問題になるのは、所持罪です。
キャッシュについては、閲覧可能であれば、児童ポルノの所持と言うしかなく、「所持罪の故意否認」「自己の性的好奇心を満たす目的の否認」という弁解で対応するしかありません。
江口寛章ら「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部改正」警察学論集第67巻第10号
・「所持」及び「保管」の意味如何。
(1) 「所持」及び「保管」の意義について
? 児童ポルノの「所持」とは、有体物(写真、DVD・ハードデイスク(記録媒体)など)である児童ポルノを、自己の事実上の支配下に置くことをいう。
? これに対し、電磁的記録の「保管」とは、電磁的記録を自己の実力支配内に置いておくことをいう。
具体的には、当該電磁的記録をコンビュータのレンタル・サーバに保存したり、自己が自由にダウンロードすることができるリモート(プロパイダのメールボックスに入れられたメールを閲覧できる機能)の記録媒体に保存する行為がこれに当たる(これに対し、自己の所持するパソコンのハードディスクに保存している場合は、ハードディスク(有体物)の所持罪に該当する。)。
(2)故意について
?所持罪が成立するためには、児童ポルノであることを認識し、かつ、所持について認容している必要がある。
? メールで児童ポルノを送り付けられた場合や、パソコンがウイルスに感染し勝手に児童ポルノをダウンロードしてしまった場合でも、そのことを知らない場合は、所持罪は成立しない。
所持罪・保管罪は7条1項であって、3条の2には罰則がありません。
http://www.bengo4.com/internet/1077/b_357373/?k=e31fe&via=twitter
Q 2015年06月09日 00時26分
児童ポルノを閲覧したあとのキャッシュの問題。
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K弁護士の回答2015年06月09日 01時09
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
第3条の2 何人も・・・(略)・・・第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管・・・(略)・・・してはならない。**********
ご相談の状況についてはは、おそらく「電磁的記録を保管」することの概念が問題になるかと思います。
児童ポルノに該当するWebコンテンツ(画像や映像など)をたまたま閲覧してしまっただけで(キャッシュ=一時保存領域へのデータ蓄積を含めて)、「電磁的記録の保管」に該当するのでしょうか。もし該当する=犯罪になるとすれば、実際にデータを再生して閲覧するまでどのような情報が記録されているかわからないというインターネット通信の特性から考えると、著しく不都合が生じますし、およそインターネットを安心して利用することができなくなってしまいます。
「電磁的記録の保管」とは、(児童ポルノが記録された)ビデオテープはもとより、DVDやハードディスク等のデジタル記録媒体を一定期間ずっと保持している状態を想定した立法したものだ思います。そうであれば、たまたまWebサイトを閲覧しても、それが一過性のものであれば、閲覧しただけでは(キャッシュに残っていたとしても)違法ではない(逮捕されない)と考えます。
この場合には、児童ポルノの電磁的記録をサーバーに保管し、公衆に提供した人が罰せられるのはもちろん、いわゆる「拡散」を防ぐという意味では、そのデータをダウンロードして保管している人だけ罰すれば十分で、たまたま見てしまった人までは罰する必要がないと考えられます。
ここのあたりの法解釈はまだこれから議論かあると思われます。
一つの解釈としてご参考までに。