児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童買春罪について年齢を知らなかったという弁解。

 児童買春罪について年齢不知の主張が通ったときに、当地の青少年条例の知情条項が適用されるかですが、2説ありうると思います。

A説 H11の附則2条1項で、青少年条例違反行為のうち、児童買春行為については、条例が失効するから、青少年条例も適用されない。犯罪不成立。
B説 附則2条1項は、年齢不知等で児童買春罪が成立しない場合にまで条例の効力を否定するものではないから、児童買春罪が成立しない場合には、条例の知情条項によって青少年条例違反罪が成立する。

 B説はいま奥村が作った見解ですが、強制わいせつ罪と青少年条例違反の関係についての福岡高裁H21.9.16をヒントにすると、まんざら屁理屈とも言い難い。

 A説だと、児童とは知らないが対償供与の約束はした場合に(従来青少年条例違反で処罰されていた行為が)不処罰になって、処罰対象に大穴が空くことになって、立法者が大馬鹿に見えてくるので、裁判所が穴を埋めようとすると思うんですよ。

児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
(平成十一年五月二十六日法律第五十二号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html

附則 平成十一年五月二十六日法律第五十二号
(条例との関係)
第二条  地方公共団体の条例の規定で、この法律で規制する行為を処罰する旨を定めているものの当該行為に係る部分については、この法律の施行と同時に、その効力を失うものとする。
2  前項の規定により条例の規定がその効力を失う場合において、当該地方公共団体が条例で別段の定めをしないときは、その失効前にした違反行為の処罰については、その失効後も、なお従前の例による。

北海道青少年保護育成条例
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/sbs/snj/ssJourei.htm
第44条 第22条又は第23条の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第38条又は第39条の規定による処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。
第22条 何人も、青少年に対し、淫行またはわいせつな行為をしてはならない。
2 何人も、青少年にわいせつな行為をさせてはならない。
3 何人も、青少年に対し、淫行又はわいせつな行為を教え、又は見せてはならない