児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

元院長、児童買春の疑いで逮捕

  6/25 本件児童買春行為
  7/18 前刑児童買春行為
  9/26 前刑逮捕
  12/? 前刑判決
  1/18 本件逮捕
という事実関係で、前刑の犯行よりも前の犯行のようです。前の捜査で白状していれば、余罪については自首となる可能性もあったし、本件逮捕もなかった。

http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY200701180218.html
 少女とは携帯電話の出会い系サイトを通じ知り合ったという。容疑者は昨年9月に同法違反容疑で警視庁に逮捕され、有罪判決を受けている。

 ただし、こういうときは、執行猶予は付きやすいですね。付くというわけではありませんが。

最高裁判所大法廷判決昭和28年6月10日
 被告人は昭和二四年五月二四日東京地方裁判所で賍物故買により懲役一〇月(三年間執行猶予)及び罰金一万円に処せられ右判決は確定した。被告人の本件賍物故買は前記確定判決よりも前である昭和二三年一一月四、五日頃に犯したものであることは第一審判決の確定したところであるから、この二つの罪は刑法四五条後段の併合罪の関係に立つこと明である。かような併合罪である数罪が前後して起訴されて裁判されるために、前の判決では刑の執行猶予が言渡されていて而して後の裁判において同じく犯人に刑の執行を猶予すべき情状があるにもかかわらず、後の判決では法律上絶対に刑の執行猶予を付することができないという解釈に従うものとすれば、この二つの罪が同時に審判されていたならば一括して執行猶予が言渡されたであろう場合に比し著しく均衡を失し結局執行猶予の制度の本旨に副わないことになるものと言わなければならない。それ故かかる不合理な結果を生ずる場合に限り刑法二五条一号の「刑ニ処セラレタル」とは実刑を言渡された場合を指すものと解するを相当とする。従て本件のように或罪の判決確定前に犯してそれと併合罪の関係に立つ罪についても犯人の情状次第によつてはその刑の執行を猶予することができるものと解すべきである。それ故かかる場合においては刑法二六条二号にいう「刑ニ処セラレタル」という文句も右と同様に解し後の裁判において刑の執行猶予が言渡された場合には、前の裁判で言渡された刑の執行猶予は取消されることがないものと解するのが相当であると言わなければならない

続報

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070118-00000118-mai-soci
容疑者は都内で同様に少女を買春したとして、東京地裁で昨年12月、同法違反の罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けている。同クリニックは全国15カ所で開業している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070118-00000118-mai-soci
容疑者は都内で同様に少女を買春したとして、東京地裁で昨年12月、同法違反の罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けている。同クリニックは全国15カ所で開業している。

45条後段が適用された事例。猶予なったり、ならなかったりで緊張しますね。
 余罪が同時処理された場合の量刑を調べて、全件について情状弁護を尽くして、再犯防止もやって・・・ということで弁護人はご苦労様です。

家裁H15
懲役1年執行猶予3年
児童淫行罪+児童買春周旋
確定判決:児童買春罪+青少年条例 懲役1年猶予3年

家裁H17
10月執行猶予3年
児童福祉法違反(有害支配)
確定判決:詐欺罪 懲役2年猶予3年 

家裁H16
懲役10月実刑
児童福祉法違反(淫行させる行為)
確定判決:偽造罪 懲役1年猶予3年

 なお、余罪と量刑という難しい問題がある。
 前刑の事件の量刑で本件が考慮されていれば、実質的に二重処罰になる。