児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青森・強盗強姦 弁護側一審破棄求める 裁判員裁判

 1審青森地裁控訴審仙台高裁だと弁護士も交替するし、控訴審弁護では1審の弁護活動の不足を補充・誤りを訂正するというのは、常套手段だと思うんですが、公判前で裁判員だとだめなんですか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100121-00000012-khk-l02
裁判員裁判で審理された事件の控訴審公判が東北で初めて開かれた20日の仙台高裁では、弁護側から出された新たな主張をめぐり、検察、弁護側が対立した。新主張に関する事実取り調べが認められなかったことは、一審の裁判員裁判での主張・立証活動に漏れは許されないという重い責務が、弁護士にも課されていることを示した。
 弁護側は、事実経過から「強姦(ごうかん)前から強盗の意思があった」とする被告の捜査段階の供述と、これを追認した一審での法廷供述の信用性に疑問を呈し、強盗強姦罪は成立しないと主張。閉廷後、仙台高検の高畠久尚刑事部長は「強盗の犯意発生が強姦後という主張はこれまでなく、立証制限に触れる」と指摘した。
 争点や主張を整理する公判前整理手続き後、やむを得ない理由がなければ新たな証拠調べ請求はできない。この整理手続きを経た裁判員裁判と、主に一審判決に誤りがないかどうかを点検する控訴審の性質から、裁判員裁判控訴審は従来の控訴審以上に被告の防御権が制約されるとみられる。
 一審弁護人は犯意の発生時期を含め、起訴内容を争わなかった。弁護方針は弁護人によって異なるが、控訴審弁護人の阿部泰雄弁護士は「一審の弁護活動は被告の利益を最大限に考慮して行われたとは思うが、自分が一審弁護人なら今回と同様に主張しただろう」と語る。
 どの段階でも十分な弁護活動が求められるのは当然だが、公判前整理手続きの在り方と、公判段階での追加的な主張・立証を厳しく制限する裁判員裁判の運用方法にも、再考の余地はある。(報道部・若林雅人)