児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

陰部画像を撮影送信させるための脅迫行為を強要未遂とした事例(山形地裁R03.5.12)

 強制わいせつ罪説からは、強制わいせつ未遂になる筈ですよね。未遂だとわいせつ行為が認定しにくいんですよね。

山形地方裁判所令和03年05月12日
わいせつ誘拐(変更後の罪名わいせつ略取誘拐)、強制性交等未遂、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強要未遂被告事件
第2 ●●●(当時13歳。以下「B」という。)が18歳に満たない児童であることを知りながら、同年8月5日午後零時2分頃から同日午後零時33分頃までの間、●●●のB方において、Bにその陰部、肛門及び乳房を露出させた姿態をとらせ、これをBが使用する携帯電話機で静止画像として撮影させた上、その頃、同画像データ4点を同携帯電話機からアプリケーションソフト「D」を使用して被告人が使用する携帯電話機に送信させ、その頃、宮城県内において、同画像データ4点を同携帯電話機で受信して同携帯電話機の内蔵記録装置に記録させて保存し、もって衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により電磁的記録に係る記録媒体に描写した児童ポルノを製造した。

第3 第2記載の画像データ等を所持していることを利用して、Bに新たに陰部等が撮影された画像データを自己の携帯電話機に送信させようと考え、同日午後零時34分頃から同月14日午後3時3分頃までの間、宮城県内又はその周辺において、Bに対し、自己の携帯電話機から前記「D」を使用して、Bが利用する携帯電話機に「まんこもっと見たいです」、「のせてい?」、「いんたーねっつ」、「えーじゃもうのせちゃうね?」、「顔つきならいいよ」、「反応ないなら載せるね」、「番号付きで載せるね」、「広めるね」などのメッセージを送信して新たな画像データの送付を要求し、その頃、Bにこれらを閲覧させ、その要求に応じなければ被告人が所持する前記第2記載の画像データ等をインターネット上に拡散するなどしてBの名誉に対し害を加えかねない旨告知してBを脅迫し、Bに義務のないことを行わせようとしたが、Bがその要求に応じなかったため、その目的を遂げなかった。


(法令の適用)
1 構成要件及び法定刑を示す規定
  被告人の第1の行為のうち、わいせつ略取誘拐の点は刑法225条に、強制性交等未遂の点は刑法180条、177条前段に、第2の行為は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律7条4項、2項、2条3項3号に、第3の行為は刑法223条3項、1項にそれぞれ該当する。
2 科刑上の一罪の処理
  第1のわいせつ略取誘拐と強制性交等未遂との間には手段結果の関係があるので、刑法54条1項後段、10条により1罪として重い強制性交等未遂罪の刑で処断する。
3 刑種の選択
  第2の罪について懲役刑を選択する。
4 法律上の減軽
  第1の罪は未遂であるから刑法43条本文、68条3号を適用して法律上の減軽をする。
5 併合罪の処理
  刑法45条前段の併合罪であるから、刑法47条本文、10条により最も重い第1の罪の刑に法定の加重をする。
6 宣告刑の決定
  以上の刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処する。
7 刑の執行猶予
  情状により刑法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
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