児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

各委員会所管事項の動向

 162国会からこういう資料があるそうで、衆議院から送ってもらいました。
 「平成17年から被害児童数が急増した。」と思っているらしいですが、児童ポルノの被害児童数が増えたという認識についてですが、たいてい、青少年条例違反か児童買春の際の撮影で、前提となる性犯罪・福祉犯と重複してます(甲野花子さんは、児童買春罪の被害者にもカウントされるし、製造罪の被害者にもカウントされる)から、甲野さん、乙山さん・・・と名前を並べると、頭数はそんなに増えていません。
 逆に、氏名不詳の児童ポルノ(「なんとか援交シリーズ」)の被害児童は全くカウントされていないので、これをカウントすると、被害者数は二桁くらい増えます。
 統計の都合でどうにでもなる数字で、実態は変わっていないのです。
 だから、被害者数が増えたからどうこうするという改正を行うとすれば、間違っています。
 正確には「児童ポルノ・児童買春の被害は深刻であるのに、法定刑を引き上げても、構成要件を密にしても、一向に減らない」ということになると思います。
 なお、法定刑を引き上げても量刑は上がっていません。下限を上げないと効果なし。罰金刑があるということは、立法府としても罰金程度の罪だと認識していることが法文に表示されているということです。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_rchome.nsf/html/rchome/08doukou01.pdf/$File/08doukou01.pdf
第169回国会(常会)における課題等−(平成20年1月)
青少年問題に関する特別委員会
児童ポルノ問題に関する課題
児童ポルノの所持は、児童の権利侵害に密接に関連する行為であり、また、画像情報の電子化により複製が容易になったため、インターネット上で画像が流通し続け、被害の回復が困難となっていることから、単純所持を違法化すべしとの意見がある一方で、違法化することにより、別件逮捕などに利用される、あるいは、結果として個人の内心の自由に踏み込むことになるおそれがあるとの意見もあり、社会的な合意は形成されていない。
また、児童ポルノに関し処罰対象となる行為は実在する児童に関する行為に限られているため、マンガなどのポルノ、児童の顔写真などに別人の裸体をつないで作成されたポルノ、18歳以上の者が児童のふりをした擬似児童ポルノなどは処罰対象とされていないが、これらを野放しにすることは児童を性の対象としてみる風潮を増進するおそれがあるとして、何らかの規制をすべきとの意見がある。しかし一方で、規制対象を拡げることにより、過剰に表現の自由に介入するおそれがあるとして反対する意見もある。
米国国務省が発表した2007年人身売買報告書においては、日本で児童ポルノの購入及び所持が合法であることが、児童ポルノに対する世界的需要の要因になっており、児童ポルノの購入及び所持を刑事罰の対象とする法改正を求めている。

注5 平成16年の法改正で処罰範囲が拡大されたため、平成17年から被害児童数が急増した。