児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

撮影の強制わいせつ罪と3項製造罪とは、観念的競合か併合罪かに拘らず、分けて記載しましょう。

 罪数処理はどうであれ、分けて記載すべきです。
 判例が定まらない現時点では、観念的競合と軽信してごっちゃにして記載したが、最終的に併合罪になった場合、訴因不特定で破棄される危険があるからです。
 弁護人としては、ごっちゃになってる方が好きですが。

××ごっちゃにした記載例
平成22年6月1日午前10時00分ころ,大阪市において,A(当時10歳)に対し,同人が13歳未満の児童であることを知りながら,同人の衣服を脱がせて,その陰部等を手指でもてあそぶとともに,なめ回した上同人に陰部を露出させる姿態をとらせて,その陰部をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し,その電磁的記録を前記携帯電話機に記録し,もって13歳未満の女子に対しわいせつな行為をするとともに,衣服の全部又は一部を着けず,性欲を興奮させ又は刺激する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により竃磁的記録に係る記録媒体に描写し,前記児童に係る児童ポルノを製造した

○○分けたの記載例
1 平成22年6月1日午前10時00分ころ,大阪市において,A(当時10歳)に対し,同人が13歳未満の児童であることを知りながら,同人の衣服を脱がせて,その陰部等を手指でもてあそぶとともに,なめ回した上同人に陰部を露出させる姿態をとらせて,その陰部をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し、もって13歳未満の女子に対しわいせつな行為をした

2 前記1の日時場所において,同児が18歳に満たない児童であることを知りながら,同児に対し,その陰部をカメラ機能付き携帯電話機で撮影し,その電磁的記録を前記携帯電話機に記録し,もって、衣服の全部又は一部を着けず,性欲を興奮させ又は刺激する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により竃磁的記録に係る記録媒体に描写し,前記児童に係る児童ポルノを製造した

4 併合罪関係にある数個の事実を一個の公訴事実として記載すると、訴因不特定。
(1)検察講義案・判決起案の手引が推奨する記載方法
 併合罪の場合は、甲罪・乙罪を独立して記載すべきとされている。
検察講義案h18
判決起案の手引きh19

(2)判例
 訴因不特定で違法となるのだが、そのまま判決すると、審理不尽の訴訟手続の法令違反となるというのが判例である。
?東京高裁h12.6.27*1
?東京高裁H6.8.2*2
?高松高裁S27.10.9*3
?東京高裁S27.10.16*4
?東京高裁S27.6.9*5

(3)学説
コンメンタール刑事訴訟法第四巻P182
公判法大系?第一編公訴P142