「軽く」というのが「わいせつ行為」かどうかも問題ですが争われていません。
横浜地方裁判所
平成16年10月25日
7 以上によれば、被告人が判示のわいせつ行為をしたことは優に認められる(なお、被告人がパソコン区画内で本件生徒の胸をもんだといいうるかは疑問が残るけれども、被告人が本件生徒の胸をなでたことは優に認められる。)。弁護人の主張は採用しない。
(法令の適用)
1 罰条 神奈川県青少年保護育成条例30条1項、19条1項
2 刑種の選択 懲役刑
3 未決勾留日数の算入 刑法21条
4 訴訟費用の負担 刑事訴訟法181条1項本文
(量刑の理由)
本件は、中学校の個別支援学級の教師である被告人が被害者である本件生徒に対してわいせつ行為を行ったという事案である。
被告人は13歳で、知能の発達レベルが小学生低学年程度の未熟な少女である被害者の知慮浅薄、知的障害に乗じ、かつ教師という立場を利用し、授業時間中に周囲に他の生徒の存在する教育の場である教室内において、自己の欲望の赴くままに本件犯行に及んだのであり、大胆、卑劣かつ悪質な犯行であり、被害者の供述によれば本件犯行の常習性も肯定せざるを得ないほか、本件犯行の結果個別支援学級の教師一般に対する社会的信頼を損ねたという社会的影響も小さくない。被害者は本件被害により被告人に対して寄せていた多大な信頼を裏切られ、大きな精神的苦痛を被ったものであり、その精神的成長に伴いその苦痛がさらに増すことも懸念され、被害者の保護者の受けた衝撃も大きい。しかるに、被告人は捜査段階から一貫して事実を否認し、被害者は大嘘つきだと述べるなどして不合理な弁解に終始しているのであって、反省は見られず、被害者に対する謝罪その他慰謝の措置は全く講じられておらず、そのため当然のことながら、被害者及びその保護者は被告人の厳重処罰を求めている。以上によれば被告人の刑事責任はこの罪名のものとしては重い。
そうすると、被告人に前科がないこと、被告人が特殊学級及び個別支援学級の教師として多くの障害を持つ生徒のための指導を行ってきたこと、また近所の障害を持つ児童生徒らに対しても献身的な世話をして、その親らに感謝されてきたこと、被告人に妻子があることなどの被告人のために酌むべき事情を最大限考慮しても、被告人に対しては主文の刑をもって臨むのが相当である。
よって、主文のとおり判決する。
(求刑−懲役1年6月)
第5刑事部3係
(裁判官 衣笠和彦)