児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

パチンコの「打ち子」は「児童の心身に有害な影響を与える」

か?
 パチンコ屋には18歳未満立入禁止ですから、有害なんでしょうな。

児童福祉法
第三十四条  何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
九  児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

判例を紹介しておきます。

最高裁判昭和59年11月30日
 なお、満一八歳に満たない児童を、裸体の女性の下腹部を露骨に強調して撮影した写真多数を掲載した写真集(いわゆるビニール本)の販売店で店員としてその販売に従事させることは、児童福祉法三四条一項九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる」ことにあたり、この場合、必ずしも右写真集が刑法上のわいせつ物であることを要するものではないと解するのが相当であるから、これと同旨の原判断は正当である。

福岡高等裁判所判決平成4年3月23日
二 被告人には、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的がなかったとの主張について
 弁護人の所論は、要するに、被告人は、被害児童に対し、ダイヤルQ2の電話の応対の仕事上で、異性交遊や売春につながりかねない行為を禁止するとともに、いかがわしい会話等には自分の意思で電話を切ってもよいと説明していたのであるから、被告人には、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的がなかった、というのである。
 そこで検討するに、児童福祉法三四条一項九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為」とは、社会通念上、児童の健全な育成を積極的に害することが客観的に明らかな行為をいい、当該行為の有害性が客観的に認められる限り、被害児童を支配下に置いている者が、その有害性を主観的に認識している必要はないと解すべきところ、被告人は、いわゆるテレホンセックスや売春の申し込みの電話を受けうることを十分に認識していなから、本件業務に従事させていたのであり、右のような行為が社会通念上、児童の心身に有害な影響を
与えるものであることは明らかである。

大阪高等裁判所判決昭和54年7月18日
  論旨は、要するに、児童福祉法三四条一項は、児童保護のための禁止行為を列挙した規定であるから、右条項の九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる」行為は、右条項の一号ないし八号に列挙された禁止行為と同質のものでなければならないと解すべきところ、原判示児童Cに照明係の業務を、原判示児童A及びBにウエイトレスの業務をそれぞれさせることは、右条項の一号ないし八号に列挙された禁止行為と明らかに異質であつて、右条項の九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる」場合に該当
しないのに、原判決はこれに反する判断をしているがら、原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令解釈の誤りがある、というのである。
 そこで、検討するのに、児童福祉法三四条一項の一号ないし九号は、児童の福祉を著しく阻害する行為を児童保護のための禁止行為として規定したものと解すべきであるから、右条項の九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる」ことも、右条項の一号ないし八号の禁止行為と異質のものではないことは所論のとおりであるところ、関係証拠に基づき原判示各児童の業務の実態を検討してみるのに、原判示児童Cは、原判示のような各シヨーが実演される間、照明係として右各シヨーを見ざるを得ない業務に従事していたもの
であり、原判示児童A及びBは、原判示ゴーゴーシヨーが実演される間、右シヨーが目に入る客席で来客に対する酒食の提供や接待などの業務に従事し、その際、客から乳房や臀部等に触られたりしていたものと認められるから、右各児童が右各業務に従事することは、精神面、情操面の発育未成熟な右各児童の心身に有害な影響を与える行為といわざるを得ず、従つて、右各児童を右各業務に従事させることは、右条項の一号ないし八号の禁止行為と異質のものではなく、右条項の九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる」場合に該当するものといわなければならないから、これと同旨の判断をした原判決には所論のよう方法令解釈の誤りは存しない。本論旨も理由がない。

最高裁判所 昭和42年12月2日
【判決要旨】
1、トルコ風呂経営者と児童であるいわゆるミストルコとの間の雇傭契約が、その児童の親権者の同意を得ていないものである場合、当該雇傭関係は、児童福祉法第34条第1項第9号にいう「正当な雇用関係」にあたらない。
2、トルコ風呂経営者である被告人らと児童であるミストルコらとの関係の実態につき、出勤時間が定められ、無断欠勤、遅刻に対しては一定の制裁金が科せられていたこと、週に1、2回点呼があり、被告人らから客に対する態度等について注意がなされていたこと、出勤中自由な外出が認められていなかつたこと等の事実が認められ、被告人らのミストルコに対する使用関係が指導、監督につき相当強力な措置を含むものであつたとみられる場合(原判文参照)には、被告人らに前記条項第9号にいう児童を「自己の支配下に置く行為」があつたものと認めるのが相当である。
3、満18歳に満たない児童が、トルコ風呂のミストルコとして、順番又は客の指名により入浴客に個々につき、個室内において水着姿で客の身体を洗いマッサージをするなど(原判文参照)の行為は、前記条項第9号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為」にあたる。

東京高等裁判所判決 昭和42年6月15日
 所論は、芸妓として酒席に侍する行為は児童福祉法第三四条第一項第五号の規定により満一五歳に満たない児童を対象とする場合のみに禁止せられているのであるから、本件のように満一五歳以上に対するものは右条項に適合しない
のは勿論、同条同項第九号の関知するところではないと主張する。然しながら右条項第五号と第九号とはそれそれその犯罪の構成要件を異にし、殊に同条項第一号から第六号までが児童に対し特定の行為をさせる行為を処罰しているのに対し、同条項第九号は児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて自己の支配下に置く行為を処罰しているのであるから、第一号から第六号までと同種の行為でありかつ罪とならない行為はすべて右九号の有害行為から除かれるものとする所論にはたやすく左祖し得ないところである。そして原判決にいう芸妓の実体を記録について見るのに、いずれも遊客の間に在つて遊芸をなし、また酒席を取り持ち、その間淫猥の言動に接することのあるのは勿論、時として売淫行為に及ぶことすら稀らしくない事情(ただし長○川につい
ては売淫の事実は認められない。)が認められるから、かかる行為が児童の心身に有害な影響を与える行為であることは論を俟たないところであつて、かかる行為をさせる目的で前述のように右児童等を自己の支配下に置いた被告人の行為は、所定の除外事由の認められない本件においては、同条項第九号に該当するものであつて、これと同趣旨に出でた原判決には何等所論のような理由不備もなければ理由のくいちがいもなく、また法の適用を誤つた不法もないから、所論は採用できない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110414-OYT8T00471.htm
3容疑者を児童福祉法違反(有害目的支配)容疑で逮捕した。
 発表によると、3人は共謀し、昨年8〜11月、アルバイトとして雇った同市栄区に住む高校2年の男子生徒(17)を県内や都内などのパチンコ店8店に計21回行かせて、スロット機で遊ばせた疑い。
容疑者らは16〜17歳の少年17人を含む約60人をアルバイトとして雇い、投資金5万円を渡して、店とスロット機を指定した上で遊ばせ、投資金と勝った分の金を回収。報酬として1日約7000円を支払っていたという。男子生徒は県警の事情聴取に、「指定された台では8割ほどの確率で勝てた」と話しており、同課は3人がどのように選んでいたのかも調べる。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1104140002/
同課によると、容疑者が中心となっているパチスロ打ち子グループは総勢約60人で、うち17歳以下は17人いたという。
 逮捕容疑は、3容疑者は共謀し、昨年8月11日から同年11月2日までの間、同市栄区在住の私立高校2年の男子生徒(17)をアルバイトとして雇い、計21回にわたってパチスロを遊技させた、としている。
 調べに対し、3容疑者はおおむね容疑を認めているという。
 都内や県内の8店舗に打ち子を派遣。男子生徒は朝9時の開店から午後9時半ごろまで遊技し、回転数に応じて報酬を受け取っていたという。