児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

いわゆる「出会い喫茶」において男性客に児童を会わせる行為につき,買春に応じるか否かは児童の自由な意思にかかっていたことなどを理由に,児童福祉法34条1項7号違反の罪は成立せず,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律5条1項の児童買春周旋罪が成立すると判示した事例東京高判平24.1 .30 公刊物未登載(警察公論2012年07号)

 静岡地裁で見てきます。
 法定刑懲役3年の罪が不服だと控訴したら、3年の罪は成立しないことになって、法定刑5年の刑にされた

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
第5条(児童買春周旋)
1児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

児童福祉法
第34条〔禁止行為〕
1何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
七 前各号に掲げる行為をするおそれのある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなすおそれのある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされるおそれがあるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
第60条
2第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

2事案の概要,
本件の舞台となった出会い喫茶「Aカフェ」の営業システムは,以下のようなものであった。
男性客は, Aカフェへの登録時に入会金として店に5,000円支払う必要があるほか,店に来るたびに支払う入場料が60分1,000円,女性客と10分間話すことができるトーク料1,000円,話がまとまり女性客と一緒に外出する際には外出料3,000円を支払うことになっていた。一方,女性客は,登録時に,「店の広告が記載された雑誌を見た」などと言うだけで,店から1.000円をもらえることになっており,その後も,女性客から店に支払わなければならない金銭は一切なかった。
Aカフェへ入店後に男性客と女性客が待機する部屋は分かれており,女性客の待機部屋は更に2つに分かれ, 18歳未満の女性と18歳の女子高校生が入る待機部屋と, 18歳以上の女性が入る待機部屋があった。男性客の待機部屋からは女性客の待機部屋がマジックミラー越しに見え,女性客の待機部屋からは男性客の待機部屋は見えない構造であった。
男性客は待機部屋から物色して選んだ女性客を従業員に伝え,従業員がそれを女性客に伝えると,男性客と女性客が「トークルーム」に入って話(トーク)をし,外出するか否かの交渉をすることとなっていた。男性客は,女性客からトークそのものを断られることはないが,外出を誘っても女性客に断られることがあった。女性客が外出に応じれば,男性客は,店に上記の外出料を支払い,女性客と一緒に店から外出することができ,店外で買春に至ることもあった。
本件は,このような営業システムをとるAカフェを利用した男性客が,女性客である児童と外出後に児童買春に及んだ事実につき, Aカフェの経営者であった相被告人甲及び従業員であった被告人乙が,児童福祉法違反により起訴された事案である。