児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑法の性犯罪規定(176条3項、177条3項)で刑法の保護対象外となった16~17歳には、性的行為の自由があるかを検討する際の文献


刑法の性犯罪規定(176条3項、177条3項)で刑法の保護対象外となった16~17歳には、性的行為の自由があるかを検討する際の文献

2 青少年側の性的権利について 24
(1)未成年者の人権享有主体性 24
※佐藤幸司 日本国憲法論 第2版P155 25
(2)青少年側の性的権利について 27
憲法と青少年―未成年者の人権をめぐって2021 28
村西良太「刑罰法規の不明確性と広範性―福岡県青少年保護育成条例事件―」『憲法判例百選Ⅱ 第7 版』(別冊Jurist No.246)有斐閣, 2019, pp.240-241 29
(3) 現行刑法は、青少年側の決定権を重視して、13~16歳に対する性的行為を明文で許容したこと(5歳差ルール) 29
※【逐条説明】刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案 31
※ 梶検事の説明 32
※城祐一郎元検事も「対等性」を理由とする。 33
(4) 幸福追求権(13条)侵害 35
①文献 35
ア 最高裁判例解説s60 35
イ 安部哲夫「青少年の性的保護と刑事規制の限界「青少年保護育成条例」を中心に 37
ウ 米沢広一 子ども,親,政府--アメリカの憲法理論を素材として神戸学院法学15巻3号 39
オ 横田耕一:九州大学教授 ジュリスト853号 44頁 1986年2月1日発行 特集・青少年保護育成条例大法廷判決 青少年に対する淫行の条例による規制と憲法 42
カ 福岡 久美子「青少年保護条例による性的自由の制限」 44
キ 羽渕雅裕「親密な人間関係と憲法」 45
ク 竹中勲:京都産業大学教授法学教室176号 49頁 1995年5月1日発行 重点講座【現代人権展望】〔2〕親密な人的結合の自由(Ⅰ 自由と自己決定) 46
②裁判例では青少年側の性的行為の自由への言及はない 48
名古屋高裁s53.10.25*1 48
福岡高裁s55.10.30*2 48
(5) 家族生活における個人の尊厳と両性の平等(24条)侵害 48
①家族生活における個人の尊厳と両性の平等(24条) 48
松井茂記日本国憲法 第3 版』有斐閣, 2007, pp.549-550 48
(6)青少年のリプロダクティブ・ヘルス / ライツ(子どもの権利条約34条) 51
(7)青少年の性的自己決定権の限界 51
辻村みよ子 憲法第7版p107 52
佐藤幸治 人権の観念と主体 52

高裁判決が出ています。

阪高裁R05.12.26
第5法令適用の誤りの控訴趣意(主任弁護人奥村徹)に対する判断
1所論は、(1)本件条例は、17歳の青少年及びその相手方の性的自己決定権の侵害であり憲法13条及び24条に違反し、違憲無効である、(2)本件条例は、子どもの権利条約34条に違反し無効である、又はその適用は同条約に違反する、(3)本件条例59条は、「39条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として52条の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」と規定しており、行為者に相手方の年齢確認義務を課するものであるが、同規定は、児童買春罪については年齢確認義務がないことに照らすと、憲法94条の法律の範囲内の条例制定権を逸脱した違憲無効な条例であるのに、有罪を言い渡した原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある旨主張する。
2しかし、(1)本件条例は、青少年の健全な育成のため、その健全な成長を阻害す庁る行為から青少年を保護することを目的とするものであって、18歳未満の青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として性的行為を行うことを禁止する本件条例52条の規定及びその適用は、青少年及びその相手方の自己決定権を何ら侵害するものではない。
(2)子どもの権利条約違反をいう点についても同様である。