として行う場合には社会福祉事業として良質なサービスを提供しなければならないことなどを十分知悉していたにもかかわらず、ウェブサイトを立ち上げ、募集に応じた養親の希望者の中から、養親としての適格性ではなく、自分たちへの支払いを確保する都合上その年収の額を、トラブルを回避する都合上おとなしそうな人柄を重視して養親希望者を選別し、実親からは「A会」に専属的にあっせんを委任する旨の委任状を徴取して養子となるべき子の確保を図るなどして、マッチングの効率性を第一とする一方で、社会福祉士等の配置など必要な人的・物的体制を整えず、養親希望者や実親に対して行われるべき諸々の専門的な調査や相談支援を実施していないのに、実費と称して金額の根拠や使途の明らかでない総額225万円もの金員を養親希望者から徴収したのである。このようなあっせん行為からは、被告人らにおいてもっぱら自分たちの利得を目的として行い、児童の福祉に対する配慮など一顧だにしていなかったことが明らかで、児童福祉法の理念や規定に真っ向から反し、養子縁組あっせんを希望する養親希望者や実親を食い物にした誠に身勝手で悪質な行為というほかない。
  次に、各被告人が果たした役割をみると、被告人Y2は、特別養子縁組あっせん事業を発案して被告人Y1を誘い込み、事業の方向性の決定権限を有し、得意としていたウェブサイト作成を手掛けるなどしており、本件の主導者というべきである。また、被告人Y1も、その経歴から福祉事業の前面に立てなかった被告人Y2に代わって「A会」の代表理事に就任し、行政機関への対応や提出書類の作成、養親希望者との間での契約書の作成を行うなどして、本件犯行に不可欠な役割を果たしている。このような被告人両名の役割分担に照らすと、被告人Y2とY1は、得手不得手を補い合うパートナーであり、その責任の程度に量刑を左右するほどの差異をつけがたい。
3 以上によれば、被告人両名の刑事責任はいずれも軽視できず、懲役刑を選択するとともに、被告人両名がそれぞれ利欲的な動機から主体的に本件犯行に関与していることからして、この種事犯が経済的に見合わないことを知らしめるために罰金刑を併科することが相当であり、各弁護人が指摘するように、結果として収益を得られなかったことは、罰金刑の併科を不当とする事情には当たらない。
  その上で、実親が出産した子が養親希望者に引き渡されて間もなく、弁護士の介入によって実親の元に戻されたこと、被告人両名が事実関係を認めていること、被告人両名に前科前歴がないこと、家族がそれぞれ情状証人として出廷し、今後の監督を誓約していることなどの被告人らに有利な情状も考慮し、被告人両名に対しては、主文の懲役刑及び罰金刑を科した上で、その懲役刑の執行を猶予するのが相当と判断した。(求刑 被告人両名につき、懲役1年6月及び罰金50万円)
刑事第1部
 (裁判長裁判官 髙木順子 裁判官 佐藤傑 裁判官 津田葉月)

コミュニティサイトで知り合った女子児童(9歳)が13歳に満たないことを知りながら、無料通信アプリを通じて、同児童に対し、スマートフォンで自らの裸の画像を撮影させるわいせつな行為をしたという強制わいせつ罪(176条後段)事案

 これ奥村説なんで時々主張するのですが、岡山支部とか東京高裁では「性的意図なし」とされました。道警とか岡山県警とか香川県警とかにパクられました。

http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h29/H29_sankou.pdf
コミュニティサイトに起因する事犯の検挙事例
【強制わいせつ及び児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)】
被疑者(22歳・男)は、コミュニティサイトで知り合った女子児童(9歳)が13歳に満たないことを知りながら、無料通信アプリを通じて、同児童に対し、スマートフォンで自らの裸の画像を撮影させるわいせつな行為をし、同画像を被疑者に送信させる等して児童ポルノを製造したもの。
(6月・北海道)

中高生の師弟関係の性的行為ついて青少年条例違反のみを検討する弁護士


 こういう判例があるので、ファーストチョイスは児童淫行罪です。
 担任とかクラブ顧問とかの「影響関係」が薄い場合は青少年条例違反が検討されます。
 師弟関係の児童淫行罪では2/3程度が実刑になっていますから、重い方を念頭に対応してください。

児童福祉法
第三四条[禁止行為]
1何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六〇条
1 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

最高裁判所第1小法廷 平成26年(あ)第1546号 児童福祉法違反被告事件 平成28年6月21日
弁護人竹永光太郎の上告趣意のうち,憲法31条違反をいう点は,児童福祉法34条1項6号の構成要件が所論のように不明確であるということはできないから,前提を欠き,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論に鑑み,職権で判断する。
 児童福祉法34条1項6号にいう「淫行」とは,同法の趣旨(同法1条1項)に照らし,児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又はこれに準ずる性交類似行為をいうと解するのが相当であり,児童を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交又はこれに準ずる性交類似行為は,同号にいう「淫行」に含まれる。
 そして,同号にいう「させる行為」とは,直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいうが(最高裁昭和39年(あ)第2816号同40年4月30日第二小法廷決定・裁判集刑事155号595頁参照),そのような行為に当たるか否かは,行為者と児童の関係,助長・促進行為の内容及び児童の意思決定に対する影響の程度,淫行の内容及び淫行に至る動機・経緯,児童の年齢,その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断するのが相当である。
 これを本件についてみると,原判決が是認する第1審判決が認定した事実によれば,同判示第1及び第2の各性交は,被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり,同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は,校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し,ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでいることが認められる。このような事実関係の下では,被告人は,単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず,同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められる。したがって,被告人の行為は,同号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり,同号違反の罪の成立を認めた原判断は,結論において正当である。

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20171014/Imedia_082057.html?_p=2
教師と生徒の恋愛は法的に許される? シェアしたくなる法律相談所 2017年10月14日 21時40分 (2017年10月16日 14時00分 更新)

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9月28日兵庫県の中学校に勤める男性教諭が、卒業生の女性に対し「デートしたい」などとLINEメッセージを送っていたことが報じられています。
教諭は9月26日付で訓告処分となったようですが、以前にもトラブルになっており、ネットからは「退職させるべきではないか」「教師に向いていない」という厳しい声もでているようです。
一方で「卒業生ならば良いのではないか」「教師と生徒・元生徒という立場でも、お互いが恋愛感情を持っていれば恋愛しても良いのではないか」という同情的な意見もあがっています。
今回の件のような教師と生徒、元生徒とデート、恋愛をするようなことは法律的に許されるのでしょうか? ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。

■教師と生徒・元生徒の恋愛は許されるのか?
兵庫県で、40代の中学校の教師が10代の女性卒業生に対して『ちゅ~してしまうかも』、『デートしたい』などとLINEを送ったことにより、訓告処分を受けたことが話題になっています。
卒業生なのであれば、もう先生と生徒という関係にはありません。そのため、この教師が訓告処分を受けたことに対して疑問の声も上がっているようです。
先生と生徒、元生徒との恋愛は許されないのでしょうか。今回はこの点について考えてみます」(寺林弁護士)

■青少年保護育成条例への抵触
「18歳未満の女性に対する性的な行為はほとんどの自治体で青少年保護育成条例によって禁止されています。…
真摯な交際であれば許されるという例外もありますが、実際のところ、そうみなされるケースは非常に少なく、先生と生徒、元生徒(18歳未満)との恋愛で性的な関係があれば、この条例に反するとされ刑罰の対象となるでしょう」(寺林弁護士)

■今回の件について
「今回の件については、“元教師”という権威的立場を利用して、性的発言を元生徒に行った点がセクハラに類似する“性的嫌がらせ”とみなされたのではないでしょうか。
もう卒業している学校とはいえ、自分の兄弟が通学している場合などには、自分の対応いかんで何らかの不利益を被ることも想定されます。
そのような状況ではなくても、これがどんどんエスカレートして、例えばストーカー行為に及んだりわいせつ画像を撮らせるよう懇願するような危険性があったのかもしれません。
実際、この男性教諭は以前にもトラブルがあり、この件も踏まえたうえで自覚が足りないと訓告処分が科されたのではないかと思います」(寺林弁護士)

■結局のところ先生と生徒の恋愛は許されるのか
「許されることがあるとすれば、対等な立場で性的な関係を一切伴わない「純愛」しかありえないものと思われます」(寺林弁護士)
性的関係を伴う場合、その立場上周囲の理解を得ることは難しいようですね。

*取材協力弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。…

陰核陰茎形成術・造膣術と強制性交等罪 岡田志乃布「刑法の一部を改正する法律について」〔警察学論集第70巻第10号〕

陰核陰茎形成術・造膣術と強制性交等罪

法務省刑事局最高検察庁事務取扱検事岡田志乃布「刑法の一部を改正する法律について」〔警察学論集第70巻第10号〕
なお、ここでいう「陰茎」及び「膣」は、基本的には、医学的な意味での「陰茎」及び「膣」を指す。もっとも、強制性交等罪の保護法益が性的自由ないし性的自己決定権であることや強制性交等罪において「性交等」を重く処罰する趣旨を踏まえると、個別の事案によるものの、性別適合手術により形成された「陰茎」又は「膣」であっても、生来の「陰茎」又は「膣」と実質的に変わりがないということができる場合もあり得ると考えられる6)。そして、そのような場合には、性別適合手術により形成された「陰茎」を膣等に入れる行為や、同手術により形成された「膣」に陰茎を入れる行為も、本条による処罰の対象となり得ると考えられる。

6)例えば、性同一性障害の治療として、立位排尿を行うことを目的とした陰核陰茎形成術や、尿道を延長した上で行う陰茎形成術があるところ、陰核陰茎形成術によって形成されるミニペニスは、外観は生来の陰茎とは異なっており、通常、膣や肛門に挿入することは困難であるとされ、他方、陰茎形成術によって形成された陰茎は、その術式により陰茎に知覚、性感を得ることができるものがあるほか、形成される陰茎に肋軟骨やシリコンロッドなどの支持組織を埋め込み、膣などに挿入することが容易となっているものがあるとされる。また、陰部女性化手術のうち造膣術には複数の術式があるところ、いずれの術式によっても、外観は女性生来の膣に近似しているとされ、形成される膣に陰茎を挿入することは可能であるとされる(法制審議会刑事法(性犯罪関係)部会資料30「性同一性障害者の治療」(岡山大学病院ジェンダーセンター長教授難波祐三郎ほか1名作成)参照)。