生半可な知識で法を逃れようというのは感心しませんね。
海外サーバでも実行行為の一部が国内にあるので公然陳列罪なら問題ありません。urlを教えただけで陳列罪だという裁判例もあるし。
有料でDLさせていたのなら、販売頒布にならないですよね。わいせつな有体物が動いてないから。
旧児童ポルノ法の判例ですが大阪高裁H15.9.18がそう言って販売罪を破棄して公然陳列罪に直してますよね。
札幌の弁護士か裁判所が気付いて変更されると期待したいんですが、札幌地裁が販売罪で有罪にしたら、奈良地裁判決と同じ運命になります。
http://www.stv.ne.jp/news/item/20090521190619/index.html
(小林記者)「ダウンロードカフェ。耳慣れない名前ですが、実は、法律をすり抜けようとした、違法わいせつ動画の販売窓口でした」
ダウンロードカフェの仕組みです。まず、日本では法律で規制できない、海外のレンタルサーバーに、店側がわいせつ動画をあらかじめ記録させておきます。客は、店のパソコンからインターネットを通じそのサーバーにアクセス。見たい作品をダウンロードしてDVDにコピーしていました。店側はわいせつ動画自体の所持や取得に関与しないことで、摘発を逃れようとしていました。
しかし、ハイ・クォリティは、客がDVDにコピーした場合、6作品で5250円を徴収していたことから警察はこれを販売とみなし摘発に踏み切りました。
藤原容疑者らは調べに対し、「違法だと分かっていた」と容疑を認めているということです。警察は、ダウンロードカフェのシステムやその実態について引き続き捜査しています。
高等裁判所判例集56-3
大阪高裁H15.9.18
(6) 原判示第2の事実についての法令適用の誤りの主張(控訴理由第1,第2)について
所論は,原判示第2の事実について,饒有体物に化体しない画像データそのものは児童買春児童ポルノ禁止法2条所定の児童ポルノに該当せず(控訴理由第1),また,饌有償の譲渡行為といえるためには現実の交付を伴うことが必要であるところ,本件ではこれがない(控訴理由第2)にもかかわらず,それぞれ児童ポルノである画像データを販売したと認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある,というものである。
そこで,検討するに,原判示第2の事実は,被告人が,各購入者に対して,自己がサーバーコンピューター上に開設したホームページのアドレス及びパスワードをメールで送信し,B及びCに対してはそれぞれの自宅に設置されたパーソナルコンピューター内のハードディスクにダウンロードさせる方法で(原判示第2の1及び2の各事実),Dに対してはその自宅に設置されたパーソナルコンピューター内のフロッピーディスクにダウンロードさせる方法で(同3の事実),児童ポルノである画像データを販売した事実を認定していることが明らかである。ところで,【要旨】児童買春児童ポルノ禁止法2条3項は,「『児童ポルノ』とは,写真,ビデオテープその他の物であって,次の各号のいずれかに該当するものをいう。」と規定しており,「その他の物」については,その例示として掲げられている物が写真,ビデオテープであることからすれば,文理解釈上,これらと同様に同条項各号に掲げられた視覚により認識することができる方法により描写した情報が化体された有体物をいうものと解すべきであるところ,関係各証拠によれば,本件において児童ポルノに該当するとされている画像データは,被告人において,契約を結んだ東京都千代田区a町b丁目c番地d所在の株式会社E管理のサーバーコンピューターにホームページを開設し,同コンピューターの記憶装置であるディスクアレイ内に記憶,蔵置させた電磁的記録であり,このような電磁的記録そのものは有体物に当たらないことは明らかである。そして,児童買春児童ポルノ禁止法7条の児童ポルノ販売,頒布罪における販売ないしは頒布は,不特定又は多数の人に対する有償の所有権の移転を伴う譲渡行為ないしそれ以外の方法による交付行為をいうものであるところ,本件において,上記B,C及びDは,それぞれ,被告人から教示されたホームページアドレス等を自己のパーソナルコンピューターにおいて入力することにより,被告人が開設した上記会社管理のサーバーコンピューター内のホームページにアクセスし,同サーバーコンピューターのディスクアレイに記憶,蔵置された本件の画像データをそれぞれ自己のパーソナルコンピューターにダウンロードし,ハードディスクないしはフロッピーディスクにその画像データを記憶,蔵置させて画像データを入手していることが認められるが,上記サーバーコンピューターのディスクアレイ上に記憶,蔵置された画像データそのものは上記Bらのダウンロードによってもその電磁的記録としては何らの変化は生じていないのであり,画像データの入手者であるBらに上記サーバーコンピューターに記憶,蔵置された電磁的記録そのものの占有支配が移転したと見る余地もなく,この点で原判示第2に認定された事実のもとでは児童ポルノの販売に該当する事実もないというべきである。
そうすると,原判決には児童買春児童ポルノ禁止法7条所定の児童ポルノ販売罪に該当しない事実を同罪に該当するとして有罪とした法令の解釈適用の誤りがあり,この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかである。
論旨は理由がある。