児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ致傷:強盗致傷罪は否認−−初公判 /大分

 刃物で脅迫したのを、強制わいせつで評価するか強盗で評価するかという問題です。
 量刑理由をみている限り、一般に、この種事案では、財産罪としての量刑はあまり高くないですよね。

毎日新聞 - 2008年3月4日(火)
元高校講師の強制わいせつ致傷:強盗致傷罪は否認−−初公判 /大分
 女性を刃物で脅しわいせつな行為をして下着を奪おうとしたとして、強制わいせつ致傷と強盗致傷の罪に問われた被告(27)の初公判が3日、大分地裁(宮本孝文裁判長)であった。被告は下着を強奪するつもりはなかったとして強盗致傷罪について否認した。
 検察側は冒頭陳述で「04年から通行人の女性をナイフで脅し下着を奪うなどの行為を繰り返していた」と指摘。弁護側は「下着への興味はわいせつな行為であって、金やバッグなどを奪う財産犯ではない」と主張した。

各委員会所管事項の動向

 162国会からこういう資料があるそうで、衆議院から送ってもらいました。
 「平成17年から被害児童数が急増した。」と思っているらしいですが、児童ポルノの被害児童数が増えたという認識についてですが、たいてい、青少年条例違反か児童買春の際の撮影で、前提となる性犯罪・福祉犯と重複してます(甲野花子さんは、児童買春罪の被害者にもカウントされるし、製造罪の被害者にもカウントされる)から、甲野さん、乙山さん・・・と名前を並べると、頭数はそんなに増えていません。
 逆に、氏名不詳の児童ポルノ(「なんとか援交シリーズ」)の被害児童は全くカウントされていないので、これをカウントすると、被害者数は二桁くらい増えます。
 統計の都合でどうにでもなる数字で、実態は変わっていないのです。
 だから、被害者数が増えたからどうこうするという改正を行うとすれば、間違っています。
 正確には「児童ポルノ・児童買春の被害は深刻であるのに、法定刑を引き上げても、構成要件を密にしても、一向に減らない」ということになると思います。
 なお、法定刑を引き上げても量刑は上がっていません。下限を上げないと効果なし。罰金刑があるということは、立法府としても罰金程度の罪だと認識していることが法文に表示されているということです。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/08doukou01.pdf/$File/08doukou01.pdf
第169回国会(常会)における課題等−(平成20年1月)
青少年問題に関する特別委員会
児童ポルノ問題に関する課題
児童ポルノの所持は、児童の権利侵害に密接に関連する行為であり、また、画像情報の電子化により複製が容易になったため、インターネット上で画像が流通し続け、被害の回復が困難となっていることから、単純所持を違法化すべしとの意見がある一方で、違法化することにより、別件逮捕などに利用される、あるいは、結果として個人の内心の自由に踏み込むことになるおそれがあるとの意見もあり、社会的な合意は形成されていない。
また、児童ポルノに関し処罰対象となる行為は実在する児童に関する行為に限られているため、マンガなどのポルノ、児童の顔写真などに別人の裸体をつないで作成されたポルノ、18歳以上の者が児童のふりをした擬似児童ポルノなどは処罰対象とされていないが、これらを野放しにすることは児童を性の対象としてみる風潮を増進するおそれがあるとして、何らかの規制をすべきとの意見がある。しかし一方で、規制対象を拡げることにより、過剰に表現の自由に介入するおそれがあるとして反対する意見もある。
米国国務省が発表した2007年人身売買報告書においては、日本で児童ポルノの購入及び所持が合法であることが、児童ポルノに対する世界的需要の要因になっており、児童ポルノの購入及び所持を刑事罰の対象とする法改正を求めている。

注5 平成16年の法改正で処罰範囲が拡大されたため、平成17年から被害児童数が急増した。

強要罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)は観念的競合だよね。

 会ったことない児童をメールとか電話で脅迫して裸を送らせるというパターンで、実刑判決が届きました。強要罪とは併合罪になっています。
 これも、性犯罪・福祉犯との罪数と同様に問題になります。
 3項製造罪(姿態とらせて製造)の「姿態をとらせ」の部分が強要罪と評価されているのだから、実行行為は大部分重なります。
 青少年条例違反や児童淫行罪の場合は淫行によって、児童買春罪の場合は性交等によって、強制わいせつの場合は暴行脅迫によって、それぞれ「姿態をとらせ」ていて、強要の場合は、「生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて」、「義務のないこと」として「姿態をとらせ」て撮影しているわけですから、構造は同じ。

 児童ポルノ罪は包括評価されることがあって、かすがい現象認めると、かなりの広範囲が科刑上一罪になります。とすると、被害者1名なら観念的競合にしてくれそうですが、被害者多数だと、併合罪にされると思います。理屈は一貫しませんが。

刑法第223条(強要)
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。

第7条(児童ポルノ提供等)
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。

親告罪、見直しできぬか

 児童買春罪は、そういう理由で非親告罪になっています。
 たとえば11歳を児童買春すると、実体法上は、強姦との観念的競合ですが、起訴前に示談すると強姦罪は落ちて、児童買春罪だけで起訴されます。結局、被害者は尋問の危険にさらされますが、それはやむを得ないという立法判断です。
 

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20080305ddm004070012000c.html
強姦罪親告罪である理由は、加害者に対する被害者の処罰意思を国家の刑罰権より優先しているからだ。被害者の意思を無視して国家が捜査を進めることが、周囲の目や捜査協力、心の傷に悩む被害者をさらに傷つけかねないという理屈だが、今回の事件は「処罰意思優先」の論理が逆に少女を追い込み、司法による真相解明の道を閉ざす結果になったと言えないか。ジレンマはあるが、これを機に親告罪のあり方を見直すことはできないだろうか。

 青少年条例違反は親告罪じゃないので、適用可能です。

沖縄県青少年保護育成条例
http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=83&id=7904&page=1
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第17条の2 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
(罰則)
第22条 第17条の2第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 こういう判例があります。

名古屋高裁金沢支部H14.3.28
1 所論は,原判示各行為は,被害者らの真摯な承諾なく抗拒不能の状態でされたもので,強姦,準強姦,強制わいせつ,準強制わいせつ罪に当たるとし,いずれについても被害者らの告訴はなく,親告罪たる強姦罪等の一部起訴は許されないから,本件起訴は違法であって訴訟手続の法令違反があるという(控訴理由第23)。
 しかしながら,児童買春罪や児童買春処罰法7条2項の児童ポルノ製造罪(以下,単に「児童ポルノ製造罪」という。)は親告罪ではなく,しかも強姦罪等とは構成要件を異にしていて,児童買春罪等が強姦罪等と不可分の一体をなすとはいえず,原判示第2ないし第4が強姦罪等の一部起訴であるとはいえないから,告訴欠如の如何を論ずるまでもなく(最高裁昭和28年12月16日大法廷判決・刑集7巻12号2550貢参照),所論は失当である。

阪高裁H14.9.10
②被告人は,被害児童の撮影を自己の性欲を満たすために行ったものであり,しかも,被害児童は 歳であるから,暴行脅迫がなくとも,これを裸にして撮影した被告人の行為は強制わいせつの実行行為にあたるところ,強制わいせつ罪は親告罪であり,公訴を提起するには,被害児重ないしその保護者の告訴が必要であるが,本件においては被害児童の保護者は犯人を告訴しない旨供述しているのであるから,強制わいせつ罪より法定刑の軽い児童ポルノ製造罪で起訴して処罰することは,強制わいせつ罪が親告罪とされている趣旨に反し許されないのに,被害児童の保護者の告訴のないまま起訴した点において,原判決には,判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反がある,・・・というものである。しかしながら,・・・②についは,児童ポルノ製造罪の保護法益は上記第1記載のとおりであり, この処罰の目的は,個人の性的自由を保護法益とする強制わいせつ罪のそれとは異なることは明らかであり,児童ポルノ製造罪が強制わいせつ罪の構成要件の一部とはいえず,また,児童ポルノ製造罪が親告罪とされなかったのは,親告罪とすると,加害者やその背後の組織からの報復を恐れて告訴できなかったり,あるいは保護者に対する金銭的な示談で告訴を取り下げさせたりすることが通常の性犯罪以上に予想され,所期の目的が達成ができないためであり,従って,本件において,被害児童の保護者に被告人を告訴する意思がないのに本件公訴を提起したことは,強制わいせつ罪が親告罪とされている趣旨を潜脱することにはならない。

 青少年条例違反で立件しないのは、この辺の理由じゃないか?
 なぜか殺人と強姦に限定されてます。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/rem_01.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/rem_keiji_01.html
刑事裁判手続に係る日米合同委員会合意(平成7年10月)
一  合衆国は、殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に日本国が行うことがある被疑者の起訴前の拘禁の移転についてのいかなる要請に対しても好意的な考慮を払う。合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について同国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する。
二  日本国は、同国が一にいう特定の場合に重大な関心を有するときは、拘禁の移転についての要請を合同委員会において提起する。
英文)
The United States will give sympathetic consideration to any request for the transfer of custody prior to indictment of the accused which may be made by Japan in specific cases of heinous crimes of murder or rape. The United States will take full account of any special views Japan may put forward in the Joint Committee as to other specific cases it believes should be considered.

169 - 衆 - 安全保障委員会 - 2号 平成20年02月22日

○下地委員 逮捕状の内容が強姦の場合を大臣とはお話ししている。地位協定が対象になるのは、殺人か強姦か、二つしかありませんから、その他の傷害だったら、私はこの場所で言いません。私が、逮捕状をとって警察庁が言ってというのは、強姦であった場合というふうなことを申し上げているので、そのことは私も重々知っておりますから、それはぜひそれでやっていただきたい。
 それと、再発防止策について今論議して、私は、非常に外務大臣は前向きにいろいろなことをやられているというふうに評価をさせていただきたい。
 渡辺議員と私たちも行きましたけれども、今、地位協定の根本改定は難しいと言いながらも、残りの教育の問題に関しても、そして基地の外にいらっしゃる方々に関しても、それとパトロールの件にしても、今検討なされているということでありますから、ぜひ検討して実行していただきたい。
 あと、私たちが要望しました運用の改善の中の項目をあと三つ挙げてくれと。今回の場合を含めて未成年者の強制わいせつの件、そしてもう一つは、危険運転の致死傷罪の件と放火を新たに運用改善で早急に入れるように日米で協議をしてもらいたいというようなことについて、先ほど触れられておりませんでしたけれども、これは何とか協議をするということはできないでしょうか。

○高村国務大臣 そういう要望を直接受けまして私なりにいろいろ考えてみたんですが、今の日米合同委員会合意は、殺人または強姦という凶悪な犯罪の特定の場合についての規定のほか、合衆国は、日本国が考慮されるべきと信ずるその他の特定の場合について、日本国が合同委員会において提示することがある特別の見解を十分に考慮する、こういうふうに規定しているわけであります。
 必ずしもこういう三つを挙げなくとも、こういう場合に我が国が、これがまさに考慮されると信ずるべき場合であれば、これは向こう側の考慮を求めることができるようになっていますので、この三つの犯罪だけを今加えてやるべきかどうかというのは、なお検討が必要だ、こういうふうに思っています。
○下地委員 項目の中に二つ、殺人と強姦という項目を入れていますから、新たに項目を入れることは、今の大臣のお話だったら、考慮するということを書いて、殺人も強姦も書かなくてもできるんですよ。しかし私は、事件、事故の抑止力という意味では、殺人、強姦、放火、今の未成年者に対する問題だとか、危険運転とかを入れることが非常に抑止力につながるんじゃないか、文面を、項目をちゃんとつくることがいいのではないかということです。
 あとは、アメリカ側の配慮という問題は変わらないわけですから、これを入れると、非常にまた教育の中で、こういうふうな問題が新たに加えられましたとなると、やはり沖縄で今駐留している兵隊の皆さんにもある意味の抑止力になるんじゃないかと私は思うので、そう言わずにこの部分を一回前向きに検討してみる、これはアメリカももう検討してもいい事項だと思いますよ。
 昔、何年前ですか、上間悠希さんの、飲酒運転で、スピード違反で、ひき逃げでというケースがありましたけれども、あのときの私たちの状況からしても、ぜひこの三つだけは新たに入れていただければ、僕はそれが事件、事故の大きな抑止力になるというふうに思っていますので、もう一回大臣のお考えを聞かせてください
○高村国務大臣 私の弁護士としての経験からいうと、この三つの犯罪を入れたからそれが抑止力になるというふうには余り考えないんですが、せっかく委員の御提案でありますから、さらに考えてみたいと思います。
 九五年に、こういう運用改善のときも、アメリカと日本側の本当にぎりぎりのせめぎ合いがありまして、アメリカというのは日本にだけ駐留しているわけじゃなくて、いろいろな国に軍隊を派遣しているわけでありますが、世界に全くない、日本だけの特別なことを獲得しているわけで、さらにここというのはなかなか困難だと思います。それは御理解をいただいた上で、私もちょっと考えてみたいと思います。
○下地委員 弁護士は総理大臣になれませんからね。政治家が総理大臣になりますから、政治家の視点で決着をつけて外交をやってもらいたいなというふうに思います。

県条例違反で処分保留の教諭 実名報道は名誉棄損→棄却

 一定の身分関係の間の性犯罪・福祉犯で被疑者の実名だすと、被害児童が特定されてしまうことがあるので、慎重にお願いします。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080305-00000015-ryu-oki
大野裁判長は、報道が公益を図る目的で、報道機関がその内容を真実と信じる相当の理由があれば違法性は阻却されるとする最高裁判例を挙げ「報道機関が警察の公式発表を信頼するには相当の理由がある」とした。
 教諭は精神疾患で休職中だったにもかかわらず4社が実名報道したのは違法だとも訴えていたが、判決は「教諭の精神疾患が刑事責任能力を疑わせる程度のものとは認められない」と判断した。
 教諭の代理人は「記者が警察発表をすべて信用するなら、国民の知る権利はどうなるのか不安だ。実名報道で原告は教師としては再起不能になっている」とあらためて実名報道のあり方に疑問を呈した。教諭は控訴する方針。
 琉球新報は女子生徒が特定されるおそれがあるなどの理由で、教諭の逮捕を匿名で報じた。

 逮捕事件は記者クラブにFAXで流されていて、報道機関は独自の判断でチョイスしているというんので、信用毀損の事件で、被害者の店名を流布させたのは、警察・報道機関じゃろうという主張をしたことがあります。

阪高裁H14.6.13
 本件控訴の趣意は,弁護人奥村徹作成の控訴趣意書に記載されたとおりであり,これに対する答弁は,検察官S作成の答弁書に記載されたとおりであるから,これらを引用する。
 論旨は,原判決は原判示第1の事実を認定した上,これが刑法233条の信用毀損罪及び業務妨害罪に該るとしているが,被告人が警察官であるAに対しコンビニエンスストアで購入した紙パック入りオレンジジュースに異物が混入していた旨の虚偽の申告をすることは,虚偽の風説を「流布」したことにはならないし,被告人のこのような行為によって同店の「借用」が毀損されたわけでもなく,また,被告人には同店の信用を毀損する故意もなかったのであるから,被告人には信用毀損罪は成立せず,仮に,被告人の行為が同罪及び業務妨害罪に該当するとしても,上記事実については,軽犯罪法1条16号の虚構申告罪を適用すべきであるから,原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実誤認ないしは法令適用の誤りがある,というものである。
 しかしながら,記録を調査しても,原判決がその挙示する証拠を総合して原判示第1の事実を認定し,これが刑法233条の信用毀損罪及び業務妨害罪の構成要件に該当するとして同条の適用を認めたのは正当である。
 以下,所論に即して検討する。
1 「流布」について
  所論は,刑法233条の「流布」とは,不特定または多数人に虚偽の事実を伝播させることをいうところ,本件では,Aという特定人かつ1人の者に告げたものであるから,「流布」には該当しない旨主張する。確かに,同条の「流布」の意義は所論指摘のとおりであるけれども,特定少数人に対して虚偽の事実を告知した場合であっても,その着から順次その事実が不特定多数人に伝播される可能性があり,そのことを認識している限り,その者の人数の如何を問わず,同条の流布にあたると解すべきであるから,これと見解を異にする所論は採用できない。なお,所論は,このような場合にまで「流布」にあたると認めると,その意義が際限なく拡大され,罪刑法定主義に反すると主張するが,虚偽の事実の告知を受けた特定少数人からの伝播可能性については,単に伝播の抽象的な恐れがあるというのではなく,告知した者と告知を受けた者の関係,告知を受けた者の地位や立場,告知の状況等を総合して具体的にその可能性の有無を判断すべきものであるから,「流布」の意義は限定されているということができ,所論は失当である。
  また,所論は,原判決は被告人が申告した虚偽の事実が警察官Aから他の警察職員に伝わり,それが報道機関に伝播する可能性が存在することを前提にしているが,Aや他の警察職員には法律上守秘義務があり,原則として捜査に関する情報が報道機関に公開されることはないのであるから,およそこのような経路で伝播する可能性は客観的に存在しない旨主張する。確かに,Aや他の警察職員には地方公務員法刑事訴訟法等において守秘義務が課せられていることは所論が指摘するとおりである。しかしながら,警察は,個人の生命,身体及び財産の保護に任じ,犯罪の予防等に当たることをもってその責務としている(警察法2条1項)のであるから,被疑者の犯罪にかかる事実であっても,その犯罪の罪質,態様,結果,社会的影響,公表される事実の内容とその方法等に照らし,これを公表することが職責上許される場合があると解するのが相当である。これを本件についてみると,被告人が申告した事実は,上記のとおり,コンビニエンスストアで購入した紙パック入りオレンジジュースに異物が混入していたというものであるところ,仮にこれが真実であったとするならば,公衆の生命,身体に危険を生じかねない重大事犯で,その犯行態様は不特定の者を無差別に狙ったものである上,被告人の検察官調書によれば,本件当時,飲食物に異物を混入するという被告人が告げた虚偽の内容と同様の事犯が現実に全国各地で多発していたことが認められるのであって,これらの事情に照らすと,Aから被告人の申告内容を伝えられた警察職員が,事件発生の日時,場所,被害者の氏名や被害状況,飲物の内容及びその鑑識結果はもとより,その飲物の購入場所等の情報をも報道機関に公表することは,類似の犯罪の再発を予防し,その被害を未然に防ぐため公衆に注意喚起する措置として許容されるものというべきであるから,所論は採用できない。
  更に,所論は,本件において報道機関の情報入手ルート等に関する証拠がなく,被告人のAに対する虚偽の申告と報道機関からの報道との間の因果関係が明らかでない上,そもそも報道機関は警察の広報機関ではなく,独自の判断で報道しているのであるから,被告人の上記申告と報道機関の発表との因果関係をおよそ認めることはできない旨主張する。しかしながら,司法警察員作成の報告書によって認められる新聞記事の内容と,司法警察員作成の報告書によって認められる警察による報道機関への発表内容に照らすと,上記新聞記事の内容が警察による報道機関への発表内容に基づくものであることは明らかであって,その因果関係を認めることができる。そして,報道機関が警察の広報機関ではなく,独自の判断で報道していることは所論が指摘するとおりであるが,上記のような罪質,態様,本件当時の社会状況等に照らすと,報道機関が警察発表に基づき上記事件を報道することは当然考えられるから,所論が指摘する報道機関の立場をもって,上記因果関係を認めることの妨げにはならないというべきであり,所論は採用できない。

結局、逮捕されない人。

 自首する人の中には、罪状悪質な人もいて、弁護人からみてもショック効果を狙って一晩くらい留置した方がいいような人もいるんですが、「自首してきたから逮捕の必要性がない」と言われて、逮捕されないまま、送検されました。在宅・略式罰金へ。
 もっと軽い人でも逮捕・勾留されてそれなりの社会的制裁を受けているのに、逮捕しなくても隠滅・逃亡の危険がない人までも逮捕されているのに、この落差は埋まらないですかね?先手だったというだけで。

プロバイダも処罰する?

「性、暴力、自殺、売春、麻薬、いじめに関する表現で「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を阻止しないと懲役ですって。
 もう、なんでも来い!

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008030501000782.html
青少年のアクセス防止法案 有害サイトで自民、罰則も
2008年3月5日 19時29分
 18歳未満の青少年による有害サイトへのアクセスを防ぐため、自民党の青少年特別委員会(委員長・高市早苗少子化担当相)が作成した「青少年の有害情報閲覧防止法案」の原案が5日、明らかになった。
 プロバイダー(接続業者)、インターネットカフェ事業者らに、サイト上の有害情報を18歳未満の者が閲覧できなくするような措置を義務化。国などの是正命令に従わない場合には最高で「6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処する」との罰則規定を設けているのが特徴だ。
 ただ、憲法が保障する「表現の自由」との兼ね合いから政府、与党内では有害サイトの法規制に慎重論が根強い。自民党内では原案に関して「『有害情報』の定義があいまいだ」との批判もあり、議員立法にこぎつけられるかは見通せない。
 原案は有害情報について性、暴力、自殺、売春、麻薬、いじめに関する表現で「青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」と定義。
(共同)

 奥村の見解も聞きたくないこと書いているので有害情報かもしれません。早速shugiin.go.jpからアクセスがありました。
 児童ポルノを放置した管理者は公然陳列罪の正犯(懲役5年)です。問題になっている削除義務(作為義務)を法定するのかと思いきや、そこまではしないんですね。ここはもうちょっと議論してほしいところ。児童ポルノについては、陳列状態が違法なのだから、個人でも法人でも、削除を拒めないはず。
 他方、違法でない有害情報(自殺・暴力)について、書き込んだ人は処罰されないのに、削除しなかったプロバイダが削除させられ処罰されたりすることになりますが、これでいいんですか? それとも書き込んだ人も処罰するんですか?

続報

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080306k0000m010162000c.html
法案は「有害情報」について(1)性に関する価値観の形成に著しく悪影響を及ぼす(2)残虐性を著しく助長する(3)犯罪を著しく誘発する(4)薬物乱用など健康を害す行為を著しく誘発する(5)特定の青少年へのいじめに関する情報で著しく心理的外傷を与える恐れがある(6)家出した青少年に非行などを著しく誘発する−−と定義した。
これをもとに、具体的な基準を作成するため内閣府に「青少年健全育成推進委員会」を新設し、ネット上の情報を「選別」する。

 その上で、基準に該当するとみなした情報が書き込まれたサイトの管理者には、閲覧を18歳以上の会員制にするよう義務付ける。インターネットの接続プロバイダーにも、サイト管理者に会員制化を促すよう求める。インターネットカフェには、18歳未満の客にフィルタリングソフト付き端末を利用させるよう義務付ける。

 さらに、総務相は、違反したプロバイダーや携帯電話会社に是正命令を出せると規定。従わない場合は「6月以下の懲役か100万円以下の罰金」とした。ただしサイト管理者は、「個人で運営し、サイトに書き込まれた情報をすべて把握できないケースがある」として罰則の対象から外した。