児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

わいせつ目的で誘拐した児童につき「就寝中のAの胸部が露出した姿態を被告人が使用する撮影機能付携帯電話機で撮影し」た行為を、ひそかに製造罪とし、誘拐罪と併合罪とした事例(横浜地裁r5.3.20)

 自ら乳房露出していない限りは、ひそかに製造罪ではなく姿態をとらせて製造罪です。
 撮影はわいせつ行為なので、わいせつ誘拐罪とは牽連犯ですよね。
 


横浜地裁令和 5年 3月20日
事件名 わいせつ誘拐(変更後の訴因 わいせつ誘拐、神奈川県青少年保護育成条例違反)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
文献番号 2023WLJPCA03206013
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は
 第1 ソーシャルネットワーキングサービスであるツイッターを介して知り合ったA(当時15歳)が家出願望を有することに乗じて、わいせつな行為をする目的で、同人を誘拐しようと考え、令和4年7月28日午後0時54分頃から同月29日午前10時17分頃までの間、神奈川県内又はその周辺において、自己の携帯電話機を使用し、前記ツイッターのダイレクトメッセージ機能を利用して、Aに対し、「こんにちは 同じ横浜です」「今日は決まった?」「おいで ぎゅ~」「制服家出?不味くね」「着替ひっす」「可愛い」「傷、愛してやる」等のメッセージを送信し、同人に自己の下に来るように誘惑し、Aにその旨決意させ、同日午前10時23分頃、横浜市内のドラッグストアにおいて、同人と合流した上、同人を被告人方に連れ込み、その頃から同年8月12日午後2時52分頃までの間、Aを同所に寝泊まりさせるなどして自己の支配下に置き、もってわいせつの目的でAを誘拐した上、同月5日頃、被告人方において、Aが満18歳に達しない青少年であることを知りながら、同人の陰部を舐め、その陰部に自己の陰茎を直接押し付け、さらに、Aに自己の陰茎を口淫させるなどし、もって青少年に対し、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゅう恥けん悪の情を起こさせるわいせつな行為をした
 第2 A(当時15歳)が18歳に満たない児童であることを知りながら、同月9日午後10時6分頃から同月10日午後6時53分頃までの間に、被告人方において、ひそかに、就寝中のAの胸部が露出した姿態を被告人が使用する撮影機能付携帯電話機で撮影し、その画像データ3点を同携帯電話機の内蔵記録装置に記録して保存し、もってひそかに衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した電磁的記録に係る記録媒体である児童ポルノを製造した
 
(法令の適用)
 罰条
 判示第1の行為
 わいせつ誘拐の点 刑法225条
 青少年に対するわいせつ行為の点 神奈川県青少年保護育成条例53条1項、31条1項
 判示第2の行為 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条5項、2項、2条3項3号
 科刑上一罪の処理(判示第1につき) 刑法54条1項後段、10条(わいせつ誘拐と青少年に対するわいせつ行為との間には手段結果の関係があるので、1罪として重いわいせつ誘拐罪の刑で処断)
 刑種の選択(判示第2の罪) 懲役刑を選択
 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(重い判示第1の罪の刑に同法47条ただし書の制限内で法定の加重)
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書