児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

派遣型リフレで年齢確認を尽くさず児童を雇用した場合

 まあ、児童が持ってくる証明書は偽造される可能性があるとされています。

警視庁によりますと少女は採用の際に未成年であることから生まれた年を改ざんした保険証のコピーを身分証として持参していたということです
女子高校生に"裏オプ"させたか リフレ店経営者ら逮捕「未成年なことは知らなかった」 少女は"推し活"のため…4カ月で200万円超稼ぐ(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース


使用関係にある場合は「被告人において同女が十八才未満の児童であることを知らなかつたとしても、児童を使用する者は、自ら戸籍謄抄本、住民登録又は米穀配給通帳等の公信力ある書面の参照その他通常可能な調査方法によつて児童の年齢を確認するべき注意義務を負うているにかかわらず、前記の証拠により、被告人が仲介者のの言明を軽信して何らの調査をしなかつたことが明らかであるから、被告人は右児童の年齢を知らなかつたことについて過失がある」とされていて、無過失の主張は無理です。


児童福祉法第六十条 
①第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、十年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
④ 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前三項の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。

裁判年月日 平成 7年 5月31日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 平7(う)219号
事件名 児童福祉法違反被告事件
上訴等 上告〈上告棄却〉 文献番号 1995WLJPCA05310009
 ところで、児童福祉法六〇条三項の「児童を使用する者」とは、当該児童との間に継続的な雇用関係ないし身分関係にある者に限られず、広く当該児童との間に、社会通念上その年齢確認を義務づけることが相当として是認されるだけの継続的な支配従属関係があると認められる者、いいかえると、その者が当該児童に心理的ないし経済的な影響を及ぼすことにより当該児童の意思決定を左右しうる立場にあると認められるような関係を有する者も含まれると解すべきである。

裁判年月日 昭和40年 1月19日 裁判所名 東京高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭39(う)182号
事件名 児童福祉法違反被告事件
文献番号 1965WLJPCA01190010

 所論は、原判決が被告人を児童福祉法第六〇条第三項にいう「児童を使用する者」に該らないと判断したのは、同条項の解釈、適用を誤つたものである、というのである。
 よつて按ずるに、児童福祉法第六〇条第三項が、児童を使用する者は児童の年令を知らなかつたことを理由として、同条第一、二項の規定による処罰を免れることができない旨定めているのは、児童を使用する者には、特に児童の年令を知るべき義務を課し、この義務に違背して児童に同法第三四条所定の禁止行為をさせた場合には児童の年令不知を免責事由として認めない趣旨と解しなければならない。そして、法が使用者にこのような義務と責任を課したのは、その者が児童と密接な社会的関係にあつて当該児童の健全なる育成を担うに相応しい地位を有するからにほかならない。従つて前記条項にいわゆる「児童を使用する者」とは、これを必らずしも児童と継続的雇傭関係にある者のみに限定すべきではないけれども、少なくとも、児童に前記法禁行為をさせぬよう特にその年令の確認を義務づけることが社会通念上相当と認められる程度の密接な結びつきを当該児童との間に有する者に限定すべきであつて、所論のように、これを広く「児童の行為を利用し得る地位にある者」一般、殊に児童との社会的関係が比較的薄い者にまで拡張することは相当でない。

裁判年月日 昭和31年 2月21日 裁判所名 大阪高裁 裁判区分 判決
事件番号 昭30(う)1339号
事件名 児童福祉法違反被告事件
文献番号 1956WLJPCA02210009
 児童福祉法第六十条第三項は、児童と特別の身分関係ある者に児童の年齢を知るべき義務を負わせる趣旨であるから、同項にいわゆる「児童を使用する者」というのは、児童と雇傭契約関係にある者に限らず、児童との身分的若しくは組織的関連において児童の行為を利用し得る地位にある者を指称すると解するべきである。しかして、被告人と本件児童との関係は、前記の証拠により、被告人が児童との間の身分的組織的関係において児童の行為を利用し得る地位にあつたと認めるべきであるから、被告人は同項にいわゆる児童を使用する者に当るのである。そして、所論のように、被告人において同女が十八才未満の児童であることを知らなかつたとしても、児童を使用する者は、自ら戸籍謄抄本、住民登録又は米穀配給通帳等の公信力ある書面の参照その他通常可能な調査方法によつて児童の年齢を確認するべき注意義務を負うているにかかわらず、前記の証拠により、被告人が仲介者津本きりのの言明を軽信して何らの調査をしなかつたことが明らかであるから、被告人は右児童の年齢を知らなかつたことについて過失があると言わなければならない。原判決が被告人に対し児童福祉法第三十四条第一項第六号、第六十条第一項、第三項を適用処断したのは正当であつて、記録を精査しても原判決には所論のような違法はないから、論旨は理由がない。
 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条により主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 松本圭三 判事 山崎薫 判事 辻彦一)

「JKリフレ」経営者逮捕 女子高生に淫行させた疑い
2023.07.07 共同通信
 少年育成課によると、2人は「17歳だとは知らなかった」と容疑を一部否認している。店は派遣型の「美少女派遣リフレ」。女子高校生はメンズ地下アイドルを応援する費用を稼ぐため、昨年10月~今年2月に100回以上、「裏オプション」と呼ばれる性的サービスを行い、200万円以上を得たと説明している。女子高校生は19歳だと偽って採用されたが、店は身分証の原本を確認していなかった。
 2人の逮捕容疑は共謀して18歳未満の女子高校生を雇い、1~2月に渋谷区の住宅やホテルで男性客に引き合わせ、わいせつな行為をさせた疑い。