児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」の審議経過情報

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/keika/1D9A3CA.htm
衆議院に附託されているようです。

刑法175条わいせつ図画罪もこの機に乗じてネットに対応します。

個人的には、第三者没収臨時措置法の改正を待っています。

第九条 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法(昭和三十八年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第一条の次に次の一条を加える。
第一条の二 この法律の適用については、被告人以外の者に帰属する電磁的記録は、その者の所有に属するものとみなす。

媒体上に第三者のデータがある場合にも第三者没収となりますから、
上告中の事件にも影響があるのではないかと期待しています。

http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/child/bossyuu.htm

東京高裁平成15年6月13日(mac判決)(まだ上告中)
3 MOの没収について(控訴理由第2)
所論は,本件MOには被告人がホームページの作成・管理を依頼されている顧客のデータが保管されており,顧客のデータについては,被告人以外の者が,プライバシー権,肖像権,著作権,商標権という人格権,物権を有することが明らかであり,本件MOは細部が犯人以外の者に属するのであって,これを没収することは刑法19条に違反し,憲法31条,29条にも違反する,という。
所論のとおり,本件MOには,ホームページのバックアップデータと推認されるファイルも記録されているが,本件MOが没収されることによって被告人の請負ったホームページの作成,管理が不可能になったとしても,被告人が債務不履行責任を負い,発注者が,被告人や第三者に対し本件MOに保存されている発注者が提供したファイルを無断で使用しないよう請求することはできても,本件MO自体は被告人の所有物であり,発注者等が本件MOについて物権的な権利を有しているとは認められない。また,没収は,物の所有権を観念的に国家に帰属させる処分にすぎず,帰属した物の処分は別個の問題である。仮に国に帰属した後に,国が本件MOを発注者等の権利を害するような使用や処分をしようとした場合には,その行為の差し止めやファイルの複写,消去などを求め得る可能性はあるとしても,そのような可能性があることは没収の言い渡しを何ら妨げるものではない。
論旨はいずれも理由がない。
東京高等裁判所第9刑事部
裁判長裁判官原田国男
裁判官池本壽美子
裁判官大島隆明

この問題が解決されないので、実務では、児童ポルノ犯人に、没収されず所有権放棄もされなかった児童ポルノ入り媒体(HDDなど)を還付しています。ただし、犯人の協力を得て、任意に児童ポルノデータを「ごみ箱」に捨てるという方法で削除しています。犯人の素直さに頼っています。性善説。検察官は論告であれだけ被告人を糾弾しながら、判決後は友好的に豹変するわけです。