児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

被告人が保管しているデータが弁護人に提供されCDROMにコピーして証拠提出した場合、この弁号証のCDROMの所有者は誰か?

 って裁判所からの質問でした。
 そういうときにはこの判例

東京高裁平成15年 6月 4日
事件名 わいせつ図画頒布、わいせつ図画販売、わいせつ図画販売目的所持、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
評釈
奥村徹・刑法雑誌 45巻1号151頁
 3 MOの没収について(控訴理由第2)
 所論は、本件MOには被告人がホームページの作成・管理を依頼されている顧客のデータが保管されており、顧客のデータについては、被告人以外の者が、プライバシー権、肖像権、著作権、商標権という人格権、物権を有することが明らかであり、本件MOは一部が犯人以外の者に属するのであって、これを没収することは刑法19条に違反し、憲法31条、29条にも違反する、という。
 所論のとおり、本件MOには、ホームページのバックアップデータと推認されるファイルも記録されているが、本件MOが没収されることによって被告人の請け負ったホームページの作成、管理が不可能になったとしても、被告人が債務不履行責任を負い、発注者が、被告人や第三者に対し本件MOに保存されている発注者が提供したファイルを無断で使用しないよう請求することはできても、本件MO自体は被告人の所有物であり、発注者等が本件MOについて物権的な権利を有しているとは認められない。また、没収は、物の所有権を観念的に国家に帰属させる処分にすぎず、帰属した物の処分は別個の問題である。仮に国に帰属した後に、国が本件MOを発注者等の権利を害するような使用や処分をしようとした場合には、その行為の差し止めやファイルの複写、消去などを求め得る可能性はあるとしても、そのような可能性があることは没収の言い渡しを何ら妨げるものではない。
 (裁判長裁判官 原田国男 裁判官 池本壽美子 裁判官 大島隆明)