児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強要罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)は観念的競合

 児童を脅して送らせるパターン。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080305/1204686054とは別の事件。
 これも実刑判決が届きました。
 こっちは観念的競合になってます。
 数罪の強要罪をかすがいする可能性があります。

被告人が脅迫によって被害児童らを畏怖させ,その意思を抑圧して児童に所定の姿態をとらせ,児童自身にその姿を携帯電話に内蔵されたカメラで撮影させ,その画像データ等を送信させるなどして児童ポルノの製造を強要したものといえるから,それぞれ強要罪児童ポルノ製造の罪(本体内蔵メモリ内への保存毎に一罪)が成立するところ,その行為は自然的観察のもとでは一個の行為と評価できるから,両者は観念的競合の関係となると解するべきである。

 裁判所も法令適用わからないまま実刑判決書いていて、被告人も法令適用の当否がわからないまま服役しているわけで、お気の毒です。

ところで、

  犯人「殺すぞ!携帯電話のカメラ機能で裸を撮って送れ」
  被害児童「撮って送りますから殺さないで下さい!」

というやりとりだとすれば、犯人側は2項製造罪(特定少数)と1項提供罪(特定少数)の間接正犯とすればよいでしょう。児童の携帯も児童ポルノになっていてそのまま保存されているから(流出危険もあって)、その生成行為は看過できないと思います。
 これをなんで、犯人の携帯電話の記録媒体を客体とする3項製造罪(姿態とらせて製造)1罪とするのか疑問です。