児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

今井將人「刑法の一部を改正する法律」の概要(上) 警察公論2017年10月号

 2回に分かれました

イ要件
「性交」とは。改正前の刑法177条の「姦淫」と同義であり,膣内に陰茎を入れる行為をいう。
「肛門性交」とは肛門内に陰茎を入れる行為をいい, 「口腔性交」とは口腔内に陰茎を入れる行為をいう*7。
「性交」。「肛門性交」及び「口腔性交」を合わせて「性交等」ということとされており, これらの行為には. 自己又は第三者の陰茎を被害音の膣内等に入れる行為だけでなく、自己又は第三者の膣内等に被害音の陰茎を入れる行為(いわば、入れさせる行為)を含む。具体的には,女性が行為主体となって,男性の陰茎を自己の膣内,肛門内又は口腔内に入れさせる行為や,男性が別の男性の陰茎を自己の肛門内又は口腔内に入れさせる行為も、本罪による処罰対象となる。
*7 例えば、陰茎を膣内に全く入れずに単に舌先でなめる行為や、女性の外陰部をなめる行為などは「口腔性交」には当たらない。

2) 法定刑の下限の引上げ
ア概要及び趣旨
近年. 多方面から.強姦罪の法定刑の引上げを求める意見が述べられていた上,法定刑の下限が懲役5年である強硲罪及び現住建造物等放火罪よりも,強姦罪の方が,重い量刑がなされる事件の割合が高い状況にあった*8。
このような状況を踏まえれば.強姦罪の悪質性・重大性に対する現在の社会一般の評価は,少なくとも強盗罪や現住建造物等放火罪の悪質性.重大性に対する評価を下回るものではないと考えられ,現時点において強姦罪の法定刑の下限は低きに失しており,国民意識と大きく異なっていると言わざるを得ないことから、強姦罪の構成要件を見直して設ける強制性交等罪の法定刑の下限について、強盗罪及び現住建造物等放火罪と同様に.懲役5年に引きtげることとされた。
イ意義
今回の改正は.強姦罪に対する社会の評価を適切に法定刑に反映させようとするものであり,必ずしも,改正前の強姦罪の量刑が軽きに失して不当であるという認識を前提とするものではないが,法定刑の下限が懲役5年とされたことから,法律上の減軽事由(刑法43条等)又は酌量減軽(刑法66条)がなければ,執行猶予が付し得ない(刑法25条)こととなったことなどの意義は大きいといえる。

8 平成18年から平成27年までの実際の量刑において、強姦罪については、5年を超える懲役とされた事件の脾11台が約32パーセントであったのに対し,強盗罪岐び現イl建造物等放火罪については.5年を超える懲役とされた事件の割合はそれぞれ約21パーセント及び約23パーセントであり、法定刑の下限が懲役5年とされている強盛罪及び現住建造物等放火罪よりも,強姦罪の方が.重い量刑がなされる事件の割合が高くなっている状況が認められた。

京都府青少年健全育成条例によれば、アートメイクの「いれずみ」は正当理由があるとされる可能性がある

京都府青少年健全育成条例の解説(平成18年5月)
(いれずみを施す行為の禁止)
第24条
何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年に対し、いれずみを施し、受けさせ、又は周旋しではならない。
「解説」
1 本条は、青少年に対し、いれずみを施す等の行為を禁止し、身体から永久に消えず、将来に禍根を残すこととなるいれずみの被害から、青少年を保護しようとするものである。
2 「正当な理由がある場合」とは、医療行為、整形等のために行う場合で、客観的に青少年の健全な成長を阻害しないと明白に判断ずることができる場合をいう。例えば、整形的な理由で眉毛をいれずみする場合である。
3 「いれずみ」 とは、人の膚に針・小刀等で傷をつけ、そこに塁、朱等の色料を刺入して着色し、絵画文字等を表したものをいう。
4 「施し」 とは、青少年の身体にいれずみを自ら施す行為をいう。
5 「受けさせ」 とは、第三者そして青少年の身体にいれずみを施させる行為をいう。
6 「周旋」 とは、いれずみを受けさせることの仲介やあっせんをする行為をいう
7 本条に規定する行為は、いずれも青少年の同意の有無を問わない。
「関係法令」
刑法第204条(傷害)

 男性に対する暴行脅迫ないし抗拒不能による肛門性交・口腔性交についてはh29.7.13を境にして、適用罪名が変わりまして、法定刑が「6月~10年」から、「5年~20年」になっていて、下限が10倍上がりましたので、注意してください。

 男性に対する暴行脅迫ないし抗拒不能による肛門性交・口腔性交についてはh29.7.13を境にして、適用罪名が変わりまして、法定刑が「6月~10年」から、「5年~20年」になっていて、下限が10倍上がりましたので、注意してください。
 実際の量刑としては、改正前には無理矢理肛門性交したという強制わいせつ罪で懲役2年(実刑)だったところが、5年以上ということになります。
 といっても、犯人は知らないし、知っててもやるんだろうと思います。

h29.7.13より前の行為
(強制わいせつ)
第一七六条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(準強制わいせつ)
第一七八条
1人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。

h29.7.13以降の行為
(強制性交等)
第一七七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。一三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
(準強制性交等)
第一七八条
2人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。

https://www.nikkansports.com/general/news/201710060000683.html
 逮捕容疑は9月24日午前9時ごろ、容疑者の自宅で寝ていた男子生徒に乱暴した疑い。
 署によると、2人は知り合いで、男子生徒は前日から遊びに来ていた。同月24日、母親と一緒に交番に被害を訴えた。容疑者は「弁護士が来てから話す」と認否を留保している。
 7月施行の改正刑法は性犯罪を厳罰化。強制性交罪は男性も被害者に含め、性交類似行為も対象とした。(共同)

学童保育所指導員と児童との間に児童淫行罪を認定した事例(水戸地裁h29.8.21)

 強制わいせつ罪(176条後段)が立つ場合に、児童が犯人に淫行した(犯人が児童に淫行させた)と言えないと思うし、数回の強制わいせつ罪(176条後段)が科刑上一罪になっちゃうので、児童淫行罪立てない方がいいと思う。
 口淫とかが強制口腔性交罪になったときも児童淫行罪立ててくれるのかなあ。


水戸地方裁判所平成29年08月21日
理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、●●●学童保育所●●●を運営し、指導員を務めていた者であるが、(平成29年3月14日付け追起訴状記載の公訴事実第3、第4、平成28年7月29日付け起訴状、同年8月29日付け訴因変更等請求書記載の公訴事実)
第1 本件学童保育所に通所していたAが13歳未満であることを知りながら、
 1 別表1記載のとおり、平成26年6月11日から同年9月17日までの間、4回にわたり、本件学童保育所等において、指導員としての立場を利用し、Aに被告人の陰茎を口淫させるなどし、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をするとともに、児童に淫行をさせる行為をし、
 2 第1の1記載のとおりAに被告人の陰茎を口淫する姿態などをとらせ、それを自己が使用する動画撮影機能付き携帯電話機で撮影し、それらの動画データ合計6点をその携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童による性交類似行為に係る姿態若しくは他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し、
 3 平成27年10月28日午後6時55分頃、茨城県内において、指導員としての立場を利用し、Aに被告人の陰茎を口淫させ、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をするとともに、児童に淫行をさせる行為をし、
4 第1の3記載のとおりAに被告人の陰茎を口淫する姿態をとらせ、それを自己が使用する動画撮影機能付き携帯電話機で撮影し、その動画データをその携帯電話機(平成29年水戸地領第106号符号1)の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって児童による性交類似行為に係る姿態を視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノを製造し、
・・・


(争点に対する判断)
第1 争点
  弁護人は、Dを除く被害児童ら(以下、「争点に対する判断」の項では単に「被害児童ら」という。)に関する児童淫行罪の成否について、被告人は、被害児童らとの間で口淫や手淫等をしたが、児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長、促進したとはいえないから、被告人の行為は児童福祉法34条1項6号にいう児童に淫行を「させる行為」には該当せず、児童淫行罪は成立しないと主張する。
第2 検討
 1 同号の「させる行為」とは、直接たると間接たるとを問わず児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をいい、そのような行為に当たるか否かは、行為者と児童の関係、助長・促進行為の内容と児童の意思決定に対する影響の程度、淫行の内容と淫行に至る動機・経緯、児童の年齢、その他当該児童の置かれていた具体的状況を総合考慮して判断すべきである(最高裁平成28年6月21日第一小法廷決定・刑集70巻5号369頁参照)。
 2 これを本件についてみると、被告人の公判供述、供述調書に加え、被害児童らやその保護者らの供述調書等の証拠によれば、次の事実が認められる。
  (1) 本件学童保育所は、保護者が仕事などで日中に家庭にいない小学生を対象とする施設であり、放課後や長期休暇の際に、複数の指導員が、施設で児童に遊び、おやつ、宿題などをさせた後、夕方に児童を自宅に送り届けるなどしていた。被告人は、本件学童保育所を運営し、指導員も務めていた。被害児童らは、いずれも、本件学童保育所に通所していた小学生であり、指導員の中でも特に被告人を信頼し、懐いていた。
  (2) 被害児童らは、口淫、手淫といった行為があることやそのやり方など、性的な行為に関する知識がないか、極めて乏しかった。
  (3) 被告人は、被害児童らに対し、それぞれ、口淫を「ピースケ」と、他人の性器を手淫することを「お手手」と呼び、それらのやり方を説明するなどして、口淫や手淫のことを教えた。
  (4) その上で、被告人は、判示のとおり、本件学童保育所や、被害児童らを送迎する自動車内、本件学童保育所の行事で宿泊した施設などにおいて、男児である被害児童らとの間で、相手方の陰茎を口淫したり、手淫したりするなど、性交類似行為を行った。
 3 以上の事実関係に基づき検討する。
  (1) 被害児童らは、いずれも、被告人が運営し指導員も務めていた本件学童保育所に通い、被告人ら指導員から世話を受けながら、本件学童保育所で親が帰宅するまでの時間を過ごしていた小学生であり、指導員の中でも被告人を特に慕っていた。その上、被害児童らは、性的な行為に関し、無知であるかそれに近い状態であったから、被告人は前記児童らに影響力を及ぼしやすい立場にあったと認められる。そして、被告人は、被害児童らに性交類似行為を教えて身に付けさせたというべきであり、性交類似行為をするに当たっては、被害児童らが本件学童保育所に通所した機会をよく利用していた。これらの事情を考慮すると、被告人は、被害児童らの淫行について、いずれも、単に淫行の相手方となっただけではなく、いわば指導員としての立場を利用し、事実上の影響力を及ぼして被害児童らが淫行をすることを助長し促進する行為をしたと認めるのが相当である。
  (2) なお、被告人は、Aとの性交類似行為が始まったのは、本件学童保育所に通所する別の児童と被告人との間の性的な行為をAに目撃されてしまい、Aから、同じような行為をしたいと繰り返しせがまれたからであると供述する。しかし、被告人と本件学童保育所に通所していたAとの性交類似行為が始まったのは、Aが小学3、4年生の頃である(甲2、乙7)。また、当時のAは、前記のとおり、性的な行為については無知かそれに近い状態であり、指導員の被告人を慕っていた。これらのことからすると、仮に被告人が述べるような事情があったとしても、Aは、目撃した行為のやり方や行為の意味をよく理解しないで、自分も被告人とその行為をしたいとせがんだものと考えられる。にもかかわらず、被告人は、前記のとおり、Aに性交類似行為のやり方や呼び名などを教えて、Aと性交類似行為をし、また、Aに被告人との性交類似行為を口外しないことを約束させているから(被告人の公判供述、乙7)、被告人が事実上の影響力を及ぼしてAの淫行を助長、促進したとの評価は妨げられない。
  (3) 次に、被告人は、Mとの間で行った一部の性交類似行為(肛門への陰茎の挿入)について、被告人からはそのような行為の説明をしたことがなかったのに、Mからそれをすることを申し出てきたと供述する。しかし、この供述を前提とするとしても、その性交類似行為が始まったのは、被告人の働き掛けで口淫や手淫が行われるようになった後のことであるから、被告人が説明をしていなかったとする前記行為も含めて、被告人は、事実上の影響力を及ぼしてMが淫行をすることを助長し促進する行為をしたと認められる。
  (4) また、Jは、判示第10の2の事案の時点では、既に中学生(●●●)であり、本件学童保育所には通所していなかった。しかし、Jは、小学6年生まで本件学童保育所に通い(甲162、163)、前記のとおり、指導員である被告人を慕っていた上、既に被告人との間で性交類似行為を行っていたのであるから、前記事案においても、依然として、被告人からの誘いを断りづらい状況にあったと認められる。そして、被告人の公判供述やJの供述調書等によれば、前記事案において、被告人は、本件学童保育所に通っていたJの兄弟の送迎でJ宅を訪れた際、Jと偶然会うと、Jに性交類似行為をしようと誘い、送迎車の中でJと判示の性交類似行為を行ったことが認められる。以上の事情を考慮すると、被告人は、前記事案についても、元指導員としての立場を利用し、事実上の影響力を及ぼしてJが淫行をすることを助長し促進する行為をしたと認められる。
 4 これに対し、弁護人は、〈1〉A以外の被害児童らに対する被告人の助長・促進行為は、児童と初めて性交類似行為に及ぶ際、性交類似行為のやり方を説明するというものであり、行為をするかは児童の意思に委ねられていた上、2回目以降の性交類似行為は、児童から誘われることが多かったこと、〈2〉被告人は、自分が同性愛者であることを児童に受け入れられた喜びから、児童と関係を深めたいという感情になり、性交類似行為に及んだことから、児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行をなすことを助長、促進したとはいえないと主張する。
  しかし、〈1〉の点については、淫行を助長、促進する行為は淫行を強制する場合に限られないから、被害児童らが、自分の意思で性交類似行為を行ったからといって、被告人が淫行を助長、促進したとの前記判断は左右されない。また、〈2〉のような経緯、動機自体は、被害児童らに対する影響力を高めたり、淫行を助長、促進したりするものではないが、既にみた事情に照らすと、被告人が事実上の影響力を及ぼして被害児童らの淫行を助長、促進したことは優に認定できる。弁護人の主張は採用できない。
第3 結論
  以上によれば、被告人は、判示のとおり、指導員又は元指導員としての立場を利用し、被害児童らに淫行を「させる行為」をしたものと認められ、児童淫行罪が成立する。
(法令の適用)
  なお、児童淫行罪の罪数については、被告人が、学童保育所の指導員としての立場を利用し、通所児童らに性交類似行為を教えたことに基づく犯行であるから、一部の事案は行為の期間が相当長く、断続的であることを考慮しても、犯行時期が学童保育所の退所前と退所後に分かれている判示第10の事案を除き、被害児童ごとに包括一罪になると解すべきである。また、児童ポルノ製造罪の罪数については、被告人は、前記のとおり指導員としての立場を利用して通所児童らと性交類似行為を繰り返し、携帯電話機を持ち合わせていなかった場合を除き、その様子を自分の携帯電話機で撮影して、動画データをその携帯電話機等に保存していたことが認められるから、各被害児童について、それぞれ、一連の機会に継続した意思により児童ポルノを製造したといえる。したがって、判示第10の事案以外の児童ポルノ製造罪については被害児童ごとに包括一罪になるというべきである。
(量刑の理由)
 本件は、被告人が男児13名との間で口淫や手淫等の性交類似行為を行い、その場面を携帯電話機で撮影、記録するなどした強制わいせつ罪、児童淫行罪、児童ポルノ製造罪の事案である。
・・・
(求刑 懲役12年、携帯電話機・HDD・デスクトップパソコンの没収)
刑事部
 (裁判官 小笠原義泰)

被告人がAの排尿を介助し陰茎の異物を除去するなどの行為の際に性的意図を有しているものと推認して強制わいせつ罪(176条後段)の成立を認めた事例(横浜地裁H29.7.19)

横浜地方裁判所平成29年07月19日
 上記の者に対する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ(変更後の訴因:わいせつ誘拐、強制わいせつ)及び未成年者誘拐被告事件について、当裁判所は、検察官金岡佑樹及び私選弁護人大村俊介各出席の上審理し、次のとおり判決する。

第3 (平成29年2月28日付け追起訴状記載の公訴事実第1関係)
 被告人は、●●●(当時4歳。以下「A」という。)が13歳未満の男子であることを知りながら、わいせつな行為をしようと考え、平成28年3月28日午後3時29分頃から同日午後3時31分頃までの間、東京都●●●公園公衆トイレ内において、Aの陰茎を手指で直接触るなどし、これを被告人が使用する前記ビデオカメラを用いて動画撮影し、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をした。
第4 (平成29年2月28日付け追起訴状記載の公訴事実第2関係)
 被告人は、Aが18歳に満たない児童であることを知りながら、前記日時場所において、Aの陰茎を露出した姿態及び被告人がその陰茎を手指で直接触るなどの姿態をとらせ、これを前記ビデオカメラで動画撮影し、その動画データ1点を同ビデオカメラ内蔵の電磁的記録媒体である記録装置に記録して保存し、さらに、同動画データを、同日午後11時12分頃、●●●当時の被告人方において、パーソナルコンピュータ(平成29年領第736号符号4)内蔵の電磁的記録媒体であるハードディスクに記憶蔵置させ、もって他人が児童の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの及び衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。

第5 (平成29年1月12日付け追起訴状記載の公訴事実関係)
 被告人は、●●●当時11歳。以下「B」という。)が未成年者であることを知りながら、Bを誘拐しようと考え、Cと共謀の上、平成28年4月17日午後1時頃、静岡県●●●のスーパーマーケット●●●(以下「本件スーパー」という。)敷地内において、以前から「お肉買ってきたからステーキ食べよう。」などの甘言を用いて誘惑していたBを、同所に駐車していた自動車内に乗車させた上、その頃から同日午後4時26分頃までの間、前記Cが所有する●●●マンション●●●(以下「本件マンション」という。)内等に連れ込み、Bを被告人及び前記Cの支配下に置き、もって未成年者を誘拐した。
第6 (訴因変更後の平成28年12月5日付け追起訴状記載の公訴事実第1関係)
 被告人は、Bが13歳未満の男子であることを知りながら、わいせつな行為をしようと考え、同日午後4時5分頃から同日午後4時26分頃までの間、本件マンションにおいて、Bの下着をずらしてその陰茎を手指で直接触った上、これを被告人が使用するデジタルカメラで動画撮影し、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をした。
第7 (訴因変更後の平成28年12月5日付け追起訴状記載の公訴事実第2関係)
 被告人は、Bが13歳未満の男子であることを知りながら、Bを誘拐してわいせつな行為をしようと考え、平成28年5月7日午後1時15分頃、本件スーパー敷地内において、以前から「お肉買ってきたからステーキ食べよう。」などの甘言を用いて誘惑していたBを、同所に駐車していた自動車内に乗車させた上、本件マンション内等に連れ込み、Bを被告人の支配下に置き、もってわいせつ目的でBを誘拐した上、同日午後1時40分頃から同日午後2時9分頃までの間、同所において、Bの下着をずらしてその陰茎を手指で直接触った上、これを被告人が使用する前記ビデオカメラで動画撮影し、もって13歳未満の男子に対し、わいせつな行為をした。
(争点に対する判断)
第1 判示第3の事実について
 1 判示第3のAに対する強制わいせつの事実に関し、被告人は、当公判廷において、Aの排尿の介助及び糸くず様の異物の除去のためにAの陰茎を触ったもので、わいせつなことをしようと触ったわけではない旨供述し、弁護人も、同供述を前提に、被告人がAの陰茎を触った行為につき、性的意図がないからわいせつ行為に当たらず、強制わいせつ罪は成立しない旨主張する。そこで、当裁判所が被告人の行為につき強制わいせつ罪が成立すると判断した理由を以下に補足して説明する。
 2 関係証拠によれば、次の事実が認定できる。
  被告人は、Aと共に判示の公衆トイレに入り、Aが小便器で排尿する状況等を腕時計型ビデオカメラで動画の撮影をしていた。被告人がAの動画撮影を開始して約11秒後から約16秒後までの間(以下全て動画開始からの秒数である。)、Aが排尿しており、約17秒後から約25秒後までの間、被告人が、Aの陰茎を右手で触り、陰茎の先についたしずくを振り落としている。約34秒後頃、被告人がAの正面に回り、約35秒後にAの陰茎を右手で触って持ち上げ、約37秒後、Aの陰茎の包皮を数回伸ばしながら、「大丈夫か。」などと発言しており、この時点でも、Aの陰茎には尿が付着していたので、被告人がしずくを落としている。約40秒後、被告人が腕を動かしたため、公衆トイレ内が撮影されているが、約42秒後、被告人は「ごみがついてるぞ。」などと発言し、この間Aは「さわると病気になるんだよ。」などと発言している。約48秒後から再びAの陰茎が映され、被告人が「はい、大丈夫かな。」「OK。」と発言し、約50秒後以降、Aの陰茎は映っていない。約54秒後に、被告人が「糸くずがいっぱいついてるから。」「はい、よしOK。」と発言し、Aと被告人は公衆トイレを出た。
 3 被告人は、Aの排尿が終了してもなお約30秒の間Aの陰茎の包皮を伸ばすなどしてその陰茎を触り続けている。また、被告人は、自らがAの陰茎を触る様子について1分間以上も動画の撮影を続け、犯行当日の夜には自己が所有するパーソナルコンピュータに当該動画を保存するなどしている。さらに、被告人からは、Aの陰茎に触っている様子を動画撮影しその動画をパーソナルコンピュータに保存した理由につき、「Aの姿が自分にとって和む、癒される」旨(被告人供述調書(2)47頁)、「Aの陰茎を撮影したかった」旨(同(2)47頁)、「撮影できたかどうか後で見返したかった」旨(同(2)49頁)の供述以外に、説明が特に見受けられない。後記のとおり被告人が排尿の介助や異物の除去のつもりでAの陰茎に触ったならば、例えば、自己の一連の行動の正当性を客観的に裏付けるため動画に撮影して保存したものであるなどの説明が被告人から語られてしかるべきである。
  以上の認定に係る事実関係によれば、被告人において、自身が述べるように、その好みの年齢幅(10歳から13歳くらい)からA(4歳)が外れている上、Aが映っている動画で自慰行為をしていなかったとしても、前記行為の際に性的意図を有していたことを推認するに十分である。
  なお、弁護人は、性的欲求と性的関心を区別してその主張を展開するけれども、性的欲求の範ちゅうに含まれる性的関心の部分をいわば切り出して問題視するものであって、当裁判所とは見解を異にする。
 4 ところで、被告人は、Aの陰茎に触った理由として、Aの排尿を介助するためであり、その際、陰茎に黒いごみ(糸くず様の異物)が付着していたのでこれを除去した旨供述し、実際、前記の動画撮影時にも「ごみがついてるぞ。」と発言するなどしている。被告人が撮影した動画の映像上Aの陰茎に黒いごみが付着していたとの確証は得られないものの、被告人は、当公判廷で、糸くずの付着箇所に丸を付け(被告人供述調書(2)24、58頁)、その丸の中に薄暗いはん点様の部分が見受けられ、この部分を念頭に置いて被告人が「綿ぼこりみたいな形で表面にべっとり付いていた」(同(2)48頁)と述べたとの理解も可能である。そして、実際に被告人がAの陰茎の先についたしずくを振り落とすなどしている点で排尿を介助していたといえ、また、Aの陰茎に黒いごみが付着し被告人がこれを取り除いた可能性が残る以上、異物を除去していたとの被告人の供述部分も排斥できないことになる。もっとも、このように外形的な推移としてAの排尿の介助と陰茎に付着する異物の除去があったからといって、これにより被告人の内面の問題である性的意図の有無が直ちに左右されるものではない。そして、当裁判所において、被告人がAの排尿を介助し陰茎の異物を除去するなどの行為の際に性的意図を有しているものと推認したことは前記のとおりである。
 5 よって、被告人には前記行為時に性的意図があったと認められ、結局、関係証拠に鑑み、判示のとおり強制わいせつ罪が成立する。
(検察官意見 懲役4年、主文同旨の没収)
(弁護人意見 付全部執行猶予)
第1刑事部
 (裁判長裁判官 本間敏広 裁判官 伊東智和 裁判官 澁江美香)

「わいせつな行為」は,行為者の性欲を満足させる意図の下に,客観的にも性欲を刺激・興奮させる一方,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するものでなければならないのである」が、強制わいせつ罪の成立には性的意図は必要ない。」(Law Practice 刑法第3版)佐久間修

 性的意図不要にすると、わいせつの定義も変わりますよね。どう変わりますかね。

3姦淫とわいせつ行為
かようにして,新しい刑法典では,強制的な挿入行為さえあれば,その対象を問わない点で,強姦(強制性交等)の範囲を拡大したのである。これに対して,旧規定の強姦罪は,女性を対象とした狭義の性交に限られたため,男性器の女性器への(一部)挿入だけが問題となった。
なお,犯人が性的満足を感じたことまでは必要でないが,強制わいせつ罪では,従前,主観的なわいせつ傾向が成立要件とされてきた(いわゆる傾向犯である)。すなわち,ここでいう「わいせつな行為」は,行為者の性欲を満足させる意図の下に,客観的にも性欲を激・興奮させる一方,普通人の正常な性的差恥心を害し,善良な性的道徳観念に反するものでなければならないのである(名古屋高金沢支判昭和36.5.2下刑集3巻5=6号399頁)。
4被害者の性的自由と主観的内心傾向
例えば,被害女性の臂部を撫で回したとき(参考判例③④)が,前述した「わいせつ行為」に当たるのは当然であるが(大判大正7.8.20刑録24輯1203頁),設問(2)でCに下着を替えさせた場合はどうであろうか。かつて若い女性を裸にして写真を撮ったにもかかわらず,もっぱら報復や侮辱の意図であったとして,強制わいせつ罪の成立を否定した最高裁判例があった(最判昭和45.l・29刑集24巻1号1頁)。しかし,学説の多数は,被害者の性的自由という保護法益を守るうえで,こうした主観的限定を不要とみている。
近年の下級審判例においても,もっぱら客観的な見地から犯人のわいせつ傾向を認めたものが少なくない(東京地判昭和62・9・16判時1294号143頁,東京高判平成26・2・13高等裁判所刑事裁判速報集(平26)号45頁)。そこでは,客観的にみて被害者の性的自由を侵害する行為があり,しかも,犯人がその旨を認識していれば,当然に同罪が成立するものとされる。そもそも,性的自由の侵害が,犯人の心理状態いかんに左右されるとき,被害者の保護に欠けるため,設問中の乙の意図がどうであったかを,あまり重視するべきではない。(佐久間修

h29.9.30に尻を触ったという痴漢行為(H29.3.1施行 沖縄県迷惑行為防止条例3条1項1号違反)について、「沖縄県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」3条違反として通常逮捕した事例

 そもそも「沖縄県公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例3条」というのが有効に存在しません。
 沖縄県迷惑行為防止条例はネット上ではヒットしません。県の例規集にも見当たりません。
 豊見城警察・那覇地検那覇地裁にも周知されていませんでした。
 弁護人は「新条例は公布されていない」という主張をしてください。検察官からは「俺は知らなかったけど、他の人は知っていた」みたいな反論が来るでしょう。
 令状を取り直している間、被疑者を警察署に留めた理由も説明してもらいましょう。

改正前
http://www.pref.okinawa.jp/reiki/35090101000900000000/35090101000900000000/35090101000900000000.html
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例
昭和50年1月10日
条例第9号
改正
平成4年3月31日条例第38号
平成19年7月20日条例第45号
(卑わいな行為の禁止)
第3条 何人も、他人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、他人を著しくしゅう恥させ、又は他人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
(罰則)
第10条
1 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(1) 第3条の規定に違反した者
2 常習として前項第1号の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
追加〔平成19年条例45号〕
↓↓

改正後
http://www.pref.okinawa.jp/kenkouhou/H28/12gatsu/161228gogai38.pdf
あらまし
○ 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例(条例第62号) 1 題名を「沖縄県迷惑行為防止条例」に改めることとした。(題名関係) 2 3の行為規制を加えることに鑑み、目的を改めることとした。(第1条関係) 3 人の衣服等を透かして見ることができる写真機等を用いて他人の下着等を撮影する行為、衣服の全部又は 一部を着けない状態にある他人を撮影する行為等を規制することとした。(第3条関係) 4 3の行為規制を加えることに伴い、盗撮行為に関する罰則を1年以下の懲役又は100万円以下の罰金等と することとした。(第10条関係) 5 その他所要の改正を行うこととした。(第4条第1項第2号及び第4号、第11条第1項第1号並びに第12 条から第17条まで関係) 6 この条例は、平成29年3月1日から施行することとした。(附則第1項) 7 この条例の施行に関し、必要な経過措置を定めることとした。(附則第2項)



公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の一部を改正する条例
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(昭和50年沖縄県条例第9号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
沖縄県迷惑行為防止条例
第1条中「暴力的不良行為等」を「行為等」に改める。
第3条中「卑わいな言動」を「次に掲げる行為」に改め、同条に次の各号及び3項を加える。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から直接他人の身体に触れること。
(2) 人の通常衣服で隠されている身体又は下着(以下「下着等」という。)をのぞき見すること。
(3) 人の下着等を撮影し、又は撮影する目的で写真機、ビデオカメラその他これらに類する機器(以下「写真機等」という。)を向け、若しくは設置すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、卑わいな言動をすること。
2 何人も、正当な理由がないのに、人の衣服等を透かして見ることのできる写真機等を用いて、公共の場所にいる他人又は公共の乗物に乗っている他人の下着等を見、又は撮影してはならない。
3 イ可人も、正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所で当該状態にある他人を撮影し、又は撮影する目的で写真機等を向け、若しくは設置してはならない。
4 何人も、正当な理由がないのに、事務所、会鏃室、教室その他の公共の場所以外の場所であって、多数の者が利用するような場所において、他人の下着等を撮影してはならない。
第4条第1項第2号及び第4号並びに第3項第1号及び第2号中「通常衣服で隠されている身体又は下着」を「下着等」に改める。
第16条中「第10条第1項第2号、第11条第1項若しくは第2項、第12条第1項(第4条第1項に係る部分に限る。)若しくは第2項」を「第11条第1項第2号、第12条第1項若しくは第2項、第13条第1項(第4条第1項に係る部分に限る。)若しくは第2項」に、
「第13条」を「第14条」に、「第14条」を「第15条」に改め、同条を第17条とする。第15条を第16条とし、第11条から第14条までを1条ずつ繰り下げる。
第10条の前の見出しを削り、同条第1項第1号中「第3条」を「第3条第1項から第3項まで」に改め、「違反した者」の次に「(前条第1項第1号の規定に該当する者を除く。)」を加え、同条を第11条とし、第9条の次に次の見出し及び1条を加える。
(罰則)
第10条次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
(1) 第3条第1項(第3号に係る部分に限る。)、第2項又は第3項の規定に違反して撮影した者
(2) 第3条第4項の規定に違反した者
2 常習として前項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成29年3月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」の一部改正
http://www.pref.okinawa.jp/site/iken/h28/documents/20160609160819.pdf
http://www.pref.okinawa.jp/site/iken/h28/kenkei2.html
1 条例案の内容
(1) 改正趣旨
 現行条例は、公共の場所・乗物における痴漢や盗撮行為を規制しています。
 しかし、風呂場や更衣室など、通常衣服を着けない状態でいるような場所や、公共の場所ではない学校の教室など、特定かつ多数の人が利用するような場所における盗撮、あるいは透視機能を有した写真機での盗撮は、現行条例で取り締まることができません。
 そこで、現行条例で規制できない形態の盗撮等を規制するため条例を改正します。  
 また、今回の改正により画像流出による二次被害のおそれが高い盗撮行為の罰則を強化します。
(2) 改正内容
ア 公共の場所における「卑わいな行為」関係(禁止行為を一部追加)
 現行条例は、規制する内容を公共の場所における「卑わいな言動」とし、条文をひとくくりにしていますが、今回の改正で、「卑わいな言動」の態様が分かりやすいよう、次のとおり例示規定するとともに、新たに盗撮目的でカメラを設置する行為等を規制します。
・現行(要約):公共の場所又は乗物において、卑わいな言動をしてはならない
・改正案(要約):公共の場所又は乗物等において、次の行為をしてはならない。
①人の身体に触れる痴漢行為
②衣服で覆われている人の下着や身体をのぞき見する行為
③下着等を盗撮し、盗撮する目的で写真機等を向け、若しくは設置する行為
イ 透視機能を有する写真機等で下着等を見ることや盗撮の禁止(新設)
※公共の場所又は乗り物に乗っている人に対し、次の行為をしてはならない。
・正当な理由がないのに、透視機能を有したカメラ等で、公共の場所にいる人の衣服を透かして見る行為や撮影する行為を新たに規制します。
ウ 通常衣服を着けない状態でいる場所にいる人の盗撮等の禁止(新設)
※公共の場所又は公共の乗物を要件としない禁止行為
・正当な理由がないのに、住居、浴場、更衣室、便所等で、衣服を着けない状態でいる人を、盗撮し、又は盗撮目的で写真機等を向け、若しくは設置する行為を新たに規制します。
エ 特定かつ多数の人が利用するような場所での盗撮の禁止(新設)
※場所的要件「特定かつ多数の人が利用する場所」
・正当な理由がないのに、公共の場所に含まれない集会所、事務所、教室など特定かつ多数の人が利用するような場所において、人の下着等を盗撮する行為を新たに規制します。
オ 罰則の強化
次のとおり盗撮行為の罰則を強化します。
【盗撮】
・現行:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
・改正案:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(常習は2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
【痴漢】
・現行:6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(常習は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)
・改正案:現行と変更なし。

条例誤適用の男送検/豊見城署「再発防止努める」
2017.10.03 沖縄タイムス
 豊見城署は2日、女子小学生の尻を触ったとして、県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕した無職の男(52)を那覇地検に送致した。同署は1日、改正前の同条例違反容疑で逮捕したが、その後誤りに気付き、男を一度釈放。同日中に、改正後の同条例違反容疑で再び逮捕した。
 1度目の逮捕から約32時間半後の2日午前11時ごろに送検した同署は、手続きの不備について「職員の指導を徹底し再発防止に努めたい」とした。男は同署の調べに対し、容疑を認めているという。1度目の逮捕で、改正前の同条例違反容疑で逮捕状を発布した那覇簡裁を監督する那覇地裁も「点検が不十分だった」と不備を認めた。その上で「このような事態が生じたことは誠に遺憾だ」とコメントした。
 刑事訴訟法は、警察が留置の必要があると判断した場合、逮捕した被疑者を48時間以内に検察官に送致する手続きを規定している。豊見城署は「送検手続きに違法性はなかった」としている。同署は男をいったん釈放した後、再び逮捕するまでの約3時間の扱いについて「被疑者に事情を説明し、任意で署に待機してもらった」と説明した。
 同条例は1975年に公布され、最新の改正案は今年3月施行。同署は「改正前と後のどちらの条例の構成要件も満たし
 ている」と説明していた。
・・・
旧条例名で逮捕状/県警・地裁 執行後釈放し再逮捕
2017.10.03 琉球新報
 豊見城署は1日、小学生女児の尻を触ったとして逮捕した自称住所不定無職の男(52)について、改正前の古い条例名で逮捕したことから、一時釈放し再逮捕したと発表した。同署は「今後は同様のことがないように指導したい」としている。弁護士は「警察は罰則付きの法律や条例の適用でミスをしてはいけない」と指摘した。

 逮捕容疑は9月30日午後4時前、那覇市のショッピングセンター内で女子小学生の尻を手で触った疑い。豊見城署は1日午前2時半ごろに「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」に違反したとして逮捕。しかし、同条例は3月の改正で「沖縄県迷惑行為防止条例」と名称が変わっていた。

 豊見城署員が送検手続きをしている際に誤りに気が付いたため、同署は1日午後1時15分ごろに男を一度釈放。事情を説明して任意で署内で待ってもらい、同4時42分に再逮捕した。同署は「犯罪の構成要件は充足しているが、厳正手続きの観点から釈放し再逮捕した」と説明した。男は2日午前中に送検された。

 那覇地裁によると、多田裕一裁判官が最初の令状を発布した。再逮捕の際は別の裁判官が担当したという。那覇地裁の矢尾渉所長は「このような事態が生じたことは誠に遺憾だ。再発防止に努めたい」とした。

 元裁判官で刑事弁護に詳しい釜井景介弁護士は、身柄拘束が強制的に行われる観点から「法的根拠を明示して権力を行使する立場の警察官にあってはならない間違いだ」と批判した。裁判官については「今回の容疑は刑法ではなく条例違反で、間違ってはいけないが難しい面はある」と話した。

 沖縄弁護士会刑事弁護委員会の高良誠委員長は「釈放後の身柄の取り扱いなどで被疑者に不利益があってはならない。裁判所にもチェックを果たせなかった甘さがある」と指摘した。

困惑によるsexting~「写真送らなければ自殺」少女に裸の自撮り送らせた疑い

 困惑によるsexting~「写真送らなければ自殺」少女に裸の自撮り送らせた疑い

 「自分が死ぬ」というのは脅迫(強制わいせつ罪)にはならないので、せいぜい「困惑」(青少年条例)扱いです。
 こういうのがあると、児童の製造罪・提供罪は問いにくくなります。

http://news.livedoor.com/article/detail/13696466/
 道警によると、容疑者は3月、福岡県内の中学生の少女(当時14)に裸の画像をスマートフォンで撮影させ、通信アプリ「LINE」で画像1枚を送らせた疑いがある。容疑者が管理人をするネット掲示板「BIGちゃんねる」に、少女が携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」から書き込みしたのを機に2人は知り合った。容疑者は少女をパスワードが必要な掲示板に誘導。アニメやゲームの話で交流を重ね、「付き合おう」と持ちかけた。LINEのほか、シャッター音を消すことができるアプリを導入したスマホを少女に送り使わせていた。道警は約1年間に画像約100枚を送らせたとみている。
■「ネット上の彼氏」、抵抗感薄く
 スマートフォンなどで自分の裸の写真を撮影し送信してしまう「自画撮り被害」は後を絶たない。
 警察庁によると、今年6月までの上半期に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は1142件で過去最多。被害児童594人のうち、自画撮り被害は4割を超え263人で最も多かった。うち約7割がコミュニティーサイトが原因だった。道警によると、道内で自画撮り被害にあった18歳未満の子どもは8月までに22人。児童ポルノ被害全体の約半数を占めた。
 道警への取材では、逮捕された男は「写真を送らなければ自殺する」などと迫り、少女は「本当に自殺されたら自分のせいだ」と思い恐怖心から送信を断れなくなった。

 今回の掲示板は書き込み手段がゲーム機とパソコンに限られており、男は「小中学生を掲示板に呼び、大人を排除したかった」などと供述していた。被害発覚の端緒はネットの通報だったという。

「わいせつ行為=被害者の性的蓋恥心を害すべき行為」たのしい刑法各論〔第2版〕

 強制わいせつ罪の保護法益については、「個人の性的自由」として、「わいせつ行為=性的自由を侵害する行為」とはせずに、「わいせつ行為=被害者の性的蓋恥心を害すべき行為」と定義づけています。性的自由→羞恥心という変化に意味あるのかなあ。

 性的不要説の判例として、東京高裁H28.2.19(性的意図がある場合)の公刊されている部分は紹介されています、判決書を入手してないので、性的意図が認定されていることは指摘されていません。上告中の大阪高裁H28.10.27(性的意図無い場合)は紹介されていません。

たのしい刑法I各論〔第2版〕
2017 (平成29)年10月15日第2版1刷発行
(1)性的自由に対する罪とは
性的自由に対する罪は、性的な自己決定(選択の自由)を保護するものである。身体が第一次的に保護されているわけではないことに注意を要する。刑法典の中では社会的法益に対する罪の間に規定されているが、現在では、個人に対する罪として理解することに争いはない。
(a) 類型
日本の刑法は、被害者の性質により犯罪類型に差を設けている。刑法においては、年齢による区別として、13歳未満の者に対する法定強制性交・法定強制わいせつ罪を設け、本人の同意があっても犯罪が成立するとしている。これは、年齢の低い者はまだ性的な自己決定の能力が完全でないことから、バターナリズムに基づいて保護を図るものである。
特別法には、18歳未満の者の性的自由を保護する処罰規定がいくつかある。2017年の刑法改正までは、強姦罪(旧177条)が女子に対してしか成立せず、男子は法定刑の低い強制わいせつ罪(旧176条)でしか保護されないという格差の問題があった。だが、男児への性的虐待などで被害が甚大なケースも起きており、諸外国にも両者を区別しない立法例が多いことから、区別が撤廃された。さらに、監護者わいせつ・監護者性交罪が新設された(179条)
・・
(2) 強制わいせつ罪・強制性交等罪
(a) 強制わいせつ罪暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対するわいせつ行為は暴行・脅迫を手段としなくても同様に処罰される。
客観的な成立要件として、わいせつ行為を強制する手段としての暴行・脅迫は、反抗を著しく困難にする程度のものであることを要するとされる(第1章第2節●暴行罪(1)参照)。わいせつ行為自体が暴行を構成する場合、これが反抗を困難にするといえるのかが問題となる。この場合には暴行の強度は問題にならないとするのが多数説であるが、反対説もある。痴漢行為などは迷惑行為防止条例などで処罰できることから、反抗を困難にする程度のもののみを強制わいせつとし、その他は暴行罪および条例違反の罪の対象として処罰するという方法もあると考えられる。実務では、準強制わいせつ罪(178条)でカバーされる範囲も広がっているといわれる。
本罪と同じ章には、社会的法益に対する罪である公然わいせつ罪(174条) も規定されているが、わいせつ性の解釈は両罪で異なるとするのが多数説である。たとえば、人前でキスしても公然わいせつではないが、暴行・脅迫によりキスすることは強制わいせつにあたる。強制わいせつ罪にいうわいせつな行為には、裸にして写真を撮る、陰部を触るなど、被害者の性的蓋恥心を害すべき行為があたる。
主観的な成立要件として、故意のほかに、わいせつ目的を要するかが争われている。最高裁には、報復目的で女性を脅迫し、裸にして撮影した事案で、「その行為が犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行われることを要」するとして犯罪の成立を否定した例がある(最判昭和45. 1 .29刑集24巻1号1頁[百選1114事件])。しかし、強制わいせつ罪の保護法益は個人の性的自由であるから、客観的に性的自由を侵害する行為とそれに対応する故意があれば犯罪の成立を認めるべきであろう(同旨、東京高判平成26. 2 . 13高検速報平成26年45頁。「犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図の有無は・・…・法益侵害とは関係を有しない」とする)。

第三者陰茎による強制口腔性交罪

「13未満Aの陰茎を13未満Bの口に入れる」というのは、Aを第三者、Bを被害者とする強制口腔性交罪ですが、Aに対する強制わいせつ罪(176条後段)を立てないと、、Aの被害が評価されないことになります。
 量刑は、改正前なら強制わいせつ罪(176条後段)で6月~10年だったところが、改正後では強制口腔性交罪で5年以上ということなって、下限が10倍になっています。

(強制わいせつ)
第一七六条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
(強制性交等)
第一七七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。一三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

法務省刑事局付今井將人 「刑法の一部を改正する法律」の概要 研修830号
(2)要件
「性交」とは,改正前の刑法177条の「姦淫」と同義であり,膣内に陰茎を入れる行為をいう。
「肛門性交」とは肛門内に陰茎を入れる行為をいい, 「口腔性交」とは口腔内に陰茎を入れる行為をいう(注4)。
「性交」, 「肛門性交」及び「口腔性交」を合わせて「性交等」ということとされており, これらの行為には, 自己又は第三者の陰茎を被害者の膣内等に入れる行為だけでなく, 自己又は第三者の膣内等に被害者の陰茎を入れる行為(入れさせる行為)を含む。具体的には,女性が行為主体となって,男性の陰茎を自己の膣内に入れさせる行為や,男性が別の男性の陰茎を自己の肛門内に入れさせる行為も,強制性交等罪による処罰対象となる。
(注4)例えば,陰茎を口腔内に全く入れずに単に舌先でなめる行為や,女性の外陰部をなめる行為などは, 「口腔性交」には当たらない。

http://digital.asahi.com/articles/ASK9Y5J5LK9YUTNB017.html
捜査1課によると、容疑者は18日午後0時半~午後3時ごろ、さいたま市内の駐車場で、同市に住む未就学の2人の男児同士でわいせつな行為をさせた疑いがある。「小さい男の子に興味があった」と容疑を認めているという。

 容疑者は、登録した会員間で子どもの世話を頼める子育て支援サイトを通じて子どもの世話を引き受けており、この日は現場近くの公園で被害男児の1人の母親とともに、被害男児2人を含む複数の幼児を世話していたという。

 男児の話で母親らが被害を届け出た後、容疑者は28日に警視庁荒川署に出頭していた。男児の1人は、3日にも容疑者に預けられていたという。ネット上の子育て情報の掲示板には、容疑者とみられる人物が、託児を引き受ける東京都内の区の事業を挙げて「協力会員をしています。チャイルドシッター致します」とする書き込みがあった。

 7月施行の改正刑法で強姦(ごうかん)罪の名称が強制性交罪に改められ、男児同士に性的行為をさせることも処罰対象になった。

大麻所持の量刑相場は懲役6~10月(東京地検)なのに、1年6月を求刑して、懲役1年6月執行猶予3年の判決が出て(東京地裁H29.3)、控訴審で懲役6月執行猶予3年に是正された事例(東京高裁H29.6)

 地裁は検事の誤った求刑を盲信して、そのままの刑期に執行猶予を付けたということで、量刑知らなくて判決書いてるんでしょうね。
 これ、判決を特定して、検察官の控訴趣意書を閲覧すると、同種事件の裁判例の一覧表が添付されていて、量刑相場を把握することができます。
 薬物事件は多いので、滅多にないと思いますが、福祉犯など珍しい罪名になると、裁判所に相場観がないので、弁護人から同種事案を示すと、誘導できることがあります。

刑訴法
第三八一条[量刑不当]
 刑の量定が不当であることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて刑の量定が不当であることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
。。
条解刑事訴訟法
量刑の原理・政策に反してしていると主張する場合には、記録等に現われた個別的事実を媛用せず、量刑基準を認める根拠となる同|種事業にいての裁判例を援用すればたりる(判例10参照)
判例10量刑不当の控訴趣意において、訴訟記録にも第ー審裁判所の証拠にも現われてしなし、同種事案に関する裁判例を援用しても.不適法ではない(最判昭29 ・10 ・2 2集8-10-1653

東京地検「量刑重すぎた」と控訴 大麻所持事件、高裁が減刑判決
2017.10.06 朝日新聞
 東京地裁が3月に大麻を所持した罪で懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した男性について、東京地検が「量刑が重すぎた」とする異例の理由で控訴していたことが5日、関係者の話でわかった。東京高裁は6月に一審判決を破棄し、懲役6カ月執行猶予3年に減刑する判決を出し、確定した。
 検察関係者によると、男性は東京都大田区の路上で、大麻2・4グラムを所持していたとして、大麻取締法違反の罪で起訴された。初犯だったが、地検は公判で懲役1年6カ月を求刑し、地裁が懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した。判決後、地検内部の会議で量刑の重さが問題になり、同種事件の量刑傾向を調べて控訴を決めたという。大麻の違法所持は法定の最高刑が5年だが、検察幹部は「同種事件だと求刑は懲役6~10カ月が基準になる」と話した。
・・・
大麻所持:同様事件と比べ「求刑重過ぎた」 検察控訴
2017.10.06 毎日新聞
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。

 検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。

 大麻所持罪の最高刑は懲役5年だが、地検は過去の裁判例を調べ、同様の事件と比べて求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し、懲役6月、執行猶予3年とした。

 地検は「不当な量刑だったため、判決の是正を求めて控訴した」としている。

 元東京高裁判事の木谷明弁護士は、「一般的な量刑より重過ぎる求刑や判決は、不公平となるため問題だ。検察の求刑が不適切なのはもちろんだが、それに寄り掛かって判決を出した裁判官も責任を免れない」と話した。
・・・
「求刑重過ぎた」 地検が異例控訴
2017.10.06 産経新聞
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。地検は同様の事件と比べ求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し懲役6月、執行猶予3年とした。
・・・
「求刑重過ぎた」異例控訴東京地検大麻所持事件
2017.10.06 河北新報記事情報 27頁 共同通信 (全433字) 
 東京地裁が3月、大麻取締法違反事件の被告に言い渡した有罪判決について、東京地検が「同様の事件と比べて求刑が重過ぎた」との理由で控訴していたことが5日、裁判関係者への取材で分かった。求刑の重さを理由とした控訴は異例。
 検察側は大麻所持の罪に問われた被告の男に懲役1年6月を求刑し、地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
 大麻所持罪の最高刑は懲役5年だが、地検は過去の裁判例を調べ、同様の事件と比べて求刑が重過ぎたと判断、控訴を決めた。検察側は控訴審で懲役6月を求刑。東京高裁は6月、地裁判決を破棄し懲役6月、執行猶予3年とした。
 地検は「不当な量刑だったため、判決の是正を求めて控訴した」としている。
 元東京高裁判事の木谷明弁護士は「一般的な量刑より重過ぎる求刑や判決は、不公平となるため問題だ。検察の求刑が不適切なのはもちろんだが、それに寄り掛かって判決を出した裁判官も責任を免れない」と話した。
河北新報社
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“求刑重すぎた” 大麻事件判決の取り消し求め 東京地検が異例の控訴
2017.10.05 NHKニュース (全725字) 
 ことし3月、東京地方裁判所大麻取締法違反事件の被告に懲役1年6か月の有罪判決を言い渡したことについて、検察が「ほかの同じような事件と比べて求刑が重すぎた」として、判決の取り消しを求める異例の控訴をしていたことがわかりました。

 2審では懲役の期間を3分の1の6か月に見直す判決を言い渡していて、専門家は「検察の不当な求刑を見過ごした裁判所や弁護士も、今回の事態を重く受け止めるべきだ」と指摘しています。

 この裁判は、神奈川県の40代の男が東京・大田区の路上でおよそ2点4グラムの大麻を所持していたとして、大麻取締法違反の罪に問われたもので、検察が懲役1年6か月を求刑し、ことし3月、東京地方裁判所も懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

 営利目的を除く大麻の違法所持の罪の最高刑は、懲役5年で、求刑や判決は法令の範囲内でしたが、東京地方検察庁が同じような内容の事件の最近の判決、およそ100件を調べたところ、懲役1年を超えたケースは1件もなく、およそ7割が執行猶予の付いた懲役6か月の判決だったということです。

 このため検察は「ほかの同じような事件と比べて求刑が重すぎた」として、判決の取り消しを求めて控訴し、2審の東京高等裁判所は懲役の期間を3分の1の6か月に見直す判決を言い渡しました。

 検察が求刑が重すぎたとして判決の取り消しを求めて控訴するのは、極めて異例です。

 今回の問題について、刑事裁判に詳しい元裁判官の門野博(かどの・ひろし)さんは「裁判所や弁護士にも執行猶予が付けば検察の求刑通りで大丈夫だという感覚があったのではないか。不当な求刑を見過ごした裁判所や弁護士も今回の事態を重く受け止めるべきだ」と指摘しています。
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地検「刑重すぎ」控訴 大麻所持事件 東京高裁が減刑
2017.10.05 読売新聞社
 東京地裁で3月、大麻取締法違反事件の被告に対し、検察側の求刑通りの懲役刑に執行猶予付きの有罪判決が言い渡されたにもかかわらず、東京地検が「刑が重すぎる」と控訴していたことが、5日わかった。2審・東京高裁はその後、1審判決を破棄し、被告の刑を軽くする判決を言い渡した。検察側が、被告の刑の軽減を求めて控訴するのは異例。
 関係者によると、大麻2・4グラムを所持したとして同法違反に問われた40代の男性被告に、同地検は懲役1年6月を求刑。同地裁は懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

 だが、判決後に同地検が他の同種事件の量刑と比較したところ、被告の刑が重すぎたことが判明。同地検は「量刑不当」として控訴し、2審判決は、1審判決を破棄した上で、被告の刑を懲役6月、執行猶予3年とした。同地検は、「量刑が不当だったため控訴を申し立て、判決を是正した」としている。

 一方、検察側の求刑は、裁判官が刑の重さを決める際の参考意見とされる。元東京高裁裁判長の門野(かどの)博弁護士は、「求刑を誤った検察側の対応も問題だが、本来は、地裁が求刑の誤りに気付いて、正しい刑を言い渡すべきだった。仮に執行猶予が取り消された場合、被告はその分、長く受刑することになる。不適正な刑が言い渡されることはあってはならない」と指摘している。
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◎「刑重過ぎ」検察が異例控訴=東京高裁で減刑大麻所持事件
2017.10.05 時事通信 (全495字) 
 大麻取締法違反事件で東京地裁が言い渡した有罪判決について、東京地検が「刑が不当に重かった」として控訴していたことが5日、関係者への取材で分かった。地裁は検察側求刑通りの懲役刑に執行猶予を付けたが、判決後に求刑が重過ぎたことが判明したという。
 検察側が刑が重過ぎるとして控訴するのは異例。高裁は一審判決を破棄して減刑した。
 関係者によると、被告の男性は大麻約2.4グラムを所持したとして起訴された。前科はなかったが、東京地検は懲役1年6月を求刑し、東京地裁は3月に懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。
 地検が判決内容を検討する中で、同種事件と比較して求刑が不当に重かったことが発覚。検察、弁護側双方が控訴し、東京高裁が6月、一審判決を破棄して懲役6月、執行猶予3年を言い渡して確定した。
 大麻取締法は営利目的でない大麻の所持について、5年以下の懲役と定めている。 

 あるベテラン裁判官は「同種事件で求刑が1年を超えることはまずない。一審判決に違法性はないが、異例の事態だ」と指摘。検察幹部は「量刑に対する問題意識が欠けていた。今後は適切な求刑に努める」と話している。

わいせつ行為とは、端的に、「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為」とすべきであるが、いわゆる痴漢行為は、程度の軽いものは強制わいせつとはならず、都道府県の迷惑行為防止条例で処罰される 新基本法コンメンタール刑法[第2版] 176条 島岡まな

わいせつ行為とは、端的に、「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為」とすべきであるが、いわゆる痴漢行為は、程度の軽いものは強制わいせつとはならず、都道府県の迷惑行為防止条例で処罰される 新基本法コンメンタール刑法[第2版] 176条 島岡まな
 強制わいせつ罪が「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為」なら、13歳未満の被害者に対する痴漢行為(電車内で着衣の上から胸や尻に触れるいわゆる痴漢行為)でも、「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為」であるから、強制わいせつ罪だと説明しないと一環しない。スカートめくられた小学生も、「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為をされました」って供述するだろうに。

基本法コンメンタール刑法[第2版] 176条
(2) わいせつな行為
(ア) 意義
わいせつとは、公然わいせつ罪(174)・わいせつ物頒布販売罪(175)における「わいせつ」とほぼ同じ意味の「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的差恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」こと(名古屋高金沢支判昭36.5.2下刑3巻5=6号399頁)とされている。しかし、風俗などの社会的法益に対する罪である174条.175条と異なり、個人の性的自由ないし性的自決定権を保護する本罪におけるわいせつ行為とは、端的に、「被害者の意思に反し、被害者及び一般人の性的差恥心を害する行為」とすべきであろう。
(イ) 具体例
指を陰部に挿入する行為(大判大14・12.1刑集4巻743頁)、被害者の意思に反して乳房(大阪地堺支判昭36・4・12下刑3巻3=4号319頁)、尻などに触れる行為、強いて接吻する行為(東京高判昭32.1・22高刑10巻1号10頁、大阪高判昭41.9・7判タ199号187頁、最決昭50.6.19裁判集刑196号653頁など多数)、少年の肛門に異物を挿入する行為(東京高判昭59・6・13判時1143号155頁)もわいせつ行為となる。
電車内で着衣の上から胸や尻に触れるいわゆる痴漢行為は、程度の軽いものは強制わいせつとはならず、都道府県の迷惑行為防止条例で処罰されるが、悪質なものは強制わいせつに当たる場合もあるといえよう。
性交はわいせつ行為の一種であるが、特別法である強制性交等罪(177)が成立するため、法条競合により本罪は成立しない。
四主観的要件
’1)性的意図・傾向
加害者側の主観的要件として、故意のほかに「性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図」を要求し、報復目的で被害者を裸にして写真撮影した加害者を無罪とした判例(最判昭45.l・29刑集24巻1号1頁)がある。しかし、個人の性的自由の侵害を本質とする本罪において、加害者側の性的意図は問題とならず、被害者に性的差恥心を抱かせ、その性的自由を侵害する認識がある限り、本罪の主観的要件としては十分である(実質的に性的意図を要求しなかった判例として、東京地判昭62.9.16判時1294号143頁、団藤・各論491頁、平野・概説180頁、大谷・各論lll頁、西田・各論87頁、山口・各論108頁、井田・各論112頁など)。

 同居少女に対する性行為2回につき、青少年条例違反で逮捕され、監護者性交等罪2件で起訴された事例(小樽支部)

 この類型は、従前は児童淫行罪(1月以上10年以下の懲役)の包括一罪でしたが、h29..7.13以降の行為については監護者性交等罪(一八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による(五年以上の有期懲役に処する。))も適用可能になりました。
 同一児童に対する数回の監護者性交等罪の処断刑期は、包括一罪とすると5~20年になりますが、併合罪とすると、5~30年になることになって、罪数処理も争点になります。
 奥村は、包括一罪説です。
 児童淫行罪が起訴されていれば科刑上一罪(20年)のところ、児童淫行罪は起訴せずに併合罪(~30年)とするような運用(かすがい外し)には警戒してください。
 こういう問題がある重罪なのに、青少年条例違反で逮捕され、捜査段階は国選弁護を受けられていないという面では、気の毒でした。

刑法(h29改正後)
(強制性交等)
第一七七条
十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。一三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
第一七八条
1人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
(監護者わいせつ及び監護者性交等)
第一七九条
1十八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為をした者は、第百七十六条の例による。
2一八歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第百七十七条の例による。
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児童福祉法(児童淫行罪)
第三四条[禁止行為]
1 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
六 児童に淫いん行をさせる行為
第六〇条
1 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

監護者性交等罪 道内で初の起訴=北海道
2017.09.27 読売新聞
 札幌地検小樽支部が、小樽市の会社員の男(67)を監護者性交等罪で札幌地裁小樽支部に起訴していたことが26日、わかった。同罪での起訴は道内で初めて。
 起訴状などによると、男は7月17日と20日、同居する少女を監護する立場を利用し、少女が18歳未満と知りながら性行為をしたとされる。男は少女の母親と祖母と同居していたという。
 男は同月、道青少年健全育成条例違反で逮捕、送検されたが、札幌地検小樽支部はより量刑が重い同罪で8月10日と9月19日に起訴した。
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監護者性交罪:小樽の男を起訴 道内で初 /北海道
2017.09.27 毎日新聞
 同居していた女性の娘に性行為をしたとして、札幌地検小樽支部小樽市の会社員の男(67)を監護者性交罪などで起訴していたことが分かった。7月施行の改正刑法で新設された監護者性交罪が適用されたのは道内で初めて。

 地検などによると、男と娘に血縁関係はなく、道青少年健全育成条例違反(淫行)容疑で逮捕、送検されたが、男が生活の面倒を見ていたことなどから、親と同様の「監護者」と判断。より量刑の重い同罪を適用し、8月10日に起訴した。

 監護者性交罪は、親などの「監護者」が18歳未満の少年少女に対し、立場や影響力を利用してわいせつ行為などをした場合、暴行や脅迫がなくても処罰される。

加熱式たばこ」は未成年者喫煙禁止法の「煙草」か?

 加熱式たばこ」は未成年者喫煙禁止法の「煙草」か?
今週のお題「読書の秋」
今週のお題「読書の秋」

 「タバコ属の植物」でなければ、煙草にならないようです。

http://digital.asahi.com/articles/ASK9T5146K9TULOB01N.html
18歳(当時)の長女に加熱式たばこを買い与えたとして、神奈川県警は25日、母親(44)=横浜市栄区=を未成年者喫煙禁止法違反(親権者の不制止)の疑いで書類送検し、発表した。母親は調べに「紙巻きたばこを注意してもやめず、加熱式たばこの方が健康面でまだましだと思った」と供述しているという。

 県警によると、母親は長女が喫煙していることを知りながら、今年4月に自宅で加熱式たばこを与え、喫煙を止めなかった疑いがある。長女が5月に職務質問を受け、所持品から器具が見つかっていたという。

WIKI
加熱式たばこ(英: Heat-not-burn tobacco)はタバコを燃焼させずに加熱するものである[1]。タバコ葉を加熱し、ニコチンを含むエアロゾルを生成する[2]。こうした製品は喫煙行動の特徴をもっている[2]。燃焼製品に似せて設計されている[3]。

未成年者喫煙禁止法
(明治三十三年三月七日法律第三十三号)
第一条  満二十年ニ至ラサル者ハ煙草ヲ喫スルコトヲ得ス
第二条  前条ニ違反シタル者アルトキハ行政ノ処分ヲ以テ喫煙ノ為ニ所持スル煙草及器具ヲ没収ス
第三条  未成年者ニ対シテ親権ヲ行フ者情ヲ知リテ其ノ喫煙ヲ制止セサルトキハ科料ニ処ス
○2 親権ヲ行フ者ニ代リテ未成年者ヲ監督スル者亦前項ニ依リテ処断ス
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安西特別刑法
未成年者喫煙禁止法(明治三三年法律三三号〉は、喫煙の未成年者(満20年に達しない者。民三条)に及ぼす弊害を防止するための法律で、未成年者飲酒禁止法とほぼ同様の規制が設けられている。煙草とは、たばこ事業法(昭和五九年法律六八号〉にいう「たばこ」と同義であって、たばこ属の植物をいい(同法二条一号)、日本たばこ産業株式会社が葉たばこを原料の全部または一部とし、喫煙用・かみ用またはかぎ用に供しうる状態に製造したいわゆる製造たばこ(同法二条三号)に限らず、私人製造のいわゆる私製たばこも含まれる。

たばこ事業法
第一条 この法律は、たばこ専売制度の廃止に伴い、製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等にかんがみ、製造たばこの原料用としての国内産の葉たばこの生産及び買入れ並びに製造たばこの製造及び販売の事業等に関し所要の調整を行うことにより、我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 たばこ タバコ属の植物をいう。
二 葉たばこ たばこの葉をいう。
三 製造たばこ 葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。