児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

井田良「最近の刑事立法をめぐる方法論的諸問題」ジュリスト 第1369号

 井田先生から「非専門的・非学問的と言われてしまいました。

井田良「最近の刑事立法をめぐる方法論的諸問題」ジュリスト 第1369号
他方,各省庁が所管し,内閣提出による法案により新立法や改正が行われる内閣立法以外に,議員立法も存在する。たとえば,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童買春・児童ポルノ処罰法)は,議員立法によるものである。ここにおいては,専門性の強弱と民主主義的性格の濃淡とが反比例する現象が見られることが注目される。すなわち,国民に近い機構による立法である議員立法が非専門的・非学問的な傾向を示し,国民から遠い官僚機構である法務省による立法が,より専門的で,より原則に忠実な傾向を示すという現象が見られるのである。
 児童買春・児童ポルノ処罰法においては,児童買春の周旋・勧誘行為や児童ポルノの提供行為等に関し(すなわち,この法律が規定する犯罪のうち,児章買春罪を除くすべての犯罪についてl,行為者において当該児童が18歳未満の者であることの認識がなくても,そのことについて過失があれば処罰可能とされている(同法9条を参照)。基本的に故意犯であるにもかかわらず,行為の違法性を基礎つける本質的要素に隠し過失があれば足りる(故意のある場合と同じ刑を科すことができる)としているところは,刑法の基本原地からかなり逸脱したものといえよう12)。これが法務省の立案にかかる法律であったとしたら,この種の規定を設けることは困難であったのではないかと想像されるのである。

道理で刑法との整合性が問題になるわけです。