児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ犯人が、3項製造罪も犯している場合、どう起訴すべきか?

 観念的競合説の判決と、併合罪説の判決が錯綜しています。
 とすると、観念的競合のつもりで混然と記載すると、併合罪説だと訴因不特定になりますから、それを警戒して、分けて記載して、併合罪を主張するのが無難です。
 例えば、被告人が、5歳児童を裸にして、陰部なめて、写真を撮った場合、

悪い例(訴因不特定とされる危険がある)
H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめた上に、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をするとともに、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造したものである

と記載するのは、併合罪説によるとどこで二個の行為を切り分けるのかがわからないので避けて、

良い例(訴因不特定とされる危険がない)
第1 H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめ、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をし、
第2 同日時同所において、Cに対して、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造し
たものである

と記載しましょう。
 そしたら、弁護人が、観念的競合だって主張しますが、併合罪でも観念的競合でも、訴因不特定になる危険はありません。
 このような併合罪の事案としては、さいたま地裁とか和歌山地裁にあるようです。
 で、奥村弁護人の手元に来た起訴状には

悪い例(訴因不特定とされる危険がある)
H20.1.1 何時ころ、どこどこ踊り場において、C7歳が13未満の者と知りながらCを下半身裸にして、陰部なめた上に、3号所定の姿態をとらせて、その状況をデジカメで撮影して、CFカードに描写し、もって13歳未満の者に対してわいせつな行為をするとともに、3号児童ポルノであるCFカード1枚を製造したものである

と記載されています。
 一審では併合罪だとは言いませんよ。メリット無いから。
 控訴審では、訴因不特定の主張になります。