強姦既遂1罪の量刑相場はほぼ実刑で、現行法では親告罪なので、捜査弁護としては「示談して告訴取下を狙う」ということになるでしょう。
しかし、正直に言えば、示談するかどうかは被害者の意向によるので、とんとん拍子に「強姦罪に強い弁護士に依頼→示談成立→不起訴」とは進むとは限りません。
統計上も告訴取消による不起訴はたくさんありますが、上手くいかなかった方が多くなっています。「強姦罪に強い弁護士に依頼→示談不成立→起訴→実刑」ということもありえます。
インフォームドコンセントとしては、そこまで説明するのが理想でしょう。
検察統計年報
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001137864
14-00-08 罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員
親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・ 取消し"
強制わいせつ罪 980件/送致件数3385件
強姦罪 205件/送致件数879件
でも、「統計上も告訴取消による不起訴はたくさんありますが、上手くいかなかった方が多くなっています。「強姦罪に強い弁護士に依頼→示談不成立→起訴→実刑」ということもあります。」なんていう弁護士よりも、「強姦罪に強い弁護士に依頼→示談成立→不起訴」という弁護士が選ばれがちで、そういうと広告になりませんので、広告効果を高めるためには「強姦罪に強い弁護士に依頼→示談成立→不起訴」を強調することになるのだろうと思います。素人にわかりやすくということで単純化して。
そういう趣旨の弁護士広告のガイドラインがあります。
弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針
(平成22年11月17日理事会議決)
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/jfba_info/rules/data/kaiki_gyoumukoukoku_unnyoushishin.pdf
(3) 誇大又は過度な期待を抱かせる広告(第3号)
例1 当事務所ではどんな事件でも解決してみせます。
例2 たちどころに解決します
・・・・
(11) 専門分野と得意分野の表示
ア 専門分野は,弁護士情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。
しかし,現状では,何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。
弁護士として一般に専門分野といえるためには,特定の分野を中心的に取り扱い,経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解される。ところが,専門性判断の客観性が何ら担保されないまま,その判断を個々の弁護士にゆだねるとすれば,経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる。
したがって,客観性が担保されないまま「専門家」,「専門分野」の表示を許すことは,誤導のおそれがあり,国民の利益を害し,ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから,現状ではその表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用も同様である。
http://news.biglobe.ne.jp/trend/1218/nlb_151218_6922268141.html
また、この漫画には最初の「強姦事件」の部分を「脅迫事件」や「暴行事件」など別の事例に変えた、いわゆる「使い回し」が数多く存在します。サイトの訪問者に合わせて、セリフを差し替えた漫画を機械的に多数作成しているようです。
現在の時点で削除されたのは強姦事件のものだけであり、他の事例の漫画は削除されていません。
http://news.livedoor.com/article/detail/10966674/
律事務所のサイトに、「事故トラブル」や「傷害事件」の解決方法を説明したマンガが掲載されており、それぞれ事件を起こした主人公が思い悩むが弁護士が解決してくれるというもの。
「交通事故を起こして警察に呼び出されてしまった…」
「傷害事件を起こして警察に呼び出されてしまった…」
といったように、最初の方のセリフが変更されただけで使い回されているものなのだが、その中に
「強姦事件を起こして警察に呼び出されてしまった…」
というものも。
交通事故のケースと同じような展開で、無事解決しても主人公が反省する様子もなく
「よおし! 今夜は久々に一杯やるか」
というセリフで終わるという、なんとも気持ちの悪いマンガとなっており批判が殺到。
http://wotopi.jp/archives/31798
強姦加害者に反省の色がない」と炎上
全4ページのマンガは、強姦事件を起こして被害届を提出された会社員の男性が、「前科がついたら会社はクビ!?」「家庭崩壊!?」と苦悩し、弁護士が助けを申し出るところからスタートする。弁護士は、「刑事事件は対応によっては半分以上が不起訴になり前科はつかない」「しかし事件が起訴されてしまうと有罪になる確率はほぼ100%」と伝え、穏便に解決するには不起訴になることが一番だと主張。被害者との示談で、被害届を取り下げてもらおうと提案する。
その後は弁護士が働き、男性は不起訴となる。「助かりました…」と安堵する男性に、弁護士は「事件が無事に解決したのはあなたの素早い判断のおかげです。次からは気をつけてくださいね」と笑いかける。男性は強姦事件が誰にもバレずに済んだことで「よおし! 今晩は久々に一杯やるか!」喜びの笑みを浮かべるというストーリーだ(参照:「漫画でわかる!強姦事件解決までの流れ」)。
作内にて、男性は一度も反省するそぶりを見せず、罪を償う意識は全く感じられない。一方の弁護士も終始にこやかだ。明るいタッチで描かれているこのマンガに、「とんでもない内容だ」とネットユーザーから非難が殺到。 「胸糞が悪い」「道徳的にアウト」といったコメントが見られる。
http://getnews.jp/archives/1308880
強姦事件を起こして警察に呼び出された主人公、「仕事がクビ」「家庭崩壊」「新聞やネットに載ること」などを心配し思い悩むが、弁護士が現れ
「被害者の方と示談をして被害届を取り下げてもらいましょう!」
と提案、示談がまとまり不起訴となり誰にもバレることなく主人公が
「よおし! 今夜は久々に一杯やるか」
と微笑んで終了というもの。全く同じ絵で、セリフを入れ替えただけの
漫画でわかる!事故トラブル解決までの流れ
http://www.jikobengo.com/manga1.html[リンク]
漫画でわかる!傷害事件解決までの流れ
http://www.shougaibengo.com/manga1.html[リンク]
というのがあり、交通事故のそれであれば特に話題ともならなかったのではと思われるが、傷害事件そして強姦事件がすべて同じように「めでたしめでたし」といった感じで特に主人公が反省するそぶりもなくハッピーエンドっぽく終わる“ほのぼのサイコ”なマンガとなっている。インパクトは大だったと思われネット上でかなり批判が集まっているようである。
中には胸糞が悪くなる方もいるかと思うが、興味のある方はお読みになってみてはいかがだろうか。