児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

年少児童を脱がして撮るという強制わいせつ罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)は観念的競合(仙台高裁H21.3.3)

 東京高裁とか大阪高裁は併合罪だというのに。
 なお、併合罪なのにまとめて記載するのは訴因不特定だから訴訟手続の法令違反だという主張は控訴の利益を欠いて違法だとされています。
 理由ありとされて破棄されれば、未決勾留の法定通算があるし、原判決後の情状も考慮されて再度判決することになるので、実質的には被告人に有利になると主張していました。

仙台高等裁判所昭和32年10月31日
最高裁判所刑事判例集15巻5号821頁
高等裁判所刑事裁判特報4巻22号581頁
 (法令の適用)
ところで本件は、被告人の控訴及び原審弁護人が被告人のためにした控訴にかかり、原判決が一、二の各罪を包括一罪と見て量定した一箇の懲役六月の刑より実質的に重い刑を言い渡すことができないのであるが、当審において原判決の一箇の刑を二箇の刑に変更しても、後者を合算したものが前者を超えなければ、右禁止に触れないものと解するのが相当である


東京とか大阪とか名古屋では併合罪なんですよ。

阪高裁 H14.9.10
児童ポルノ製造罪が強制わいせつ罪の構成要件の一部とはいえず,

東京高裁H19.11.6
児童買春行為それ自体(児童との性交ないし性交類似行為)は,2項製造罪の実行行為の一部であるとは解されず,児童買春罪と2項製造罪は,その実行行為が部分的にも重なり合う関係にはないのである(このことは,児童に対する強姦や強制わいせつの状況を撮影した場合に,強姦行為や強制わいせつ行為が2項製造罪の実行行為の一部とはいえないのと同様である。)。

名古屋高裁金沢支部H14.3.28
第2 控訴趣意中,訴訟手続の法令違反の論旨(控訴理由第4及び第23)について
1 所論は,原判示第2ないし第4の各行為は,被害者らの真摯な承諾なく抗拒不能の状態でされたもので,強姦,準強姦,強制わいせつ,準強制わいせつ罪に当たるとし,いずれについても被害者らの告訴はなく,親告罪たる強姦罪等の一部起訴は許されないから,本件起訴は違法であって訴訟手続の法令違反があるという(控訴理由第23)。
 しかしながら,児童買春罪や児童買春処罰法7条2項の児童ポルノ製造罪(以下,単に「児童ポルノ製造罪」という。)は親告罪ではなく,しかも強姦罪等とは構成要件を異にしていて,児童買春罪等が強姦罪等と不可分の一体をなすとはいえず,原判示第2ないし第4が強姦罪等の一部起訴であるとはいえない