観念的競合説の判決と、併合罪説の判決が錯綜しています。
とすると、観念的競合のつもりで混然と記載すると、併合罪説だと訴因不特定になりますから、それを警戒して、分けて記載して、併合罪を主張するのが無難です。
例えば、被告人が、5歳児童を裸にして、陰部なめて、写真を撮った場合、
悪い例(訴因不特定とされる危険がある)
H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめた上に、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をするとともに、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造したものである
と記載するのは、併合罪説によるとどこで二個の行為を切り分けるのかがわからないので避けて、
良い例(訴因不特定とされる危険がない)
第1 H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめ、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をし、
第2 同日時同所において、Cに対して、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造し
たものである
と記載しましょう。
そしたら、弁護人が、観念的競合だって主張しますが、併合罪でも観念的競合でも、訴因不特定になる危険はありません。
このような併合罪の事案としては、さいたま地裁とか和歌山地裁にあるようです。
で、奥村弁護人の手元に来た起訴状には
悪い例(訴因不特定とされる危険がある)
H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめた上に、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をするとともに、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造したものである