児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

中尾英明・瀧澤千都子「更生保護法第51条第2項第4号に規定された専門的処遇である「覚せい剤事犯者処遇プログラム」不受講者に対して刑法第26条の2第2号により刑の執行猶予の取消しを請求した事例」研修730号P95

 せっかく執行猶予にしてくれたのに、冒頭から2回サボったら「保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。」に該当して、実刑に服したということです。
 最近、児童ポルノ・児童買春・児童福祉法違反の保護観察判決を多く「獲得」しているのですが、心配です。ギリギリの執行猶予ですから、違反には厳しいですよ。

保護観察官から,その導入指導を受け.第l回から第5回までの受講日を指定され,受講指定日に出頭するよう指示を受けました。
(2) しかし,被請求人は,第l回「覚せい剤事犯者処遇プログラム」受講予定日に出頭しなかったので,保護観察官が被請求人に連絡し,改めて期日を指定して同プログラム受講の機会を与えました。にもかかわらず,被請求人は,その期日に.保護観察所に何の連絡もせず、指定された時間に2時間以上遅刻し,結局受講できませんでしたD
さらに,第2回「覚せい剤事犯者処遇プログラム」受講予定日にも出頭せず.その後は.携帯電話を着信拒否にするなどして.保護側ヘ観察官や保護司からの接触を避けていました。
(3) そこで,保護観察所は.被諦求人にはI 「覚せい剤事犯者処遇プログラム」の受講義務違反があると考え.執行猶予の取消しの手続を採ることにし・・・

更生保護法
(特別遵守事項の設定及び変更)
第五十二条  
4  保護観察所の長は、保護観察付執行猶予者について、その保護観察の開始に際し、法務省令で定めるところにより、刑法第二十五条の二第一項 の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。
5  保護観察所の長は、前項の場合のほか、保護観察付執行猶予者について、法務省令で定めるところにより、当該保護観察所の所在地を管轄する地方裁判所家庭裁判所又は簡易裁判所に対し、定めようとする又は変更しようとする特別遵守事項の内容を示すとともに、必要な資料を提示して、その意見を聴いた上、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。ただし、当該裁判所が不相当とする旨の意見を述べたものについては、この限りでない。

刑法
第26条の2(執行猶予の裁量的取消し)
次に掲げる場合においては、刑の執行猶予の言渡しを取り消すことができる。
一 猶予の期間内に更に罪を犯し、罰金に処せられたとき。
二 第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
三 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その執行を猶予されたことが発覚したとき。